【結果】「犬」しばり

1. ワンと呼ばれて餌出すシステム 3 0・3・0
作者:ほねを
○畦道、天坂寝覚、フロヤマ
・自動でフードが出てくる便利な機械ではなく、これは人間のことなのだと気づいた。うちには猫とカメがいるが、人間はニャアと呼ばれてトイレを片付けたり、ケージに甲羅をぶつけるゴツゴツという音を合図に餌を出したりする。私も試しに「おーいお茶」と妻を呼んでみたが、なにも出てこなかった。(畦道)
・本当に対等な関係はこういう感じなのかもしれないですね。(天坂寝覚)
・何ともアイロニカルな表現に惹かれました。(フロヤマ)

2. のら犬に親の目で見られる 9 3・3・0
作者:木曜何某
◎玄齋、mekeke、晶 ○もも、ほねを、タケウマ
・通常、野良犬は正面からにらみ返すと逃げていきますが、逃げていかない、野良犬の方が親近感を抱いているからなのかなと思いました。(玄齋)
・それならいっそ僕を育てよ、と言いたくなりました。(mekeke)
・「なんだよ」と思いつつ、生まれてこの方毎晩屋根の下で寝てきた自分が、他の命の強さとか大きさにボンヤリしてしまうような。短い中に複雑な心境があるなと思いました。(晶)
・人間の愚かさを感じる句。いや、実際はそんな難しいことではないかもしれないけれど、私たち人間にとっては、犬を見て「かわいい」と感じるのが一般的なのかもしれません。ですが、犬に「人間ってかわいいなあ」と、まるで見守ってくれているような、親の目で見られる…という感じ方は、とてもおもしろいと思いました。(もも)
・慈しみ深い犬ですね。野良犬だけに酸いも甘いも噛み分けた人間分析力を感じずにはおれませんね。また、作者もその親心を犬から感じ受ける事ができるとは霊長類筆頭の立場上如何なものでしょう。というのは冗談で、読んだとたんに大好きになりました。特選にしなかったのは、現在形より過去形にしたほうがよかったのではと思うからです。(ほねを)
・お母さんは心配しているんですよ。たまには電話をかけよう。(タケウマ)

3. 飼えないよついて来るなよ一日だけだぞ 2 1・1・1
作者:畦道
◎こみおく ○京介 ●いつ藻
・完全に飼いますね、アパート追い出される覚悟で。(こみおく)
・飼ってしまうパターンや! けっきょく飼わないのだとしても面倒を見てやろうと思う心の変化がわかりますね。(京介)
・共感に値する句。が、敢えてひとこと。これは「創作のスタートライン」と取ると、うまくまとまれば「さらに良くなることは必至」。ううん。良いんだよね。だからこその逆選。(いつ藻)

4. 犬が見上げたから見た青空があった 10 2・6・0
作者:うぐいす
◎木曜何某、フロヤマ ○いつ藻、白熊左愉、茜谷りょう、元気な人、ほねを、晶
・えっ、何かあるの。なんだ、何にもないじゃないか………………。(木曜何某)
・視点の動きが絶妙ですね。単純に好きです。碧梧桐の牛の句を連想しましたが、内容は真逆な感じで良いです。(フロヤマ)
・ほのぼのとして良いと思います。二つ目の「見る」は違う語を充てるとさらに良くなりそうですね。(いつ藻)
・何見てるのかな?と犬の視線を追ったらそこに青空。さわやかな感じでいいなと思いました。(白熊左愉)
・人とそれに寄り添う犬がステキです。(茜谷りょう)
・ぱっと風景が思い浮かび易い句で、犬を飼ったことがない僕でも懐かしいと思うことができる普遍的な郷愁というか哀愁が漂ってる句だな、と思いました。作り慣れてる印象を受けました。(元気な人)
・いろんなシチュエーションの景が目に浮かびます。雄大な景色もいいし、路地裏の痩せ犬でもいい。いろいろ想像しています。(ほねを)
・犬の目線からの方が空は高いし。(晶)

5. ベビーカー乗せられ散歩する老犬の深遠な瞳 −1 0・0・1
作者:白熊左愉
●晶
・この着想というかモチーフは物凄く大好きなんですが、それだけにちょっと説明すぎたかなあと。(晶)

6. 野心を欠いた犬歯で食らう肉の味 5 1・3・0
作者:mekeke
◎玉虫 ○玄齋、うぐいす、京介
・いいですね。犬そのものじゃなくてたとえとしての犬。こういうの見たかった、という気持ちにしっくりきました。牙なき心で喰らう肉の味。こういう味は一生忘れられないものですよ。自覚したら再起はすぐそこ。頑張れ!と言いたくなる句。ハードボイルド。大好きです。(玉虫)
・野心はなくても肉はしっかり食ってやがる、そんな風に思って見ているのかなと思いました。(玄齋)
・人の犬歯=牙は何のためにあるのか。野心のない犬歯など、もう牙とは呼べないのかもしれない。(うぐいす)
・野心を欠くと肉の味が変わるのだろうか。野心満々のときは肉の味を気にせず食べていたのかもしれませんね。(京介)

7. うちの犬と同じ名前だよここあちゃん 3 1・1・0
作者:こみおく
◎もも ○mekeke
・私は、犬と同じ名前のここあちゃんが、人間の子どもだと考えました。たとえば、人間のここあちゃんは、「心愛」と書いて「ここあ」と読む。だけど、うちの犬は、飲み物の「ココア」。人間と犬とでは、同じ名前でも、意味は違ってくるんだろうなあ。いつもの散歩道での、素敵な出会い。良い句ですね。(もも)
・どの世界も名付けには一定の配慮が欠かせないと改めて感じた一句です。(mekeke)

8. ささみ入りケーキ作ったよお誕生日おめでとう 2 1・1・1
作者:もも
◎白熊左愉 ○玉虫 ●京介
・素直な感じと明るい印象で選びました。(白熊左愉)
・大事にされてますなぁ…(´;ω;`) にこにこ顔でお座りして飼い主さんを見上げている姿が目に浮かぶようです。平和な日常にぐっとくるようになったのはアラフォーになってから。好きです。この幸せがいつまでも続きますように。(玉虫)・
・犬は、ささみジャーキー好きですよね。手作りのジャーキーにはたいそう喜ぶそうです。
お題が『犬』だから犬の誕生日だと分かりますが、句だけ読むと犬の誕生日なのかどうかわからないです。もうちょっと犬の存在感が出れば良かったと思います。(京介)

9. 犬は寄り添い、女は裏切る −1 0・2・3
作者:ロケッ子
○こみおく、mekeke ●玉虫、畦道、タケウマ
・女を男にしても成り立つが、犬はほかの動物では成り立たない。外国のことわざのようでいいです。(こみおく)
・犬との関係には見返りを求めることが少ないように感じます。ややこしい感情の行き来も、人と比べると少ないのかもしれない。「やっぱりお前だな」と思うことで救われる想いもあるんだろうなぁと感じました。私も相手は違えどそう思うことで落ち着かせてることがあったかも知れない。とはいえ、満たされる器は別なような気がして、「あちらがダメでもこちらがある」というようなものではないのかなとも思いました。(mekeke)
・ちょっとありきたりな言い草かな。ほんとのところ、犬も結構可愛い顔してごまかすし、裏切らない女だっていますしね。犬も女もそんなにお安くないよ!と、思わず反感を覚えたのでとらせていただきました。(玉虫)
・標語のような印象。これは実体験の句として整理したほうが面白くなる素材だと思った。(畦道)
・本当にそうなの〜?(タケウマ)

10. 同じ笑いと涙で出来てる犬と僕今日もふたりで 1 0・3・2
作者:玉虫
○白熊左愉、畦道、天坂寝覚 ●木曜何某、mekeke
・一番信頼しあい、いつもそばにいてくれるかけがえのない存在への愛しさを感じました。(白熊左愉)
・喜びも哀しみもともにして成長していく、という雰囲気が微笑ましい。ジョリィとぼくとではんぶんこ、という歌を思い出した。(畦道)
・こういう今日がなるべく長く続くといいなあ。(天坂寝覚)
・「今日も二人で」はいらなかったのではないのでしょうか。「同じ笑いと涙でできている」だけで犬との関係はよく伝わっていると思うので。犬と人をあえて二人と言っているところが重要なのかなと思いましたが、やっぱり蛇足かなと思います。(木曜何某)
・私はこの句を「苦楽を共にした犬と、今日も共に在る」という句だと受け取ったのですが、「犬と僕今日もふたりで」に何となく無理に詰め込んだような印象を受けました。「僕」は無くても伝わるのではないかと思いました。とても温かい意味を持った句だと感じて、私は犬を飼ってはいないのですが、こんな相棒のいる生活って素敵だなと思いました。(mekeke)

11. 呼べば駆けてくるその尾が揺れてる 8 0・8・0
作者:天坂寝覚
○ロケッ子、いつ藻、畦道、玄齋、フロヤマ、タケウマ、mekeke、晶
・なんだろう。当たり前のことしか書いていないようなのに、なんでこんなにも胸に残るのか。尾は口ほどにものを言う。(ロケッ子)
・素直で良いと思います。もう一息工夫あるとさらに良くなりそうですね。(いつ藻)
・犬という字を使わず犬の句をつくる、『省略』のお手本のよう。「その」で少しテンポを緩めたのも効果的だと思った。(畦道)
・場面として温かいなと思いました。(玄齋)
・嬉しそうな犬の表情が目に浮かびます。(フロヤマ)
・なんとなく連想ゲームのような気がしましたが、ああ、そのとおりですね♪(タケウマ)
・舌を出して(と句にはありませんが)駆け寄る姿に、二人(?)のいい関係を思って何だか温かい気持ちになりました。犬の魅力を垣間みた気がしました。(mekeke)
・犬飼ったことないんですが、「飼い甲斐」はここに尽きるんだろうなあと。(晶)

12. 飼わない客だ狸のフリをする 10 3・5・1
作者:元気な人
◎茜谷りょう、畦道、はたらきねこ ○ロケッ子、木曜何某、京介、フロヤマ、タケウマ ●うぐいす
・犬視点ですごくおもしろい。アイデアに感服。案外こんなことを思われているのかもしれないですね。(茜谷りょう)
・ペットショップが苦手だ。ケージのなかのどの動物も「飼ってくれ」「連れて帰ってください」と懇願しているように見えて、切なくなるからだ。もしかして飼ってくれるかも、と期待することにも疲れた犬が、半ばヤケになっているような本句。狸のフリ、とはどんな感じなのだろう。面白くてやがて哀しい。(畦道)
・ペットショップでの一コマですね。一つの生命を引き受ける覚悟もないのに、ただ一時の安寧を求め陳列される動物を眺めに行く。そんな無責任な目を、あるいは心の隙間を、見抜いているクレバーな犬もいる。外見は狸のようでそうは見えなくとも。ユーモラスでもあり、どうしようもない寂しさや哀しみも感じさせる句である。(はたらきねこ)
・ひやかしならよしとくれ。唯一、犬目線で書かれた句。しかも人間に媚びてないところが素敵。(ロケッ子)
・狸寝入りということでしょうか。狸もイヌ科ですからね、こいつはどうせ見に来とるだけやから寝といたれ。面白い句ですね。(木曜何某)
・かわいい。句を読んだだけでは犬なのか猫なのか分からないんですけど、ペットショップに来た客が自分を飼わなそうだと愛想振りまいてもしょうがないので、なにもしないというのはよくあること(?)だと思うのですが、狸のフリするのがおかしかったです。狸だと思って飼ってくれる客がいるかも。(京介)
・上手いです。そう言われれば身に覚えがあるかも。(フロヤマ)
・どこらへんでわかるんでしょうね?(タケウマ)
・この一句だけがどうしても内容がわかりませんでした。「飼わない」のは犬として、その「客」という意味、「客」に対しているのは店員?なぜその人は「狸のフリ」しなければならないのか、それは狸寝入りのことなのか?…いろいろ考えましたが、つながりませんでした。(うぐいす)

13. 僕の犬はバフバフと鳴いている 3 1・1・0
作者:茜谷 りょう
◎天坂寝覚 ○こみおく
・飼い主にだけ分かる個性なんでしょうね。(天坂寝覚)
・僕も、僕の犬も、ボクトツな性格なんじゃないかという印象をうけてほのぼのしました。(こみおく)

14. チワワ越しに痴話喧嘩している 1 0・2・1
作者:京介
○こみおく、元気な人 ●玄齋
・チワワと痴話喧嘩がダジャレになってしまっているところが好きです。チワワという犬種が、本当は仲の良い若いカップルを連想させてほほえましいです。(こみおく)
・状況を想像するととてもありがちな滑稽で好きです。ただそれだけにチワワと痴話の掛けは必要なかったかな、と僕は思います。他の小型犬なら特選だったかも。(元気な人)
・今回の中で一番安直さを感じました。(玄齋)

15. 宝物みつけたよ犬小屋あった辺り 10 2・6・0
作者:フロヤマ
◎元気な人、うぐいす ○ロケッ子、玉虫、白熊左愉、木曜何某、はたらきねこ、天坂寝覚
・「宝物みつけたよ」という素敵なメッセージからの「犬小屋あった辺り」という乱暴な言い方に、教えたいのかどうなのか、感情が見えず笑ってしまいました。その後に、犬が宝物を持ってってしまっていてそれをやった見つけたよ、という状況なのかなと気付きました。でも何にせよ「犬小屋あった辺り」でもう僕的には100点です。(元気な人)
・今はない犬小屋、今は亡き愛犬。その宝物は何だったんだろう。胸がぎゅっとなります。(うぐいす)
・ああもう、これはダメだ。深く想像しようとすると、いろいろな感情が邪魔してしまう。もうそこにはいない犬に呼びかける文体が、これまたもうダメ。(ダメ=まいりました)(ロケッ子)
・ううう泣かせないで下さい…(´;ω;`) もういない愛犬。でも残してくれたものは計り知れない。いまマジで泣きながらこれを書いています。勝てねぇ、結局人類は犬の慈愛に勝てねぇ…改めてそう思い知らされる句。素晴らしいです。(玉虫)
・とてもしんみりした気持ちになりました(涙)(白熊左愉)
・宝物はイヌのということでしょう。埋めていたのでしょうか。今はもういない犬の思い出と一緒に見つけましたね。(木曜何某)
・愛犬を失って何年が過ぎたのだろう。犬小屋を撤去してからもさらに時間が過ぎていた。幼い日にともに遊んだおもちゃを愛犬はどこかに隠してしまった。それが、何年も過ぎて出てきてしみじみと思い出している。大切なことをすべて教えてくれた犬だったのでしょう。(はたらきねこ)
・喪失があって、発見があって、良いです。(天坂寝覚)

16. 校庭でこきたない犬人気を博す 2 0・2・0
作者:はたらきねこ
○もも、晶
・子どもたちが、校庭で犬と楽しそうに遊んでいる様子と、犬の嬉しそうな表情が目に浮かびます。私が子どもの頃も、こんなことがありました。その犬が、どこからやってきて、どこに帰るのか誰も知らないのが少しだけ切ないです。(もも)
・イレギュラーであることが異様に価値を持ったりする空間ですよね。母校では色違いの牛乳キャップが至上の高級品でした。(晶)

17. ワンと吠える敵ばかりの早春 3 1・1・0
作者:玄齋
◎ロケッ子 ○木曜何某
・誰にでも人なつっこい犬がいる一方で、その逆の犬もいる。誰かれかまわず威嚇する仔犬(もしくは小犬)の姿を思い浮かべた。敵なんかじゃないよ、大丈夫だよ、と頭をなでようとして噛まれる自分を想像して特選。(ロケッ子)
・吠えるしか能のない犬なんて、こ、怖くないぞ、かかってきんしゃい!(木曜何某)

18. 母犬の乳房八つのあたたかさ 9 1・7・0
作者:タケウマ
◎いつ藻 ○玉虫、茜谷りょう、もも、玄齋、ほねを、うぐいす、はたらきねこ
・優しさにあふれたところ。(いつ藻)
・飼っている犬が子供を生むのを体験してないと出て来ない句だなーと思いました。一心におっぱいを吸う丸々した子犬たちと、いつもと変わらぬ穏やかな表情の母犬。よくやったよくやった、可愛いよい子を生んだねと誉めてあげたくなりますね。大好きです。(玉虫)
・子犬という言葉は出てこないのに8匹の子犬を思い浮かべました。読んで暖かい気持ちになれました。(茜谷りょう)
・母犬の優しさが伝わってきます。犬の母性本能の強さは、人間である私も見習わなければと、思うこともあります。(もも)
・人間よりも犬の方が情が篤いのではないか、そんな気持ちを乳房の数に見ているように思いました。(玄齋)
・なるほど母とはありがたいものだなと思いました。8つの分4倍ありがたく感じますね。(ほねを)
・お乳にむさぼりつく子犬たちが見えます。母犬の愛情が子犬に分け隔てなく与えられている感じがしますね。(うぐいす)
・犬は多産の象徴でもあります。八つの乳房それぞれに小さな小さな子犬がしがみついて一心に乳を吸っている。その健やかな成長を祈って見守る穏やかな情景がよく表されています。(はたらきねこ)

19. 巻いた尻尾から空が見えた 11 3・5・0
作者:晶
◎ほねを、京介、タケウマ ○いつ藻、茜谷りょう、元気な人、うぐいす、はたらきねこ
・寝転がった視点からの大空の景をユーモラスに表現されています。どっしり強そうなワンちゃんなのでしょうね。子供心のある豊かな表現力を感じます。(ほねを)
・空を切り取る尻尾の発見が素晴らしい!丸く切り取られた空の無限の深さと尻尾のふわふわ感の取り合わせが絶妙。(京介)
・ずいぶん低い位置から見上げているんですね、といったツッコミはともかく、よい景ですね。「巻いた尻尾」がウマイなあとも。(タケウマ)
・シチュエーションを想像する楽しさがあります。(いつ藻)
・空が見えたってことは覗いた人もたぶん犬目線。仲良しさんだなあ。(茜谷りょう)
・どんな感情で「見えた」のか分からないですけど、かなり低い視線からじゃないと空って見えないですよね。で、僕は見ようとしてやっと「見えた」という風に受け取ったのですが、そのとっても不毛な努力に心打たれました。(元気な人)
・「尻尾を巻く」でしょうか。そのくるんとなった穴から見える空は、情けないほどスカンと晴れているのでしょう。(うぐいす)
・尻尾を巻いて仰向けになり腹を見せている。負け犬の姿ですね。しかし負けることで見えてくるものがある。その日の食べ物は奪われたとしても、無限の青空は手に入れていた。(はたらきねこ)

20. 凭つてきては天授のしつぽで漏れ聴いてゐる  凭(よ)る
作者:いつ藻

【結果】指定語「花」

※次のような並びで掲載しています。
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 句  獲得点 特選数・正選数・逆選数
 作者
 ◎特選に選んだ人 ○正選に選んだ人 ●逆選に選んだ人
 選評

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1. めがねも脱いだらまつげに花びら 5 1・3・0
作者:はたらきねこ(@hatarakineko_)
◎玉虫 ○晶、畦道、京介
・「花の句」一覧開くなり、やられた、と思いました。爛漫と咲き誇る花よりも、ひとひらの花びらにぐっとくる。まさに俳味と思いました。眼鏡を外した瞬間、ふっと笑う光景まで目に見えるようです。文句なしの特選です。Excellent!!(玉虫)
・めがね「も」が爽やかに艶っぽくて素敵です。風が暖かくなってきた時期のワクワク感。(晶)
・めがね『も』、というのが本句の注目点。すでにいろいろ脱いでいるらしい。(畦道)
・めがねをはずす前に他のものも脱いでるわけですよね。服かな。もしかしたら全裸なのかな。風流ですね。(京介)

2. さらされて辺りいちめんの花明り 2 0.2・0
作者:いつ藻(@nadesiko6)
○うぐいす、はたらきねこ
・花明かりのせいで、隠していた心がさらされてしまった…幻想的な風景ですね。(うぐいす)
・「辺りいちめんの花明り」は非常に美しい。自分の句において「夜桜」を詠んだので、その情景と共通して思い起こされた。しかし、ぎくりとするのが「さらされて」である。花明りがいちめんに見える。つまり作者の視点は桜よりも高所にある。高所にさらされているのである。磔刑であろうか。衆人の監視のもと、これから命を奪われる運命なのか。人生の終わりに見る景色。これは末期の眼に映る情景なのだ。(はたらきねこ)

3. 永遠に春かもしれない菜の花の駅に降りる 7 0・7・0
作者:うぐいす(@uguisu_asobo08)
○いつ藻、白熊左愉、晶、畦道、木曜何某、もも、フロヤマ
・表現の描写が良いと思います。(いつ藻)
・情景が浮かびました。温かい印象の句でした。(白熊左愉)
・静かな句なんですが、すごい速さで過ぎていく時間とか、その中でどんどん失われていくものが感じられました。(晶)
・改札を出ると、一面の黄色い花畑。まるで異世界に迷い込んでしまったかのような戸惑いが、永遠の春を思わせたのだろう。何年か前、いすみ鉄道という千葉県のローカル線に乗って菜の花を見物したのを懐かしむ。(畦道)
・良い表現ですね〜。菜の花がぶわっと広がっていく感じ。(木曜何某)
・「永遠に春かもしれない」という表現がすごく好きです。きれいな菜の花畑なんだろうなあ。菜の花のにおいで、いっぱいなんだろうなあ。なにか新しいことが始まり、新しい出会いがありそうな、作者のわくわくした気持ちが伝わってきました。(もも)
・どことなく幻想的な感じがしました。『銀河鉄道の夜』みたいな。(フロヤマ)

4. クレヨンで強く描きたきアネモネの花 4 1・2・0
作者:白熊左愉(@sayumemi)
◎いつ藻 ○茜谷りょう、木曜何某
・なぜクレヨンでつよく描きたいのかが謎なところ。(いつ藻)
・不勉強でアネモネの花を知らなかったので検索しました。クレヨンで描くと優しすぎて強く描きたきなのかなと。(茜谷りょう)
アネモネの生命の強さ、それを描いた人の強さ、少し狂気も感じられるような。春の恐ろしさが見え隠れ。(木曜何某)

5. 花びら置いてある席が空いてる 7 2・3・0
作者:元気な人(@no_fineman)
◎晶、木曜何某 ○こみおく、うぐいす、フロヤマ
・よく見えるなと思いました。椅子の上の、窓からの日に照らされて埃がきらきら光ってる空間が感じられたというか。勝手なイメージですが。言葉がシンプルで好きです。(晶)
・空いてますよね。なんか勝手にはらって座ってはいけない雰囲気が、結界が張ってありますよね。その席には神秘的な何かが座っていらっしゃるのかもしれませんね。(木曜何某)
・映画のワンシーンのようで美しいです。花瓶じゃなくてよかったです。(こみおく)
・それはリザーブの印ではなくて?その席はきっと何か特別な席のように思います。(うぐいす)
・花瓶ではなく花びら。意味深な句です。(フロヤマ)

6. 消えてゆく花束を永遠のあなたにあげる 1 0・1・0
作者:茜谷 りょう(@aka_neiR0)
○いつ藻
・もの悲しい同工の句の中で、良いと思うものの一つです。(いつ藻)

7. 鬼を抱く背が冷たい桜花ひそひそ降り掛かる 2 1・0・0
作者:玉虫(@OGA0531)
◎フロヤマ
・鬼の正体が気になります。夜桜が似合う句です。(フロヤマ)

8. 好きでも嫌いでもない花と詰められて燃やされる 8 1・6・0
作者:木曜何某(@thurstar)
◎白熊左愉 ○ロケッ子、元気な人、もも、京介、タケウマ、mekeke
・本当にそうだな〜と共感しました。できれば好きな花であってほしいですが。(白熊左愉)
・ああ、そういうことか…と。花は人間の最期に近しいものなのだなぁ。(ロケッ子)
・僕は何らかの葬式を思い浮かべました。好きでも嫌いでもない花と一緒に火葬される。人生や生命というものを上手く表している最期の風景だと思いました。言葉にもう少し面白味があれば特選にしていたと思います。(元気な人)
・多分、燃やされているのは自分なのに、まるで他人事のように感じました。悲しいんだけど、なんだかおもしろい。おもしろいんだけど、なんだか悲しい。不思議。(もも)
・亡くなって棺桶に花を詰められてるのでしょうね。好きな花だけに囲まれるのではなく、好きでも嫌いでもないものに囲まれて火葬される、好きなものに囲まれたいもの。でも、死んでるんだから関係ないか。(京介)
・ご愁傷様です。(タケウマ)
・最後はそんなものなのかな、と感じました。私にはそこまできちんと考えて死ねる余裕はないかもしれない。とはいえ、私燃やされる時は菊やユリじゃなくてラナンキュラスと一緒に燃やして欲しいなと、この句を拝見して思いました。でも、その時期に死ななきゃならないから難しいだろうな。(mekeke)

9. ふと目を覚ます花びら散る音 6 2・2・0
作者:フロヤマ(@furoyama)
◎茜谷りょう、mekeke ○ほねを、こみおく
・起きている時、花が散るとハッとします。そういうことを思い出しました。(茜谷りょう)
うたた寝からぼんやり目覚めたら外で桜の花の散る音がする、そんな風景を思いました。桜が咲いて、そして散るのを見たりその音を聴いたりすると、何となく春が一段落してしまう感じがします。(mekeke)
・とても綺麗な句です。観念的ではありますが、無駄なくすっきりとした清潔感があります。(ほねを)
・風の音に目覚めたとき、心の中にもざわつくものがあるような気がして、ドキッとさせられました。(こみおく)

10. ふたりあるく道の花の色を知らない 3 1・2・1
作者:天坂寝覚(@sin_kaku)
◎うぐいす ○白熊左愉、玄齋 ●ほねを
・「花の色」が意味深です。単に花が咲くことなのか、それともふたりに起こる何らかの変化のことなのか。いずれにせよ切ないですね。(うぐいす)
・大好きなひとと歩いていて、周りなんて見ていられないようなほほえましさを感じました。(白熊左愉)
・これから色がわかってくるという意味か、あるいは将来の別れを予感しているのか、後者かなと思いました。(玄齋)
・大好きな句なのです。それだけに真ん中の『の』の字がなければなあと思うのです。詩や俳句と文との違いはそういうところにあると思うのです。無学な私の個人的な意見にすぎませんのでお気になさいませんように。(ほねを)

11. 行人の忽ち消へし花のいろ 1 0・1・0
作者:ほねを(@BoneySBone)
○もも
・ゆったりとした時間の流れを感じさせる句。行人というのは、修行僧のことでしょうか。花の色が消えていくことも、儚くもあり、美しさを感じますね。(もも)

12. くたびれた花輪が客を待っている 7 1・5・0
作者:ロケッ子(@5_rockets)
◎玄齋 ○元気な人、ほねを、はたらきねこ、天坂寝覚、タケウマ
・新鮮な花なのだけれど客が来ないので『くたびれた』になっているのかなと思いました。場末のバーの一場面のように思いました。(玄齋)
・まあ流行らないでしょうねこの店。店に活気があればそれだけで花輪もそんな風には見えないでしょうし。来年の今頃はもう花も何もないでしょうね。(元気な人)
・シニカルな視線がニヒルです。私には少し淋しく感じますので『待っているぜ』的なユーモアを足したくなります。(ほねを)
・場末の小さな飲食店だろう。いったい何度目の開店だろうか。経営者(または「ママ」)は変わらないまま、何度も開店を繰り返しているのだろう。心機一転の景気の良さはその花輪には表れない。花輪が待つ客も、馴染みの常連客なのだ。変わり映えしない日常の中にハレのはずの花輪が埋没している。そこに凝縮している人生を発見する冷徹で客観的な視座に敬意を。(はたらきねこ)
・町が寂れて行くときの切なさが迫ってきました。(天坂寝覚)
・繁盛するようになるといいですね。(タケウマ)

13. 悪名とどろかせ花野を往く 7 1・5・0
作者:畦道(@azemichi66)
◎ほねを ○ロケッ子、玉虫、晶、フロヤマ、mekeke
・堂々として悪びれるところなく風雅を愉しむ姿が粋ですね。字句も過不足なく整っているように感じます。パブリックエネミーナンバー1。(ほねを)
・「花野」と「悪名」の対比が鮮やか。その悪名も誤解のうえで出ちゃったものじゃないかしら、とか思ってしまいました。(ロケッ子)
・今回の花の句の中で、特選と並んで郡を抜いて好き。自信たっぷり悪いこちゃん。素晴らしい。大股で早足で通り過ぎる後ろに花びらが舞うのでしょう。やんやの喝采。ほんと好きです。(玉虫)
・物々しい言葉との対比が楽しいです。草花を踏み倒しながら少しやけっぱちにどんどん進む勇ましい歩調を感じました。(晶)
・荒野ではなく花野。ギャングスターといったところでしょうか。(フロヤマ)
・「往く」ということは行ったはいいが再び帰ってきてしまうのか、と少し不安に感じたけれど、そもそもこの人(人でないかもしれないけれど)は轟かせるほどの悪なのかな、とも考えました。自分からそう思わせといて実は人のいい奴なのかもしれない。(mekeke)

14. 土だけの花壇に春も秋も来る 18 4・10・0
作者:晶(@12akira24)
◎ロケッ子、元気な人、こみおく、天坂寝覚 ○いつ藻、白熊左愉、茜谷りょう、畦道、玄齋、木曜何某、ほねを、うぐいす、はたらきねこ、京介
・四季がみえる句。春だけじゃなくて、「秋も」と書かれている部分がやけに気に入ってしまいました。(ロケッ子)
・評価が集中すると予想して本当は選びたくなかったのですが、正選にして余りあると思い特選に。圧倒的にバランスのよい句だと思いました。諸行無常の響きあり。(元気な人)
・花がなくても季節はめぐってくる。口に出して詠んでみたときの後味が良い句でした。(こみおく)
・もしかしたらを期待してしまうのでしょうか。(天坂寝覚)
・「土だけの花壇」というところが謎で気に入りました。(いつ藻)
・まるで我が家の花壇のような笑 春の花、秋の花を咲かせたいなあと思いました。(白熊左愉)
・小学校の花壇、確かにあそこには春や秋があったように思います。この句好きです。(茜谷りょう)
・指定語『花』で、あえて花を咲かせないという工夫に○を。(畦道)
・冬の土だけの花壇を見ながらの感想のように思いました。さて、どんな花を植えよう、そんな意思を感じました。(玄齋)
・3番目の菜の花の駅の逆で、いつ来ても何にもない。またなんもない。そんな水槽もありますよね。なんにもないなぁ(木曜何某)
・視点が素晴らしいと思います。一点を捕えるのではなく経過を表現している点も好きで、特選にしたかったのですが、どうしても『花壇に』の『に』に疑問を感じます。このせいで俳句ではなく文になっているように感じるからです。どうでしょう?(ほねを)
・花はなくても、土の匂いや手触りで季節を感じることもあります。「秋」はないほうがより季節感がつよくなってよいように思いました。(うぐいす)
・今は誰も世話する者のない花壇なのだろう。「春も秋も」としたのはなぜか。雪が解けて土が現れる春(白→黒)。紅葉した落ち葉が降り積もる秋(黒→赤・黄)。花もない土だけの花壇にも季節の変化は訪れる。それを発見する作者はどこにいるのか。空き家となった隣家の花壇を眺めているのか。それとも自らは花壇の世話ができないままに眺めるしかない状況なのか。生きている限り、季節は巡るのだ。厳しい冬も夏もいつかは過ぎ去っていく。(はたらきねこ)
・「土だけ」ということは花咲いてないんですよね。花が咲かない花壇にただ流れる季節、ぐっときました。(京介)

15. 開いても実にならぬ切花とおなじ 2 0・2・0
作者:mekeke(@mekekeke)
○ロケッ子、茜谷りょう
・好きです。切り花は実になることがないけれど、一番美しいときの姿を人間に提供して心を和ませてくれる、本当にありがたい存在。実になることだけが幸せじゃないから、それはそれでとても素敵だと思う。(ロケッ子)
・同じ花なんだけどなあ、同い年なんだけどなあ・・・何が違うんだろうな。(茜谷りょう)

16. これは仏花だけどありがとうボブ 11 5・1・0
作者:こみおく(@ayukoyama)
◎畦道、もも、はたらきねこ、京介、タケウマ ○玉虫
・知人がその昔、女性へ贈る花束を誂えに花屋へ行ったときのこと。「きれいに作ってください」とリクエストした知人に対し花屋店員は「花はどれもきれいです」と答えたそうだ。ボブは菊の花束を、ただ美しいと思ったのだ。(畦道)
・最初、ただ面白い句だなあと感じていましたが、思えば、仏花とか人間が勝手に決めたことなんでしょうね。例えば、菊を見て葬式を連想させるのは、日本人のエゴなのだと思う。菊が、他国では、どう思われているのか知らないけれど、美しいものは美しい、というボブの純粋な気持ちと、それを受け入れる作者が素敵。(もも)
・登場人物全員善人。これはよい物語。逆アウトレイジ。入院した作者に「キレイナハナカッテキタヨー」とボブが持ってきてくれたのだろう。人間関係とはこのように、純粋な人だけでは成り立たない。純粋な善意からの過ちを、苦笑しながらも受け入れる理性が受け手には必要なのですね。作者の大人な対応に敬意を表して特選。(はたらきねこ)
・ボブはきっと仏花かどうだか知らないで、ただ綺麗で贈りたかったのでしょうね ボブの優しさも感じられて、「ありがとう」と返すところが良かったです。(京介)
・一読、大好きな句「エリックのばかばかばかと桜降る」(太田うさぎ)を思い出しました。
ボブってだれ? なんでお花をもらうことになったの? と疑問に思ったら作者の術中にはまっている証拠。あれこれ考えるのが楽しい句です。(タケウマ)
・ボブwww 人の良いそばかすの浮いたようなはにかみ顔が目に浮かぶよう。菊ね、日本的でステキとか思ったんだよね。いいんだよ。外人萌え。好きです。(玉虫)

17. 花札で占う明日の天気かな
作者:もも(@Maomonta)

18. 花子という名前名簿に一人 1 0・1・0
作者:玄齋(@syou_gensai)
○天坂寝覚
・いずれそういう時代になるのかもしれません。既にそうなのかもしれないですね。(天坂寝覚)

19. 花花花花花吹雪花花花花花浄土花花花花ハナ肇 −2 0・1・3
作者:タケウマ(@take575)
○玉虫 ●ロケッ子、元気な人、フロヤマ
ハナ肇天国にいた!www 最後思わず笑っちゃうけど、美しい天国の情景に思わず涙。賛否両論ありそうだけど私は好きです。映画的情景の句。(玉虫)
・なぜ、ハナ肇なのだろう。「花霞」や「花一匁」じゃダメだったんだろうか。ダメだったんだろうなー。偉大なる挑戦に敬意を表してスルーせずに受け止めます。はい、逆選をあなたに。(ロケッ子)
・いつだって世界を切り開くのは確信であり革新。ただまだ時代が追いつかない。(元気な人)
・思わず吹き出してしまいました。リズムも良いです。逆選で採るべきか迷いもありますが、ある意味ふさわしい気がしました。(フロヤマ)

20. 造花に埃たまっている 6 0・6・0
作者:京介(@princekyo)
○元気な人、玄齋、こみおく、天坂寝覚、タケウマ、mekeke
・まぁありがちで怠惰な風景で一度笑いそうになるんですけど、「造花」という(半)永久的なものと「埃」という一時的なものの対比として時間の歩みや可笑し味を表してるんだとしたら…。多分違うと思いますけど、僕がそこまで考えられたのでなんかよかったですハイ。(元気な人)
・「釣った魚に餌をやらない」の造花バージョンかなと思いました。心情をそのまま書いていない所が良いなと思いました。(玄齋)
・見られていたとは…。掃除しないとな〜。(こみおく)
・人の手が入らなくなってしまった景色がありありと見えます。(天坂寝覚)
・なんだかたまりますよね。造花は埃が好きなのかな〜と思うことがあります。(タケウマ)
・いっそ無かった方がよかったのにと思うものものがふと浮かびました。(mekek)

句会3本目 結果発表

3本目の句会にご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました! 結果が出ましたので発表いたします。(集計ミス等お気づきになりましたら、どうぞ遠慮なくご指摘ください。)

選評は別記事(下部)にアップしておりますので、そちらもあわせてご覧ください。

数の関係で選評が書けなかったけどこの句にも感想を書きたいーという「選句外評」は、二次会場所「やんややんや」の方でお願いします。ぜひご活用ください。

★二次会場所はこちらから★ → やんややんや


お題それぞれの最高得点は……

まずは、3つありましたお題ごとに最高得点を獲得した句と次点の句を発表します。皆様からいただきました選句をもとに、「特選=2点、正選=1点、逆選=−1点」で計算しております。

▼指定語「花」 最高得点句

  土だけの花壇に春も秋も来る
  
  獲得点数:18点
  作者:晶


  ▽次点句

  これは仏花だけどありがとうボブ
 
  獲得点数:11点
  作者:こみおく
  

▼「犬」しばり 最高得点句

  巻いた尻尾から空が見えた

  獲得点数:11点
  作者:晶


  ▽次点句

  犬が見上げたから見た青空があった

  獲得点数:10点
  作者:うぐいす

  飼わない客だ狸のフリをする

  獲得点数:10点
  作者:元気な人

   宝物みつけたよ犬小屋あった辺り

  獲得点数:10点
  作者:フロヤマ

▼雑詠 最高得点句

  包丁を持って何を切るべきか

  獲得点数:14点
  作者:玄齋

  
  ▽次点句

  迷子になり切れず遠回りで帰る

  獲得点数:13点
  作者:晶


◎今回の句会における最高得点獲得句
  土だけの花壇に春も秋も来る(18点)
  作者:晶



終結

そんなわけで、今回の句会結果は次のようになりました。
(※MVP=総合獲得点数が最も高かった作者、ホームラン王=特選に選ばれた数が最も多い作者、ヒット王=正選に選ばれた数が最も多い作者 死球王=逆選に選ばれた数が最も多い作者)
 

 ▼MVP     → 晶(42点)
  
 ▼ホームラン王  → 晶(10個)

 ▼ヒット王    → 晶(22個)

 ▼死球王    → ロケッ子、タケウマ、もも(3個)

ちなみに、総合獲得点数上位5名(神5)は、「晶(42)、木曜何某(25)、元気な人(24)、うぐいす(22)、フロヤマ(22)」でした。


選ばれました皆様、おめでとうございます。そして、ご参加いただきました皆様も、ありがとうございました&おつかれさまでございました! 作者の正体、それぞれの選評を味わった後は、どうぞ二次会へお越しください。

句会3本目 全句公開

千本ノッカーの皆様、こんばんは。3本目に寄せられた全句を公開いたします。今回は20名の方に投句していただきましたー。「逆選あり」ということでもっと少なくなるかなと思っていたのですが、思っていた以上に多くの方にご参加いただきまして、どうもありがとうございました。選句選評…とまだまだお世話になりますが、最後までよろしくお付き合いくださいませー。


選句・選評について

  • 選句場所

  ▼「花」→ http://ws.formzu.net/fgen/S78982130/
      モバイル→ http://ws.formzu.net/mfgen/S78982130/
  ▼「犬」→ http://ws.formzu.net/fgen/S82844332/
      モバイル→ http://ws.formzu.net/mfgen/S82844332/
  ▼「雑詠」→ http://ws.formzu.net/fgen/S14039840/
      モバイル→ http://ws.formzu.net/mfgen/S14039840/
  ▼「逆選」→ http://ws.formzu.net/fgen/S20012027/
      モバイル→ http://ws.formzu.net/mfgen/S20012027/

  • 期間

  3月20日(水)0:00〜3月24日(日)23:59

  • 選句内容

 ○それぞれのお題ごとに、「特選」1、「正選」3を選ぶ。
  (「自分の句以外」なので、各19句の中から選ぶことになります)
  選句方法の詳細は 「千本ノック」とは をご参照ください。

 ○選句の際に、選評を書き込む。
 (選句外評は、Twitterまたは二次会場所でお願いしますー)

 ●全体から逆選を1つ選んでください。
  

※つまり今回は、全部で4つ送信していただくことになります。お手数おかけいたしますが、よろしくお願いしますー。

指定語「花」


1. めがねも脱いだらまつげに花びら

2. さらされて辺りいちめんの花明り

3. 永遠に春かもしれない菜の花の駅に降りる

4. クレヨンで強く描きたきアネモネの花

5. 花びら置いてある席が空いてる

6. 消えてゆく花束を永遠のあなたにあげる

7. 鬼を抱く背が冷たい桜花ひそひそ降り掛かる

8. 好きでも嫌いでもない花と詰められて燃やされる

9. ふと目を覚ます花びら散る音

10. ふたりあるく道の花の色を知らない

11. 行人の忽ち消へし花のいろ

12. くたびれた花輪が客を待っている

13. 悪名とどろかせ花野を往く

14. 土だけの花壇に春も秋も来る

15. 開いても実にならぬ切花とおなじ

16. これは仏花だけどありがとうボブ

17. 花札で占う明日の天気かな

18. 花子という名前名簿に一人

19. 花花花花花吹雪花花花花花浄土花花花花ハナ肇

20. 造花に埃たまっている




「犬」しばり


1. ワンと呼ばれて餌出すシステム

2. のら犬に親の目で見られる

3. 飼えないよついて来るなよ一日だけだぞ

4. 犬が見上げたから見た青空があった

5. ベビーカー乗せられ散歩する老犬の深遠な瞳

6. 野心を欠いた犬歯で食らう肉の味

7. うちの犬と同じ名前だよここあちゃん

8. ささみ入りケーキ作ったよお誕生日おめでとう

9. 犬は寄り添い、女は裏切る

10. 同じ笑いと涙で出来てる犬と僕今日もふたりで

11. 呼べば駆けてくるその尾が揺れてる

12. 飼わない客だ狸のフリをする

13. 僕の犬はバフバフと鳴いている

14. チワワ越しに痴話喧嘩している

15. 宝物みつけたよ犬小屋あった辺り

16. 校庭でこきたない犬人気を博す

17. ワンと吠える敵ばかりの早春

18. 母犬の乳房八つのあたたかさ

19. 巻いた尻尾から空が見えた

20. 凭つてきては天授のしつぽで漏れ聴いてゐる  凭(よ)る



雑詠


1. 春コアラかと思ったら君か

2. それを言ったらおしまいのパンジー咲いている

3. 陽うらら洗った梵天をただ乾かしている

4. 屋に居れば愈々深し春驟雨

5. おそるおそるおそそもおほ犬のふぐり

6. 君の愚痴話がないと会えない距離

7. いつまでも鼻に残るうた歌う

8. 包丁を持って何を切るべきか

9. 捨てちまえと肩抱くぬるく強い風の日

10. 晴れた風を野球帽とんでいった

11. 騙されて押さされた判子欠けている

12. 春の星もう伝えられぬ言葉抱き締め

13. テディベアがそう言うなら許そう

14. 文学とは生き恥だよと年下の先輩

15. 足湯に来た足で帰ってく

16. バレンタインデー遺体にリボンの家族葬

17. 迷子になり切れず遠回りで帰る

18. 恋を失くした命に別状はない

19. 向かい風もうくぐらない門を出る

20. 電線の影ラの音踏み鳴らす

句会3本目 開催のお知らせ

一月はいぬ、二月は逃げる、三月はサティスファクション! な今日この頃、皆様ご機嫌いかがでしょうか? 自由律俳句の句会「千本ノック」3本目開催のご案内です。初めましての方もそうでない方も、どうぞお気軽にご参加ください。

「千本ノック」3本目 テーマ

  1. 指定語「花」
  2. 「犬」しばり
  3. 雑詠(まったくもってご自由にどうぞ)

それぞれ1句ずつ、ひとり計3句です。<句の条件>

  • 5文字〜25文字程度で書かれたもの。
  • 口語・文語どちらでもOK。
  • 季語の有無問わず。


【補足説明】

  • 指定語「花」

指定語とは、句の中に必ず入れなければいけない語のことです。今回の場合は、句の中に必ず「花」という漢字を入れてください。「はな」でも「カ」でも、読みは問いません。また、「○花」「花○」「○花○」のように熟語の中に入っていてもかまいません。(※注 「はな」「ハナ」のように平仮名・カタカナ表記は×。必ず漢字を入れてください。)
※このお題は、2本目の「しばり」王 畦道さんからいただきました!

  • 「犬」しばり

「しばり」とは、それに関するもの、それを想像させるもの、といった意味でとらえてください。つまり今回の場合は、「犬」に関する、想像させるような句をお願いします。ひとつめの指定語と違って、「犬」という言葉を必ず入れなくてはいけないという意味ではありません。(もちろん、入れてもOK)
※このお題は、2本目雑詠王 玉虫さんからいただきました! (出題者様からのメッセージ「シビれる犬句でオレを地団駄踏んで悔しがらせてくれ!!」)

  • 雑詠

何も指定はありません。お好きにつくってください。




スケジュール

  • 投句期間

 3月14日(木)〜3月18日(月)

  ▼投句フォーム
→ http://ws.formzu.net/fgen/S47231699/
携帯からは→ http://ws.formzu.net/mfgen/S47231699/

  • 選句・選評期間

 3月20日(水)〜3月24日(日)

  • 結果発表

 3月27日(水)

※投句・選句用フォームへのリンクは、後日貼ります。
 結果発表はこのブログでおこないます。


年度末のお忙しい時期ですが、選句までお付き合いいただけるようでしたら、ぜひぜひご参加ください。


選句・選評について

  • お題ごとに「特選1・正選3」を選んでください。

 (特選=最もいい! 正選=いい!)

  • 全体から「逆選1」を選んでください。

 (逆選については、以下※参照)

※逆選について(再掲)

大体の句会でもそうだとは思いますが、「千本ノック」における「逆選」とは、最も劣っている句(ひー! そんなの存在しないしない!)を選ぶというのではありません。「ちょっとひとこと言わせてほしい句」を選句してください。

「ちょっとひとこと言わせてほしい」には、「この表現がひっかかった」「好きなんだけど、こういうところは直せそう」「おいおい、テーマにそれているんじゃない?」「この○○ってぇーのは認めない」など、好意的なものからそうでないものまで内容は様々だと思います。(あえて曖昧にしておこう)選句と選評はセットになっておりますので、逆選の場合は特にハリキッテお書きください!



何かわかりづらい点などありましたら、こちらでもいいしTwitterでもいいし、ご遠慮なくお尋ねください。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

【結果】雑詠

1. 黄色い顔でボリュームを上げる 1 0・1
作者:十月水名
○もも
・この句から、体の具合の悪さを連想しました。音楽か、テレビか、パソコンかわかりませんが、かなりの音量なのでしょう。助けを求めているようにも感じました。(もも)

2. うそ吐いたけど針千本も用意できない 4 1・2
作者:mekeke
◎はたらきねこ ○十月水名、茂刈艾
・「うっそついたっけどはーりせーんぼんもよーいでーきないっ」なんと潔いルールの破り方でしょうか。約束の約束というメタ約束ごと放り投げてしまうこの傲岸さ。いっそ清々しくもあります。切迫した遊女の覚悟をさえ軽やかに笑い飛ばしてしまいそうな天性の詐欺師。なんてひどい人だろう。(ほめています)(はたらきねこ)
・魚のハリセンボンも難しそうですよね。(十月水名)
・嘘をついた当人が案じているとしたら、とんでもない(それでいてどこか間の抜けた)被虐性が潜んでいるともとれましょうか。(茂刈艾)

3. 便座のあたたかさに泣きそうになる 4 0・4
作者:こみおく
○ほろほろ、うぐいす、かもせり、みずいろばーど
・寒い日はありがたいですね。(ほろほろ)
・今日いちばん私に優しくしてくれたのは便座でした。(うぐいす)
・気持ちわかります。泣いてしまいましょう。(かもせり)
・堪えてピンと張り詰めた気持ちが、意外なところで(だから)崩される。そんなに頑張らなくていいんだよ、と手を伸べる存在がいるといいなあ‥ と思う。(みずいろばーど)

4. 寒い手に寒い手がぬくい 12 4・4
作者:天坂寝覚
◎ロケッ子、うぐいす、元気な人、なかぎり ○白熊左愉、フロヤマ、茂刈艾、千代
・句を最後まで読むと、そのぬくさが一瞬にして伝わってきた。冷たい手じゃなくって、寒い手。ぬくさを求めて手を重ねるのか、手を重ねたくて寒いふりをするのか。どっちにしても、いい風景。(ロケッ子)
・なぜか、ばれないように、こっそり手をつないでいる気がする。「あたたかい」ではなく「ぬくい」がいい。(うぐいす)
・単純に上手いなぁと思いました。僕はずっと寒いだけの手です。(元気な人)
・冷たさが温かい。他人の体温をどこまでも温かく感じる生き方をしたいもんですね。(なかぎり)
・寒い手と寒い手、つなぐと「ぬくい」 手のぬくもりってかけがえないもの。(白熊左愉)
・寒い手×2で温か。胸キュンな感じです。(フロヤマ)
・「ぬくい」がキマってます。(茂刈艾)
・お互いの冷たい手。どちらが暖かいのかわからないけれど、重ねたぬくもりは感じられる。ぬくいって言葉がまたいいです。冬だなぁって。(千代)

5. マスクのなかで呪文唱える 11 1・9
作者:畦道
◎木曜星 ○こみおく、みずいろばーど、タケウマ、Umbert Dolby、mekeke、ニレ、千代、元気な人、祥
・何の呪文なのでしょうね。寒いのでメラとかがいいですね。それかフバーハをかけてほしいですね。ザキとかザラキだったら怖いな。(木曜星)
・街行く人はみんな呪術師。(こみおく)
・一番はじめに『面白い』と思った作品です。コミカルでミステリアス。ほろ苦い孤独。実はけっこうリアルかもしれません。(みずいろばーど)
マハリクマハリタ エロエムエッサイム エクスペクト・パトローナム!!(タケウマ)
・なんの呪文ですか?ロマンティックな呪文ならいいですね。呪いとかだと怖いな〜。(Umbert Dolby
・すれ違う人に気後れすること無く口パクで歌ったり独り言いえたりするのはマスクあればこそ。マスクで守りつつ解放しつつな道すがらは何だか楽しいですね。(mekeke)
・会社の上司に向かっての呪いの言葉でしょうか。「てめぇふざけんないつもいつも……病気になれ病気になれ病気になれ…」とかそんな感じ?それとも直接的に「ザラキ!」とか?
…というところまで考えたところで、「いや、それはないな」という別解釈も思い浮かんでしまいました。それは、先代から受け継いだ虎の覆面を被りながら「虎だ…お前は虎になるんだ…」と控え室の片隅で呟いているレスラーっていう…。(ニレ)
・日本の冬の風物詩。マスクマスクマスク…隠された口元で密かに行われているものは!(||゜Д゜)ヒィィィ!?(千代)
・マスクの中、というのを何らかの比喩だとすると、現代を揶揄してそうで恐ろしくも面白いです。じゃなくても好きです。(元気な人)
・表情の見えないマスクの中、どんな呪文を唱えているのだろう。(祥)

6. タラちゃんの未来想ふや柿の餡 1 0・1
作者:Umbert Dolby
○白熊左愉
・最後が「柿の餡」というところがいいなと思いました。(白熊左愉)

7. 好きだった人から今年も喪中はがき 4 1・2
作者:かもせり
◎もも ○木曜星、はたらきねこ
・今はもう、好きではないのにお互いに、まだ連絡を取り続けている、という微妙な関係がよく表現されています。そして、身内の不幸があった「好きだった人」のことを思う気持ちも伝わってきました。(もも)
・年賀はがきならまだ楽しく思い出せるのに。もう寂しく思いをはせるしかない。好きな人も悲しんでいる。(木曜星)
・「好きでもない相手に振られる」みたいな感じですよね。こちらから強く求めているわけではないのに、一方的に関係を切られる感じ。年賀状はいらないよってことです。きっと相手としては消極的に関係を薄めていこうとしているのでしょう。こちらは普段意識することもないのに、かえってはがきでその存在を思い出してしまう。本当に人の心というものは、誰かの思い通りにはけしてならないものですね。(はたらきねこ)

8. 同じ車が無言ですれ違う 7 1・5
作者:元気な人
◎かもせり ○木曜星、こみおく、はたらきねこ、mekeke、なかぎり
・なんとなく意識してしまう一瞬。「無言で」がそれをよく表現していると思います。(かもせり)
・同じ車を選んでいるのだから、気は合うと思いますけどね、だからと言って手を振るのもおかしいですし。お互い赤の他人なのにすれちがっている感じ。(木曜星)
・同じ車とすれ違うのはなんとなく嬉しい。でも何も言わない。なんてことない情景が好きです。(こみおく)
・車が無言なのは当たり前なのですが、この感覚はよくわかります。なんとなく恥ずかしいような、腹立たしいような。駐車場なんかではやっと空いてるところが見つかっても同じ車種の隣だったら避けます。ひどくいやですね。自分は青のインプレッサなので、走っている数が多くもなく少なくもなくて、ちょうどよく嫌な感じを味わうのです。ぶおんぶおん。(はたらきねこ)
・バスの運転手さんは運転中、他の運転手とすれ違うとき片手を上げて挨拶をしているようですが、いつもそうしている運転手同士がある日それをやめてしまっているのに気づいたら、何だか心がざわつきそうです。他の同じ車が無言ですれ違っても気にならないけどバスだけは違う感じがします。(mekeke)
・少しテレくさいような、仲間に会ったような、複雑な気持ち。縁はそれだけでも、縁は縁。よくある光景も意味深く感じます。(なかぎり)

9. 義父のデジカメに授乳する私の姿 3 1・1
作者:もも
◎十月水名 ○南天
・盗撮されてたのかと思いました。知らないうちに撮られてたのかと。義父はやましい気持ちなく撮ったのかもしれないですね。女性としてはどう思うのでしょうか?勝手に撮られたくないものだと思ってるんですが。(南天
・義父というのは本当に怪しげな存在ですね。(十月水名)

10. 笑う鬼涙の師走火の車 2 1・0
作者:みずいろばーど
◎mekeke
・「ええーい!どいたどいたあ〜〜〜!」と猛スピードで走り去っていく感じがして、当人はきっと大変だと思うんですが、傍から見る分にはとても賑やかで面白いなと感じました。笑ってる鬼はきっと助手席です。「笑っとる場合か!?あんたも一緒なんだよ!」「!!!」(mekeke)

11. 月光沁み出して影深く濃い 2 1・0
作者:祥
◎みずいろばーど
・描くイメージに共感する作品です。
どこか光の(つまり闇の)艶やかさを感じて、雨上がりなのかな、と想像しました。絵的に綺麗だと思いました。(みずいろばーど)

12. 歯磨き粉で描く冬空 2 0・2
作者:タケウマ
○十月水名、なかぎり
・冬だからこそ、いきる句ですね。歯磨き粉というか歯磨きのおっくうさも感じられました。(十月水名)
・朝でしょうか、夜でしょうか。何か歯磨き粉の冷たさが伝わってきます。(なかぎり)

13. 闇で触れてもわかるこのツノがきみだ 14 5・4
作者:ロケッ子
◎畦道、こみおく、タケウマ、Umbert Dolby、茂刈艾 ○木曜星、天坂寝覚、はたらきねこ、元気な人
・読む人によって色々な解釈がありそうな一句。闇の中で真の姿を現す悪魔。その正体を知りながらも、触れずにはいられない男。私はそのように読んだ。ユーモラスだが、どこか哀しい。(畦道)
・恋人がウシなのでしょうか。闇夜にたくさんのウシが走っている中、一頭のウシのツノを正面から両手でつかんでいる青年の姿が浮かびました。(こみおく)
・きみは犀なのか? 牛か? バイソンか? ツノガエルか? あ、鬼嫁か♪(タケウマ)
・いったい何者なのだろう。ツノのあるきみに対する愛があふれています。敢えてツノをも愛している深い愛。闇で触れる箇所に想像力を刺激されます。(Umbert Dolby
・妖怪譚のような世界が窺えてとってもチャーミングです。「闇」と「ツノ」「きみ」の温度差が可愛らしい。(茂刈艾)
・詳しい状況は分かりませんが、なんだかほっこりしたので。結婚前夜とかなのでしょうか。それとも鬼? 鹿や羊の可能性もありますね。……龍?(木曜星)
・こういう句は余り好きではないのですが、それでも描かれたものが面白いと思ったので取ります。(天坂寝覚)
・これほんとはよくわかりませんのです。ツノってなに?闇でも君ならわかるって愛情の深さは伝わるんですけど、ツノってなに?なに?ツノ生えてんの?鬼?鬼っ娘?そういう萌えがあるの?すごい時代ですな。あ、ラムちゃん的な?鬼嫁ってこと?状況がわからないなあ。異類婚姻譚?あ。ペットかな?ツノ生えたペット?……サイ……?サバクツノトカゲ……?わからんなあ。しかしそこが新鮮な部分なんでしょうね。ふふ。好きです。(はたらきねこ)
・なんだか官能小説のようなエロスがあってヒヤヒヤしました。(元気な人)

14. ふと先のことは空の青さが怖い 10 3・4
作者:ほろほろ
◎白熊左愉、天坂寝覚、フロヤマ ○さはらこあめ、もも、元気な人、祥
・なんとなく気になる句でした。ふと、で始まるのがいいです。(白熊左愉)
・句意がいまいち読み取りづらいと思ったのですが、むしろ少し読み取りづらいくらいがこういう漠然とした不安を描くのにはちょうどいいのかもしれません。(天坂寝覚)
・空も心もブルーになるという感じでしょうか。句意もさることながら、言い回しが絶妙です。(フロヤマ)
・ああそうですか俳句と紙一重なんですが、空の青さが怖いというのが切実な空しさが伝わるいい表現かなと。(さはらこあめ)
・ずっと晴れだったら良いのに。でも、絶対にそうはいかない、ころころ変わる天気みたいなのが人生。「怖い」という表現にゾクゾクときました。ただ一つだけ、何度も読み直し、考えたのですが「ふと」という副詞は必要だったのかなあと、少しだけ疑問に感じました。(もも)
・難しい句ですけど、その分解釈に幅が生まれて楽しいです。空は青過ぎてもどこか怖いんですね(元気な人)
・この文法的に正しいような、正しくないような危うさが、何より不安を上手く表している。(祥)

15. 今日ももしかしての曲がり角まがる 6 0・6
作者:うぐいす
○畦道、天坂寝覚、十月水名、フロヤマ、タケウマ、ニレ
・曲がり角の向こうに、好きな人の家がある。運がよければ、すれ違うかもしれない……。そんな想像の余地を残し、抑制を効かせた良句。曲がり角の向こうに、もっととんでもないものが待っていると想像しても、もちろん面白く読める。そこが優れている。(畦道)
・曲がり角でぶつかって云々、というベタな景色が思い浮かびました。
この“もしかして”をいったいどれだけの人が現実として体験できるのかは分かりませんが、こういう期待感は確かにあります。(天坂寝覚)
・未来をあらかじめ知る、という気配。あります、あります。(十月水名)
・学生時代の下駄箱などと同じ発想ですね。ドキドキしちゃいます。(フロヤマ)
・多分、明日も♪(タケウマ)
・クルマの助手席での気持ちでしょうか。ドキドキするような、怖いような、でも心のどこかでずっと待っていたような…。そんな曲がり角を曲がる一瞬をスローモーションで切り取ったような句ですね。流れてゆく街灯の明かりを窓から眺めつつ物思いに耽る主人公。…勝手な物語が頭の中で膨らんでゆく句って好きです。(ニレ)

16. 気の利いた台詞留守にしております 6 1・4
作者:南天
◎ほろほろ ○うぐいす、mekeke、茂刈艾、祥
・そうですね、留守にできたらいいと思う場面は多々あります。トランプゲームのパスのようです。それを「気の利いた台詞」と表現したところに惹かれました。(ほろほろ)
・困りますね。早く帰ってきてください。(うぐいす)
・気の利いた台詞一つも出てこない自分を心の中で滑稽に言っているのかなと思いました。言いながらどんどん真っ白になるような。その後しどろもどろに声をかける様が浮かんで、なんかいいなあと感じました。普段頭のどこかにあったはずが出なかったんだとしたら自分の身の丈に合わない台詞だったのかもしれないなと感じました。(mekeke)
・うまく言えないもどかしさを「留守」とサラリと流す柔軟さは気が利いている。(茂刈艾)
・こういう風に清々しく言いたい!(祥)

17. 売らんかなの街角の疎ましさいじらしさ
作者:なかぎり

18. 綿の雪も年々減っている 1 0・1
作者:木曜星
○ロケッ子
・飾っている間に、外れたり失くしたりして徐々に減っている綿の雪。なんでそんなとこをピックアップするのかなぁ、おもしろいなぁ。新しい綿の雪、買い足すこともしない。(ロケッ子)

19. そこかしこで雪が待ちわびている 1 0・1
作者:ニレ
○白熊左愉
・「雪が待ちわびて」という表現が綺麗だなと思いました。(白熊左愉)

20. 父という自死の先達ある強み 7 2・3
作者:はたらきねこ
◎さはらこあめ、玉虫 ○畦道、ロケッ子、かもせり
・句としては上手い句ではないかもしれない。でも私はこの物語が良いとおもいます。本当は強がりかもしれない。だが強く生きてやるよという句だと感じた。(さはらこあめ)
・凄惨な過去を持ちながら前を向こうとしている強さを感じる。すごく好きです。こういう激しさのある句を、私も詠みたいのです。胸がざわざわします。(玉虫)
・一瞬どきっとするが、これは『生きる』という宣言。(畦道)
・その強みは、本当に強いと思う。先達とは違う方法で進んでいこうという強さも感じられる。(ロケッ子)
自死ということばには自殺とはまた違った重みがあります。そしてこの句では「自死」が生きていると感じました。(かもせり)

21. 月ばかり明るい小銭しかない夜道だ 14 4・6
作者:玉虫
南天、ニレ、千代、祥 ○さはらこあめ、天坂寝覚、ほろほろ、うぐいす、フロヤマ、タケウマ
・月明かりに照らされて小銭を数える姿が目に浮かぶ。大金を持っていたら店に飲みにでも行くのだろうが、自販機で缶コーヒーでも買い飲みながら歩くのだろう。シブい。(南天
・「現実は心許ないけれども心は晴れ晴れとしている」「月はカラっと晴れているのに現実を見ると心が沈んでくる」この2つの心情を行ったり来たり揺れている状況かな、と。読んでいる時の自分の心情で見えてくる場面が変わってくるなぁ、と 昨日書いておいた句評と今の気持ちとで間逆な感想を持っている自分を見てそう思います。(ニレ)
・青い夜に白い月の光が溢れてて。でも独りで、金もない。美しさと冷たさと詫びさと、いっぱいつまってほんとに素敵。(千代)
・煌々と照る月と小銭の取り合わせが好きです。(祥)
・ひもじいねえ。共感します。ただ月だけが明るいことをマイナスととらえたかプラスととらえたか分かる表現が欲しいです。(さはらこあめ)
・要素が少し多いかなと思いますが、単純に好きな句です。(天坂寝覚)
・温かいコーヒーくらいは買えますよ。(ほろほろ)
・心もとない懐を、月に覗かれている気がして、なんとなく背中も丸まってしまいそう。(うぐいす)
・放哉風ですね。虚しさ切なさを感じます。(フロヤマ)
・小銭を大切に握り締めよう♪(タケウマ)

22. ひっそり閑のかおりをご存知? 3 0・3
作者:茂刈艾
南天、こみおく、玉虫
・ひっそり閑を嗅覚で感じたことなかったです。「ご存知?」と尋ねられることでハッとしました。無臭だと思いますが、敏感なかたは違うのかも。(南天
・「さすらいのアケミ」のような通り名みたいでおもしろいと思いました。「アンタ、ひっそり閑のカオリをご存知ないかい?」(こみおく)
・なんかコケティッシュ。可愛い。是非教えて下さいひっそり閑のかおり。きっとキミに似て清潔な石鹸のようなかおりがすることでしょう。(玉虫)

23. 娘の一人称が「わたし」に変わった今年も暮れる 6 0・6
作者:千代
南天、ほろほろ、かもせり、Umbert Dolby、玉虫、なかぎり
・娘さんの成長が感じられますね。一年を振り返り、自分のことではなく娘のことをもってきたところに親心も感じられました。(南天
・時間の流れが目に見えてしまう時はドキドキします。(ほろほろ)
・来年はどのように成長するのか、期待の反面寂しさを感じます。(かもせり)
・これは、心情的に共感できる句。娘の成長の切り取り方が秀逸。『今年も暮れる』との取り合わせも素晴らしい。(Umbert Dolby
・少し大人になった娘さんへの静かな愛情を感じます。あわただしい中にも新しい嬉しさ、もしかしたらちょっとしたさみしさを感じている年の暮れ。ぐっときます。好きです。句全体のリズムもすごくいいと思う。(玉虫)
・振り返ると成長している我が子。特に自分と他人との距離感をつかんだ瞬間は、頼もしくも寂しい。そんな気持ちが伝わってきます。(なかぎり)

24. 蟷螂死す哀しくもない冬の庭 2 0・2
作者:フロヤマ
○ロケッ子、玉虫
・ひとつの死。それが自分にとって何の影響も及ぼさない。哀しんでいない自分も含めて一枚の絵のようで、非常に興味深い句でした。(ロケッ子)
・個人的に虫や小鳥が死んでいる光景に非常に弱い。いちびっていたカマキリもひっそり死んだ冬の庭。感情すらも動かない冬の静けさを感じます。好き。(玉虫)

25. 老猫と想い出話冬こたつ 4 0・4
作者:白熊左愉
○さはらこあめ、みずいろばーど、Umbert Dolby、千代
・もう少し表現を変えればいいとは思います。(さはらこあめ)
・特選に選ばせていただいた作品(No.11)と対極の魅力を感じました。温かく、素朴で懐かしい。(みずいろばーど)
・しみじみと鑑賞できる良句。作者の人柄も偲ばれます。(Umbert Dolby
・冬のぬくぬく。猫とこたつとみかん、これ以上ないですね。老猫とすることで想いが増して、年の瀬近づくこの時期にはまた、残された時を色濃く感じます。(千代)

26. 欄干の靴跡に淡雪ふれて遠い目の鴉 3 0・3
作者:さはらこあめ
○畦道、もも、ニレ
・調子よく読み流しそうになるが、『欄干の靴跡』である。ここを誰かが、飛び越えていったのだ。それに気づくと、景色は一気に重苦しくなる。もしかして、鴉は不要だったかもしれない。『欄干の靴跡に淡雪』。(畦道)
・まるで、旅の一風景みたい。とても綺麗にまとまっているのだけど、どうして、欄干の上を歩く必要があったのだろうか、誰が欄干の上を歩いたのだろうかと、「ん?」と思わせるところが面白いです。(もも)
・これは映画の一場面のような句ですね。誰かが橋の欄干から身を投げたその一部始終を見ていた鴉。白い雪に少しずつ隠されゆく中、一羽の漆黒の鳥は何を思うのか…。深い余韻が残る句です。(ニレ)

【結果】「食べ物」しばり

1. 多分この人別れても猫背で食べてる 18 7・4
作者:祥
◎木曜星、南天、ほろほろ、ロケッ子、はたらきねこ、玉虫、なかぎり ○畦道、天坂寝覚、十月水名、ニレ
・これも特選にしたかった。うまいです、猫背。僕もです、猫背。この人(彼氏か彼女)が猫に見えてきて、猫だからわがままだし勝手だし、でも可愛いし愛おしい。読めば読むほどいい句ですね。やっぱり特選にしましょう。特選!(木曜星)
・別れても姿勢正すことなく、そのままの人なのだろう。頑固な人が猫背で食べているのが見える。(南天
・少し距離を置いて「この人」を見ている視線がいいですね。その距離感に愛情が感じられます。そしてその人の猫背も見えてくるようです。・・エッセイのようにも読めます。(ほろほろ)
・猫背の人に弱いです。太田光が背中を丸めてご飯を食べている姿を想像。ああ、この人は私と別れてもこうやってご飯を食べて… などと妄想したらなんか切なくなった。(ロケッ子)
・女性の視点だなと感じました。飽きられたのか、それともどうしようもなく愛しいと感じてくれているのか。どちらともとれるようで、しかしそれを「どちら」と分けるのは自分が男性だからなのかもとも思ってしまったりします。きっとこの女性の中では、この相手に対する感情はもっと渾然としているのでしょうね。別れを決めたわけではない。しかし明日別れてもおかしくはない。そんな目で無心にスパゲティを食べるぼくを見ているのか……。ハフハフ言ってる場合じゃないなあ。あうあう。(はたらきねこ)
・切ないです…(´;ω;`)ウッ 食べ物とわびしさが合体すると、何かもう身悶えせずにいられない。一番印象に残ったので特選とさせていただきました。(玉虫)
・女性目線なのでしょう。そんな風に見られる人もいるんですね。僕には無縁ですが。(なかぎり)
・こたつでみかんを食べるときも、レストランでナイフとフォークをカチャカチャいわせるときも、猫背。別れても、と言いながらたぶん別れないんだろうな、という優しい視線を感じる。(畦道)
・落胆なんだか諦めなんだか分かりませんが、なんとなく愛を感じました。(天坂寝覚)
・食べ方って印象に残るものですよね。(十月水名)
・映画の回想シーンのようなモノクロームな映像が浮かぶ句ですね。
だからどう、っていうことではないけれど、だけどそう、っていうわけにもいかない気持ち。(ニレ)

2. チョコレート少し溶かして交わすキス 1 0・1
作者:白熊左愉
○もも
・少し溶かして…ということは、まだ少し口の中にチョコレートが残っているはず。そのチョコレートを舌で転がす感じとか、生ぬるさとか、甘さとか、キスの感触とか想像すると、ついにやけてしまいます。(もも)

3. こんな格好で反逆のマヨネーズ 5 1・3
作者:ほろほろ
◎Umbert Dolby ○茂刈艾、タケウマ、千代
・マヨネーズのキャラがビシバシ立っています。こんな恰好なのは、筆者なのか、マヨネーズなのかわかりませんが、後者ととりました。あの減ってしまってぐにゅっと反り返っている姿を自虐的に『反逆』と表現した作者に敬意を表します。深いと思います。脱帽。(Umbert Dolby
・勢いに笑ってしまいました。容器から漂う不穏な気配が滲み出てくるよう......それにしても、いったいどんな格好だ。(茂刈艾)
・どんな格好なの???(タケウマ)
・まよりーん♪どんな格好なのかしら?こんなわくわくしちゃう句は私には作れないです。(千代)

4. 恋の始まりはキャラメルポップコーン 1 0・1
作者:もも
○mekeke
・甘さの中にほろ苦さもあるキャラメルが始まりなら、終わりは何味なんだろうと思いました。結局塩バター味が一番?いやむしろ煎餅か。その前に喉が渇くだろうなあ。(mekeke)

5. 食べ物の恨み恐ろしい核シェルター 2 0・2
作者:南天
○木曜星、ほろほろ
・恐ろしいですよね。頭にキノコ雲が出ていますからね。(木曜星)
・それは恐ろしいでしょうね。(ほろほろ)

6. もう居ない君の席に私のごはん小盛り 5 2・1
作者:千代
◎天坂寝覚、茂刈艾 ○白熊左愉
・こんなに小さい景色でありながら、そこにある喪失感の大きさたるやすさまじいです。(天坂寝覚)
・「小盛り」の表す距離感が好もしい。ぎこちない親愛の情が歯痒くも愛らしいです。(茂刈艾)
・さびしさが伝わります。(白熊左愉)

7. 霜の夜や分子構文解いて居り
作者:Umbert Dolby

8. ゆで卵まるごと一個口に入れてみる 5 1・3
作者:タケウマ
◎こみおく ○かもせり、はたらきねこ、元気な人
・何回読んでも笑えます。五七五のリズムで読むとだらしない字あまりになる感じもとても好きです。(こみおく)
・むしろ口に入れた後のことを句にして欲しいと思いました。(かもせり)
・ タブーへの挑戦はそれ自体が快楽と成り得る。その好例ですね。きっと今は一人なのでしょう。周りに咎める者はいない。今だ!しかしせっかく面白い顔になっても一人なのでもったいないですよね。わかります。自分は昔、こぶしが口に入ったのですが、今やってみたら入りませんでした。これも老化です。さびしいことです。(はたらきねこ)(はたらきねこ)
・入れてみたくなる丸みではありますよね。で後悔する。でまた入れてみたくなる。で後悔する。そうやって生きて死ぬんでしょうね。(元気な人)

9. 殺めねば生を語らるや
作者:みずいろばーど

10. まだ泳いでいたかったか喉の骨 14 3・8
作者:ロケッ子
◎白熊左愉、うぐいす、フロヤマ ○こみおく、木曜星、南天、Umbert Dolby、タケウマ、ニレ、千代、元気な人
・喉にささったことを魚の生への執着とみなしたところがいいなと思いました。(白熊左愉)
・無言の抵抗。食われてなお魚の生命力を感じる。(うぐいす)
・喉にささった魚の小骨。もしかしたら、生への執着なのかもしれませんよね。着眼点が素晴らしい。(フロヤマ)
・なんか和尚さんが喉から取り出した骨に笑いながら話しかけているようすが浮かびました。生臭坊主。(こみおく)
・引っかかった骨をそう捉えるとは、感服いたしました。(木曜星)
・喉にある骨がなかなか取れない感じがする。喉で骨の魚が動く気持ち悪さもある。(南天
・喉に引っかかった骨を相手に皮肉を言う負けず嫌いなところが好きです。(Umbert Dolby
・その状況での落ち着いた分析に感服し候。(タケウマ)
・喉の奥に動く魚の骨から大海原まで一瞬にしてダイナミックに映像展開する心地良さが最高。と同時に命のことにまで思いを馳せさせるテーマの深さに脱帽。(ニレ)
・最後の抵抗と未練。捕食する側とされる側の感情が残るこんな句、いいですね。(千代)
・喉に引っかかった魚の骨があたかも意思を持ってるかのようなおかしみのある句ですが、言い回しの妙を感じました。(元気な人)

11. 歯のない顔でまんじゅうくれた 19 4・11
作者:畦道
◎さはらこあめ、mekeke、みずいろばーど、元気な人 ○こみおく、南天、天坂寝覚、ロケッ子、うぐいす、茂刈艾、フロヤマ、玉虫、千代、祥、なかぎり
・歯がないということは、ひょっとしたら自分で食べるものだったかもしれない。それをくれるとはその人への愛情がよく伝わります。上手い。(さはらこあめ)
・口開けてにこーっといい笑顔で「ほら、食べな」てまんじゅうをくれるおばあちゃんが浮かんで、そんな風に渡すから本当はあんこ好きじゃないけどつい受け取ってしまうような、そんな風景が浮かびました。このまんじゅうはどこから来たんだろう。貰い物、それともわざわざ買ってくれたのかなぁ。(mekeke)
・ありがちパターンでも感動には違いない。賞味期限が切れてるけど食べる、みたいな。(みずいろばーど)
・食べられなかったんですかね。まんじゅうくれた人を「歯のない顔」だなんて言っちゃう辺りも好きです。(元気な人)
・じいさんなのか、乳歯の抜けたこどもなのか、いずれにしても屈託のなさとまんじゅうがよくあっています。(こみおく)
・歯の抜けた老人かまだ歯の生えそろってない子供なのかはわからないが、
とても良い表情でまんじゅうを勧めてくれてるように思う。(南天
・“歯のない顔”がおじいちゃんかおばあちゃんか分かりませんが、まんじゅうをくれるのはだいたいおばあちゃんな気がします。(天坂寝覚)
破顔一笑。そして、おまんじゅう。この句をとらないわけにいかない。(ロケッ子)
・優しそうなばあちゃんの笑顔が浮かぶ。まんじゅうみたいな、まんまるなばあちゃん。(うぐいす)
・無骨な言葉の並びが良い。それがまた「歯のない顔」にも「まんじゅう」にも結びついて喚起力がある。(茂刈艾)
・温かい気持ちにさせてくれる句です。(フロヤマ)
・だから!じいちゃんばあちゃんものに弱いんだよオレは!!(泣)(泣)(泣)(玉虫)
・丸くてシワシワで、満面の笑みで。いつも幸せをわけてくれるおばぁちゃんを思い出しました。(千代)
・『歯の無い顔』で取りました。皺くちゃの笑顔が浮かぶ。(祥)
・きっとしわくちゃで微笑んでいたんでしょうね。いい絵面が浮かびました。(なかぎり)

12. 結局えりんぎはつかわない 4 0・4
作者:はたらきねこ
○畦道、十月水名、mekeke、茂刈艾
・チャーハンとか野菜炒めとか、シチューとか。まあ使ってもおかしくはないのだろうが、結局使わないエリンギ。誰か、エリンギが絶対必要だというメニューを教えてほしい。(畦道)
・何を作ろうとしたのでしょう。男の料理でしょうか、など考えてしまいます。(十月水名)
・「まあ、しめじもあるし、エリンギはまたでいっか」てなることがよくあるなあと思い出しました。フライにすると美味しいですよね。脇役なようで案外主役の方が向いてるのがエリンギなのかも。(mekeke)
・あるあるですね。使い勝手が良いと思いがちですが、案外そうでもないえりんぎ。「使わない」ではない「つかわない」がしっくりきました。(茂刈艾)

13. 塩むすび作ってみたよばあちゃんと手を合わせていた
作者:さはらこあめ

14. うたたねはデミグラスソースの二日目 2 0・2
作者:十月水名
○かもせり、ニレ
・「冬の暖かさ」が伝わります。(かもせり)
・芳醇な甘いコクとまろやかさ。
ゴールデンスランバーの表現としてデミグラスソースを持ってくるのはナイスですね。なるほど、たしかにあれは次の日のデミグラスソースだ。(ニレ)

15. いっぱいの死をいただいてきた体で今日も 4 0・4
作者:天坂寝覚
○白熊左愉、ロケッ子、フロヤマ、玉虫
・たくさんの命をいただいて生きている今日であることへの感謝の気持ちをひとは忘れがち。それを思い出させてくれる句だと思いました。(白熊左愉)
・「今日も」で終わるのがうまいなぁ、と。いろいろと想像させてくれる。そして明日もまた、いっぱいの死をいただいて生きていく。(ロケッ子)
・食べ物への感謝の気持ちを思い出させてくれる句です。(フロヤマ)
・「夜鷹の星」に通じるやるせなさ。でもこのことを忘れてはいけないんだなと自分に言い聞かせ。有難く、今日も何かのいのち、いただきます。(玉虫)

16. ゲテモノ食いではないが上司の土産 1 0・1
作者:かもせり
○木曜星
・お土産は普通のものがいいですよね。でも、僕もゲテモノを買ってしまうなあ。そして、人にあげてしまうなあ。でも、グロいものほど美味しかったりするんですよ。(木曜星)

17. カップメン作る妖精を覗く 11 3・5
作者:木曜星
◎もも、畦道、タケウマ ○ほろほろ、うぐいす、十月水名、祥、なかぎり
・妖精って誰かなあ?子供、女の子?それとも本当に妖精だったりして。私は、女の子であって欲しいな。日本人なら、誰でも一度は食べたことがあるカップ麺。そう、カップ麺を食べなさそうなあの子だって、スーパーで98円くらいのカップ麺に、やかんを傾けてお湯を入れている。そのギャップに萌える。(もも)
・美しい♪ ティンカー・ベルがカップメン啜る姿を見てみたい♪(タケウマ)
・夜中に時計のなかから現れて仕事を手伝ってくれる小人の話を思い出した。確か、そういう場合はお寿司を置いておくのではなかったか。しかし作者はカップ麺で済ませてしまった。安上がりだ。(畦道)
・想像すると楽しいです。(ほろほろ)
・覗かないでとあれほど言ったのに…。お別れです。(うぐいす)
・妖精はいろいろなところにいることを気付かせてくれました。(十月水名)
カップ麺を妖精が作っているとは知らなかった(笑)こういう無駄なファンタジー好きです。(祥)
・ふと起きて水を飲みに夜中に台所行ったら居たんですかね。不思議な面白味。(なかぎり)

18. 白飯一口分の今日を飲み下して眠る 1 0・1
作者:ニレ
○みずいろばーど
・結局のところ、その程度である。けれども、その一口を淡々としっかりと飲み下してゆくことの、計り知れない大切さ。(みずいろばーど)

19. ライスカレーの名にふさわしい気品がある 1 0・1
作者:こみおく
○もも
・とても美味しそうな句。結局は、カレーライスもライスカレーも一緒なのだと思うが、ライスカレーという響きが、どこか懐かしくて、日本人好みのカレーらしくて良い。ちなみにライスカレーとは、お皿の上にご飯とカレーが一緒に乗ったものを言うそうだ。(もも)

20. つつましく惣菜を買う老婆ひとり 8 2・4
作者:なかぎり
◎千代、祥 ○さはらこあめ、こみおく、白熊左愉、みずいろばーど
・食べてくれる人がいなくなると、食事って作る意欲もなくなって。不経済だとは思ってもついつい惣菜に手が伸びてしまう。それが日常になっていく。何気ない一コマだけど、こうして詠まれると感慨深いです。(千代)
・自分に相応な食べ物を選んで買う、老婆の姿が美しい。(祥)
・つつましく、というのが、愛する人に先立たれた方のようなイメージがわきました。愛されなくてひとり、ではなく、愛されてひとり、という絵が浮かびます。(さはらこあめ)
・つつましいと惣菜と老婆とひとりがまるで縁語のようです。ばあさんの暮らしぶりが気になります。(こみおく)
・情景が浮かびました。「老婆かな」とかでもよいかな?と思いました。(白熊左愉)
・そういう方を見ると、なんだかいけないものを覗いてしまったような気がしてしまいます。その方の歩いてきた人生ドラマのラストシーンを見ているような、せつなさにも似た感情。(みずいろばーど)

21. 腿の間のすり鉢を叱る祖母 3 0・3
作者:茂刈艾
○フロヤマ、Umbert Dolby、はたらきねこ
・アイロニカルな句意でしょうか。泣きたくなります。(フロヤマ)
・叱ってくれるお婆ちゃんに対する愛情を感じます。ありがたい句。(Umbert Dolby
・ 優しい時間のように感じました。実際に祖母の料理を眺めるという経験がないので、多少の羨望込みで想像しています。腿の力が衰えてしまって、動くすり鉢に向かって「動くんでない、ほれ」とか言いながら山芋をすっているのでしょう。若いころに比べれば大変な労力のはずです。それでも孫のために山芋入りのふんわりした厚焼き卵を作ろうと奮闘しているのでしょう。いいなあ、そんなばあちゃんだったらいてもよかった。(はたらきねこ)

22. 叱られたあと泣きながら食べたおにぎり 6 0・6
作者:玉虫
○さはらこあめ、かもせり、みずいろばーど、Umbert Dolby、祥、なかぎり
・小さな子が、くしゃくしゃに泣きながら、食べている印象でした。そのおにぎりは、身も心もとてもあったかくなるおにぎりだったんでしょうね。(さはらこあめ)
・こういう味は何時までも忘れられない。(かもせり)
・たぶん誰にでもあるのではないかと思われる、思い出のワンシーン。本当の優しさとはどんなものか、分かったような気がした日。(みずいろばーど)
・涙の塩味が効いて美味しい句。だれもが経験のある情景をぽんと出してきた素直な句ですね。(Umbert Dolby
・こういう時の塩むすびは旨くて一生忘れませんね。(祥)
・誰にでも(少なくとも僕には)あった経験。鼻をすすりながら食べるのは、悲しくて、美味しくて。(なかぎり)

23. 七面鳥骨までしゃぶるか敬虔な君よ 5 2・1
作者:フロヤマ
◎かもせり、ニレ ○玉虫
・いのちを頂いて生きている以上、骨までしゃぶるべきなのかもしれません。いろいろ考えさせられました。(かもせり)
・イメージを壊された時のショックとその反対側に現れる新しい魅力。フェチ的好奇心はこんなところから芽生えるのでしょうか。そんな彼女の姿にもう惹きつけられはじめている主人公の姿が目に浮かぶようです。異性を語る上で「落差」ほど魅力的な調味料はありません。(ニレ)
・いまの季節にぴったりの、ユーモラスでちょっと毒のあるポップさ。好きです。(玉虫)

24. 耐えに耐え謀反起こした〆にパスタ 1 0・1
作者:mekeke
○ほろほろ
・〆にパスタが可愛いです。(ほろほろ)

25. 君のカレーは醤油と相性がいい 4 0・4
作者:うぐいす
○もも、畦道、南天、元気な人
・カレーに醤油をかけて、美味しそうに食べている様子が伝わりました。皮肉な言い方にも感じましたが、照れ隠しのようにも感じました。いろんなカレーがあるけれど、何のためらいもなく醤油をかけることができる「君のカレー」が一番なのかもしれません。私もこのカレーを食べてみたいと思いました。(もも)
・もうひとつあったカレーの句と迷ったが、こちらを。たぶん、バーモント甘口を説明書通りに、何も付け足さずに作っている。(畦道)
・最初は和風のカレーなのかと思ったが、出されたまま食べると美味しくないようにもとれる。醤油をかけると食べられる。または醤油をかけないと食べられないのかも。不味いと言えず、このように言ったのかも。(南天
・単にカレーには醤油と決めた人の言い訳がましい句なのか、今ひとつな味を優しく諭してあげてるのか。願わくば後者、いや前者で!(元気な人)

26. 食べないほうの草だった茶を飲む 9 1・7
作者:元気な人
◎十月水名 ○さはらこあめ、天坂寝覚、ロケッ子、うぐいす、mekeke、タケウマ、はたらきねこ
・とんでもないことしちゃったかも、でも落ちつけって感じでしょうか。どこか笑えます。(十月水名)
・何を食べちゃったんでしょう。何故か山頭火を思い浮かべました。(さはらこあめ)
・食べるほうの草はなんだったのか気になります。(天坂寝覚)
・草を「食べないほう」「食べるほう」と分けたことない! なんだろう、野草なのかな。「草だった」という過去形も気になる!(ロケッ子)
・食べるときはなにも思わなかったのに、あとになってわかると急に違和感を感じたりして。お茶で流しとこう。(うぐいす)
・芸術的に盛られた料理はどこまで食べていいのか迷う時があります。(といっても実際食べたことは無く、テレビで見ていてそう思うだけですが)ばつの悪い恥ずかしさが滲む一句だなと感じました。(mekeke)
・よくわかんない♪ まあ、茶を飲んだからいいのか。こういうリズムが自由律の定型なのかなあ。なじむんだけど、まるめこまれているような気もw(タケウマ)
・ バツの悪さが目に見えるようです。背伸びしてこんな店に誘うもんだから。彼女にかっこいいとこ見せようなんてね。イタリアンかな?なんとかワイン選びはやり過ごしたのに、ムール貝かなんか頼んだんでしょ?飾りの香草を食べちゃって。口の中に微妙な味が広がって、あわてて出てきた茶を口に運ぶ……。でもそれお茶じゃなかったでしょ?フィンガーボウルでしたってベタなオチまでついちゃって。ふふふ。かわいらしいですね。(はたらきねこ)