【結果】雑詠

1. 春コアラかと思ったら君か 1 0・3・2
作者:はたらきねこ
○畦道、ほねを、京介 ●茜谷りょう、もも
・春コアラ、というのが実はなんだかよく分からないのだが、そういう人が実際いそうな気がして、可笑しかった。ずいぶんなご挨拶だ。これは機会があれば私も使ってみたい。(畦道)
・おもしろいのですが、『春』はいるのかな?と思います。(ほねを)
・「春コアラ」という季語があるのかと思いましたが「春/コアラ」で切れてるのですかね。
コアラと見間違うようなことがあるのか。お世辞的な意味で言っているのでしょうか。きっと「君」は可愛らしい人なのでしょうね。(京介)
・抱きついてきた君をコアラだと思ったのでしょうか。春とコアラが結びつかなくて困ったので今回は逆選にさせていただきます。(茜谷りょう)
・ずっと気になっていた句。「春コアラ」って、なんだろう…。「春、コアラ」で区切れるのかも。自分勝手な解釈で、申し訳ないのですが、「春コアラ」というのは、春子ちゃんという女のニックネームで、きっとAKB48の柏木さんに似た、素敵な女性なんだろうなあと。春コアラと、君と、この句の主人公の関係が気になります。(もも)

2. それを言ったらおしまいのパンジー咲いている 7 2・3・0
作者:タケウマ
◎天坂寝覚、晶 ○ロケッ子、玄齋、うぐいす
・ちょっとだけ「男はつらいよ」を思い出しました。(天坂寝覚)
・日常的な只ならなさにドキドキします。(晶)
・句の勢いがとてもいい。好きです。パンジーなんて、一見のんきな花なのに、「それは言ったらおしまいの」をつけられちゃってる! 全然定型じゃないんだけど、定型の美しさに似た雰囲気も感じました。(ロケッ子)
クチナシの花ではなく失言をしてしまった後にパンジーが笑っている、ドンマイ、という言葉をかけているのかなと思いました。(玄齋)
・寅さんの名セリフのよう。その風のような言葉に、ひらひらとパンジーがそよいで、「ま、いっか」って言いたくなります。(うぐいす)

3. 陽うらら洗った梵天をただ乾かしている
作者:こみおく

4. 屋に居れば愈々深し春驟雨 2 0・2・0
作者:ほねを
○玉虫、白熊左愉
・有季定型かな。春の物憂い、優しい雨の感じと、そんな雨に閉じ込められる感覚がすごくいいなと思いました。春の雨を詠むならこんなふうにやりたいという理想の句。好きです。(玉虫)
・これはプロの俳人の方の作品という感じがしました。。(白熊左愉)

5. おそるおそるおそそもおほ犬のふぐり 2 1・1・1
作者:いつ藻
◎もも ○天坂寝覚 ●はたらきねこ
・語呂が良いな、という第一印象で選びました。たぶん、エロチックな句なのでしょうが、それを感じさせず、まるで種田山頭火を思わせるような句になっていると感じました。「おほ犬のふぐり」っておもしろい名前ですよね。(もも)
・語感が好きです。(天坂寝覚)
・いったい何を言っているのか。困ったものである。性別はまだ男だったということなのか。きれいだと思って手をだしたのならそれでいいではないか。山頭火の句を想起しすぎてしまうし、音韻の楽しさだけ、あるいはおそそ言いたいだけなのでは、とも思う。逆選王になってもらいたいので一票を投じる。(はたらきねこ)

6. 君の愚痴話がないと会えない距離 2 0・2・0
作者:茜谷 りょう
○いつ藻、京介
・二人の距離感の違いが面白いです。(いつ藻)
・話がなくても会える距離、一緒に住みたい結婚したいみたいなことを愚痴としてこぼしているのでしょうね。話があれば会える距離なのだから羨ましいとも思います。(京介)

7. いつまでも鼻に残るうた歌う 4 1・2・0
作者:mekeke
◎こみおく ○玄齋、元気な人
キダタローの曲かな?「鼻にのこる歌」の表現がおもしろかったです。(こみおく)
・花粉症の頃の歌かなと思いました。毎年思い出しそうですね。(玄齋)
・一日中頭のなかで流れてる曲ってありますよね。それを「鼻に残るうた」って表現されたのかなって解釈したんですけど、言い得て妙だなと思いました。それでもうやられました。(元気な人)

8. 包丁を持って何を切るべきか 14 2・10・0
作者:玄齋
◎元気な人、mekeke ○ロケッ子、いつ藻、玉虫、白熊左愉、茜谷りょう、木曜何某、こみおく、タケウマ、フロヤマ、晶
・料理をしない僕なんかはとても共感できる句です。たまに気が向いて包丁こそ持ってみるものの、何から切っていいかすらわからない。新しいことに挑戦したくなる時の希望や期待や諦念の詰まった、なんだかとても春らしい良い句だと思いました。(元気な人)
・どうせ切るなら快く身になるように、そうなるものを切りたいです。(mekeke)
・特選と迷った。読んですぐさまゾクっとした。通常、包丁を持つときって既にその目的があるものだろう。キャベツを切ろう、で包丁。肉を切ろう、で包丁。それなのにこの句は、まず包丁を持っている。不穏な雰囲気に魅力あり。(ロケッ子)
・なぜか殺伐感はあまり感じない。あるいは、単に包丁を手にしてから料理を考えているあべこべな図か。(いつ藻)
・包丁の冷たい感触とぴーんと張り詰めた空気が伝わってきます。そしてこういう気持ちもよく分かります。こういうときね、そのままいつもどおりにご飯作ってみてね。生だった食材に火が通って食べられるものになってく過程に、すごく癒されますよ。料理嫌いの私ですらそうなのだから大丈夫。お料理しましょう。(玉虫)
・ちょっと怖いですが、気になってしまいました。(白熊左愉)
・包丁を持って立ち尽くす姿を想像して笑ってしまった。切りたいものは包丁で切れるものなのだろうか。(茜谷りょう)
・うんうん、わかります。包丁を持って、持っただけという。でも、狂気の句でもありますね、たぶん。(木曜何某)
・なんか怖い。怖いけどちょっとおかしい。(こみおく)
・大根とか切るとスッとするよね。人参のちょっと硬いところも好き♪ 野菜系がいいんじゃないかな〜♪(タケウマ)
・料理の場面、それとも……。想像が膨らみます。(フロヤマ)
・怖いけどありふれた感情ですよね。どの家の台所にもある包丁みたいに。(晶)

9. 捨てちまえと肩抱くぬるく強い風の日 1 0・1・0
作者:玉虫
○晶
・冷たい風じゃ駄目なんですよね。ぼふーっと覆いかぶさる生暖かい風は心がざわざわします。(晶)

10. 晴れた風を野球帽とんでいった 3 0・3・0
作者:天坂寝覚
○こみおく、うぐいす、元気な人
・実際には無さそうな風景だけど、すがすがしい。(こみおく)
・読んだ瞬間、甲子園球場の風景が浮かびました。晴れた「風」としたのがおもしろいですが、「を」に少し疑問。いっそここの助詞はなくてもいいかなと思いました。(うぐいす)
・晴れた風を野球帽とんでいった。晴れた風を野球帽とんでいった、ですよ。良いですね〜。素晴らしい言い回しと絶妙なバランスの句で、僕には絶対に作れない句だと思いました。晴れた風を野球帽とんでいった。何度でも言いたくなる句ですね。晴れた風を野球帽とんでいった。(元気な人)

11. 騙されて押さされた判子欠けている 8 3・3・1
作者:京介
◎白熊左愉、畦道、ほねを ○玄齋、木曜何某、mekeke ●こみおく
・判子が欠けていて本当によかったなあと!人を騙して平然としている悪人に報いることができたことが爽快。(白熊左愉)
・『押さされた』というのが少々たどたどしいが、だから騙されるのだ、と納得させる効果があるようにも。欠けた印鑑は凶相だともいう。いろいろなものを匂わせ、怖い一句だと思う。(畦道)
・私の印鑑も欠けていますのでついつい選んでしまいます。特選にこんなこと言うのもなんですが、『押さされた』という認識は少し反省が足りないように思います。やはりここは『騙されて押した判子の欠けている』と、押した責任は自分が引き受けるべきだと思います。(ほねを)
・あわててハンコを押した情景が浮かびます。(玄齋)
・判を押したのは契約書というよりも、婚約届なんじゃないでしょうか。夫婦仲が悪くなって(浮気をされたり)見返してみると、もうこの時から欠けていたんだと。婚約届って見返せるものなのかは知りませんが。役所に出したらそのままなのでしょうか。(木曜何某)
・「押さされた」が何だか妙に気持ち悪いというか、私の中で収まりが悪くて「ううああああー!」「何でそんな〜!」とモヤモヤを感じたのですが、騙されて判子を押してしまったと気づいた時の気持ちもこれに近いものなのかも知れないとふと思って、なるほど!と一人感嘆の声をあげました。(mekeke)
・とても風情のある句で正選にしたかったのですが、「押さされた」の表現が口にひっかかるので惜しいと感じました。正しい表現でなくても、なめらかな言葉のほうが好きなので、普通に「騙されて押した判子」でいいのではないかと思いました。(こみおく)

12. 春の星もう伝えられぬ言葉抱き締め
作者:白熊左愉

13. テディベアがそう言うなら許そう 8 2・4・0
作者:木曜何某
◎玄齋、はたらきねこ ○いつ藻、もも、京介、タケウマ
・許しましょう。。。なぜかうなずいてしまいました。。。(玄齋)
・これは許さざるを得ない。小さな女の子が普段言えないわがままをぬいぐるみに代弁させているのでしょう。許す。お父さんは一日しもべとなるだろう。(はたらきねこ)
・テディベアと会話している絵が微笑ましいです。(いつ藻)
・もしも私の部屋にあるテディベアが、自分に語りかけているとしたら、を考えてみました。つぶらな瞳、小さな口、ふわふわの体…喋っただけで奇跡なのに、かわいいから何を言われても良いな…なあんて。あと、「TED」はまだ見ていません。(もも)
・テディベアが喋る映画があったが、基本テディベアは喋らない。小さい子供を叱っていて、テディベアが「許してあげて」と言ってることにしてるシーンが思い浮かびました。このテディベアは子供が仲良くしている(親友のような)テディベア。(京介)
・テディベアが言うんじゃ、しょうがないよね。(タケウマ)

14. 文学とは生き恥だよと年下の先輩 4 0・4・0
作者:畦道
○茜谷りょう、もも、はたらきねこ、晶
・むずがゆいことをむずがゆい人に言われた気持ち。(茜谷りょう)
・「文学とは生き恥だよ」だけでも、すごく良いと思いましたが、「年下の先輩」が言うから複雑な印象に感じました。「年下の先輩」に頭にきているようにも感じますし、尊敬しているようにも感じます。そして、自分より年下が先輩なのも「生き恥」なのかもしれません。そういえば、私にも、年下の先輩っていました。(もも)
・半可通が何言ってやがる、という感じだろうか。先輩の鼻持ちならない感じがよく出ている。テディベアが言うなら許すが。(はたらきねこ)
・15文字の後ろに一冊の小説が見える気がしました。(晶)

15. 足湯に来た足で帰ってく 7 1・5・0
作者:元気な人
◎ロケッ子 ○畦道、木曜何某、ほねを、天坂寝覚、フロヤマ
・そりゃそうだろう。作者の意図はわからないけれども、句から醸し出されている微妙な滑稽さに胸をうたれてしまった。(ロケッ子)
・終始、膝から下しか見えないようなアングルが面白い。(畦道)
・僕は足湯をしたことがないのですが、温泉やスーパー銭湯へ行って、家に帰ってきて、また風呂に入って、なんのこっちゃと思うときはあります。(木曜何某)
・句意がよくわからないのですがなんかよさそうなかんじがします。よめばよむほどすきになります。(ほねを)
・何か釈然としない気持ちが出ていると思います。(天坂寝覚)
・恐らく軽い足取りで帰ったのでしょう。スッキリです。(フロヤマ)

16. バレンタインデー遺体にリボンの家族葬 −2 0・0・2
作者:もも
●白熊左愉、天坂寝覚
・「遺体にリボン」というところが、私には違和感がありました。「棺に」なら、まだしも「遺体に」というのは・・。(白熊左愉)
・分からないし面白くもないです。(天坂寝覚)

17. 迷子になり切れず遠回りで帰る 13 3・7・0
作者:晶
◎いつ藻、玉虫、京介 ○茜谷りょう、畦道、ほねを、うぐいす、はたらきねこ、タケウマ、mekeke
・あった、あった。若いときにこんなことがと共感します。(いつ藻)
・いいいですねぇ。繊細な感情。高校の頃、どこか遠くに行きたい、けれどそんな勇気も当てもなく、やたらと自転車でぐるぐるぐるぐる、本屋をはしごしてたことなんかを思い出しました。でも感傷に流され切ってもいない。まさに自由律って感じの名句だと思います。好き。文句なしで特選です。(玉虫)
・大人になってから迷子になるというのは、ドキドキ感があるでしょう。迷子になりたい願望がある人も少なくないのではないでしょうか。迷子になれそうなチャンスだったけれど、帰れる方法を見つけてしまったという残念な印象を受けました。(京介)
・この方にその道の名前をつけて欲しい。皆あるんじゃないかな。(茜谷りょう)
・家の近所で、道を選ばず適当にうろうろと歩き廻り、『プチ放浪』のような気分を味わう。何者にもなり切れない空しさを噛みしめた後は、帰るところがある有り難みにしんみりすることになるのだろう。(畦道)
・私は迷子になろうと思ったことは一度もなかった。迷子にならないように必死でした。なので、この『遠回り』には、止事無き方のあすびのような余裕を感じ、憧れと嫉妬を感じます。(ほねを)
・旅先で迷子になるのは、スリリングで案外楽しいものです。でも普段はなれないから、せめて遠回りして、いつもと違う景色を見てみたいのです。(うぐいす)
・春の夜の散歩ですね。このまま夜に溶けてしまいたい。そんな気持ちで花を探し猫に出会い風を嗅いでいく。しかし自由に道を選びながらもいつしかそれは「家路」になってしまっている。とても共感できました。(はたらきねこ)
・とにかく、帰ってこれてよかった♪(タケウマ)
・迷子でも遠回りでも、どちらにせよ何か発見がありそうでいいんじゃないかなと思いました。(mekeke)

18. 恋を失くした命に別状はない 9 2・5・0
作者:ロケッ子
◎うぐいす、タケウマ ○玉虫、もも、こみおく、元気な人、フロヤマ
・そう、命に別状はない。でもまるでこの世の終わりのように、何もかもなくなるんだもの。ただ空っぽで生きているだけ。(うぐいす)
・その冷静さが恋を失くすんだよね〜♪(タケウマ)
・おどけているけど、本当は辛くて息も絶え絶えなのが伝わってきます。お前、その血…!いや、大丈夫だ…。何を言って…大丈夫なんかじゃない!休め!!(泣)と、思わずひとり芝居をしてしまいました。好きです。どうかご自愛下さい。(玉虫)
・悲しいのだけど、すっきりする句。前向きに生きようとする気持ちが伝わってきました。昔の自分に「こんな句があるんだよ」って、教えてあげたいなあ。(もも)
・ならよかった。よかったの?春なのに。(こみおく)
・失恋した人が自分に言い聞かせているような、若しくは強がりで言っているような状況を想起したのですが、命に別状がないことは当たり前で、心に別状のある印なんだろうなと思いました。迸れ若さ。(元気な人)
・なるほど。ということは、次のチャンスもあるということですね。深い。(フロヤマ)

19. 向かい風もうくぐらない門を出る 5 1・3・0
作者:うぐいす
◎フロヤマ ○白熊左愉、mekeke、はたらきねこ
・卒業の句でしょう。向かい風が社会の厳しさを思わせます。力強い句。(フロヤマ)
・決意新たに、向かい風にも負けはしない、強い意志が感じられました。(白熊左愉)
・向かい風が引き止めている何かを感じさせて、それに逆らって門を出る様に、新しい一歩を踏み出す気持ちを思いました。(mekeke)
・卒業ですね。これからは向かい風から誰も守ってはくれない。自分の足で立ち向かっていかなくてはならない。そんな決意が表れています。応援したい。がんばってほしい。(はたらきねこ)

20. 電線の影ラの音踏み鳴らす 6 2・2・0
作者:フロヤマ
◎茜谷りょう、木曜何某 ○ロケッ子、天坂寝覚
・元気いっぱい踏み鳴らすのかな。電線の影が5線譜に見える人はきっと素敵な人。今度やってみます。(茜谷りょう)
・電線を五線譜に見立ててラの位置を踏みながら歩いているのでしょうか。状況はよくわかりませんが、好きな句です。(木曜何某)
・あー、いい景だなぁ。こういうのひらめくことができたのって、うらやましいですー。いい発想力&想像力!(ロケッ子)
・電線の影を五線譜に見立てた発想が面白い。(天坂寝覚)