【結果】雑詠

1.パレットからこぼれるほど白をくれた 4・8・0
作者:木曜何某
◎白熊左愉、圓哉、はたらきねこ、小笠原玉虫 ○ロケッ子、十月知人、8ビッ人、フロヤマ、しみずわかな、桃子、元気な人、京介
・なんか心惹かれました。綺麗だなあ。(白熊左愉)
・明るい季節の雰囲気が句からよく出ていて、とっても好感が持てる。お題にぴったり。(圓哉)
・特選。これは本当に幸せな句ですね。写生会だろうか。ちょっと好きな女の子に、足りなくなった絵具をもらいに行ったんだろう。「パレットからこぼれるほど」が非常に効果的な表現になっている。こぼれるのは絵具だけでなく互いの笑顔でもあるのだろう。青春の日々を思い出しました。胸キュン句ですね。(はたらきねこ)
・若々しく、瑞々しいイメージにやられました。好きな子に「ねぇ白ちょうだい」って言ったらぶちゅーと異様にたくさんくれちゃって、何だよー(笑)みたいな感じかな。あったなぁそういう日々…と、眩しく目を細めました。白の絵具、出し過ぎると鳥のフンみたいだよなと思ってたことまで生々しく思い出しました。いいです、大変好きです。(小笠原玉虫)
・間違いなく愛されている。最大級の愛情表現だ。(ロケッ子)
・そんなに白もらってどうするの!っておこられそう。ユーモラスですね。(十月知人)
・図工の時間に、先生の目を盗んで白い絵の具の貸し借りがなされていたことを思いだします。気になる子には、つい多めにあげちゃいますものね。(8ビッ人)
・句意は図れませんが何となく好きな句です。(フロヤマ)
・実体験として記憶にあるので選ばせて頂きました。そんなに要らなかったのです、でも何も言えないで、ただ溢れる白を見つめている。。(しみずわかな)
・子どもの頃、白い絵の具が切れて友達に「貸して」って言ったら「やだ」って言われたことがあります。絵の具の白って、すぐになくなりますよね。そんな貴重な白を、こぼれるほどくれた優しさ。幸せな気持ちにさせられる句です。(桃子)
・白の絵の具って他の色より長かったり二本あったりして、でもすぐ無くなっちゃうんですよね。それを分けてくれる子がクラスに一人は居て、心の中で敬いつつどこか訝しんだりもしてました。そんな風景が蘇って、でもはみ出して欲しくはないですね。(元気な人)
・白をあげたほうも「あげ過ぎた」と思っているかも。(京介)

2.出しっぱの風鈴と鳴く秋の虫 0・2・1
作者:小笠原玉虫
○8ビッ人、こみおく ●桃子
・どちらも競いあうように、秋の夜長をりんりんと良い音色を響かせあうのでしょう。(8ビッ人)
・季節の移ろいを感じます。自由律なら「出しっぱ」より「出しっぱなし」のほうが個人的には好きですが、定型と考えると、収まりのいい句だと思いました。(こみおく)
・秋の虫の音と、風鈴の音。美しくておもしろいなあと思いましたが、季語が重なっているのが気になりました。自由律の句会では、そんなに気にすることはないのかもしれませんが、十七文字なのでなおのこと。「出しっぱの風鈴」だけで、充分、秋ということが伝わってくるので、下五を変えるか、「出しっぱの風鈴と鳴く虫」と定型を無視してしまったほうが良いかもしれません。(桃子)

3.南の島の美しい魚を甘く煮ている 3・3・0
作者:こみおく
◎トモマリ、うぐいす、元気な人 ○桃子、タケウマ、小笠原玉虫
・うまくいえないのですが、生き物を殺して食べる、しかもその生き物を美しいと感じている、という状態をとても冷静に見つめる視線にぞくぞくしました(トモマリ)
・鑑賞するための魚じゃなかったの? これ食べられるの? てゆっか食べちゃうの? えーかわいそうー…あ、おいしい。という旅先での一コマですね。「南」「美しい」「甘く」ときて「煮ている」で落とす感じがいいですね。(うぐいす)
・郷に入っては郷に従え、とは言うけれど、中々理解し難い事柄は多いですよね。ただ、甘く煮ている人がその魚を美しいと思っているか否かで、この句の真意は変わってくると思います。その辺りの価値観を考えるとより一層面白いです。(元気な人)
・沖縄に行ったときの、赤や青の美しい魚を思い出しました。見ているだけで幸せな気持ちになれるのに、美味しくいただける幸せ。いいなあ、南の島に行きたい。(桃子)
・きっとおいしくないんだよね。(タケウマ)
・これは絶対いい女。お魚を甘く上手に煮ることの出来るほっそり美人の奥さんが浮かびました。愛する夫に甘い煮つけを出してメロメロにさせておきながら、昼間に恋人にもちゃっかり会ってるような、悪い、いい女。そんなイメージ。大好きな句です。(小笠原玉虫)

4.入れ歯飛び出てなお笑っている 1・3・0
作者:京介
◎8ビッ人 ○mekeke、タケウマ、元気な人
・なれるものなら、私もこういうおばあさんになりたい。(8ビッ人)
・この場合、止まるどころか余計に笑っちゃいますね。申し訳ないと思いつつも、笑いが出てしまいそうです。(mekeke)
・その話聞きたい♪(タケウマ)
・入れ歯をする人って豪快な人が多いんですかね。実際に目の当たりにしたことはないんですが、パッと風景が浮かびます。僕は入れ歯をして笑えるかなぁ(元気な人)

5.異星人来るなら鈴虫の鳴く夜 0・5・0
作者:タケウマ
○ロケッ子、トモマリ、桃子、うぐいす、八王子
・自分の星に帰った異星人が地球を思い出すたび、あの優しい鳴き声がもれなくついてくる。地球っていいところだったよって思ってほしい。オケラの鳴く夜もおすすめ。(ロケッ子)
・やさしい地球人(トモマリ)
・静かな秋の夜、何かが起こりそうな気がしますよね。月も綺麗だし。(桃子)
・異星人が「来そうな」ではなく「来るなら」ということは、異星人が来ることが前提としてあるということなのかしら。鈴虫のあの声は、宇宙と交信しているのかな。(うぐいす)
・もしエイリアンが音に反応して現れるとするならばそれは空が澄んで鈴虫が鳴く秋の夜だろう。異星人と鈴虫の取り合わせが妙。(八王子)

6.ぷしゅっ、ぐびっと、夏終る  0・3・0
作者:八王子
○フロヤマ、こみおく、はたらきねこ
・潔い感じでイイです。(フロヤマ)
・テンポもよいし、潔くて爽快。(こみおく)
・正選。簡潔な夏であった。ビールとともに飲み下してしまえば、猛暑もいつのまにか終わっている。リズムがいいですね。(はたらきねこ)

7.イヤホン外して音のある世界 3・4・0
作者:元気な人
◎ロケッ子、しみずわかな、mekeke ○白熊左愉、トモマリ、圓哉、うぐいす
・おもしろい。逆だけど逆じゃない。居心地がいいのはどちらの世界?(ロケッ子)
・画が綺麗だと思いました。聴く世界の扉であるイヤホンを抜けて聞く世界に入るのも面白いです。どちらがリアルなのだろう。(しみずわかな)
・この句を読んで、イヤホンを装着することは現実逃避でもあるなぁ、と感じました。自分の世界に入ってしまって外の生の世界と線を引くような感じ。退屈に感じるかも知れないけれどたまには外して歩いてみるかな、と思いました。(mekeke)
・イヤホンして音楽聴いていたのではないのかな?はずして「音のある」世界?ってことは雑音ってことなのかなあ?逆説的な、魅力を感じた句。(白熊左愉)
・実感としてすごく伝わりました(トモマリ)
・音は騒音ですかね、それとも現実に戻る手続きかな、、、(圓哉)
・イヤホンをはずした瞬間の「こっちの世界に戻ってきた」感じがよくわかります。生々しい、生きている、音。(うぐいす)

8.君の隣で雷まだ遠い 3・4・0
作者:うぐいす
◎フロヤマ、木曜何某、八王子 ○こみおく、元気な人、京介、小笠原玉虫
・雷が近づいてくるのを待っているような。二人の距離もさらに近づくのでしょうね。(フロヤマ)
・隣で光ってから「1、2、3」と数えているのが良いですね。たぶん、心の中で。(木曜何某)
・二人の世界に浸れば雷も怖くない。その充実感を雷はまだ遠いという言葉に込めた。(八王子)
・なんかエロい。雷ちかくに来たらどうなるんだろう。(こみおく)
・片思いの男の子が男を見せ付けるためにアクシデントを期待して歩いている風景を想起しました。肝試しやお化け屋敷よりも嫌味が無く、自然ではあるけれどその分思い通りにはいかない。いつもは忌み嫌う雷を求めている利己的な人間味に、星三つです。(元気な人)
・いつか雷に撃たれるように感じた。この"君"が不倫相手に思える。(京介)
・いいですね。恋人と静かに寝そべって、遠い雷を聞いている。恋人と寝てる時以上に雷が嬉しい時ってそうあるもんじゃないですよね(←ほかのシチュエーションでは雷苦手すぎるボク)これは行為のあとって感じがする。終わってぼんやりして、雷まだ来ないねみたいな。静かだけど色っぽい。非常に好きな句です。(小笠原玉虫)

9.隣人に似た子あやして面接の朝 1・2・1
作者:ロケッ子
◎京介 ○トモマリ、はたらきねこ ●うぐいす
・いろんなドラマが想像できる濃厚な句ですね。この句の主人公は男で妻がいて子がいる。しかしその子は自分の子ではなく隣人の子なのではないかと疑いながらもあやし、家族を養うための仕事の面接に行く。はぁぁ。(京介)
・ドラマを感じます(トモマリ)
・正選。面接という非日常への挑戦の朝に、連綿と続く日常に出会う。「隣人に似た子」が、隣人の子供なのか、それとも途上で出会った他人のそら似なのかはわからないが、その日常が、非日常へ立ち向かう勇気をくれたのだろう。(はたらきねこ)
・うーん、状況が読めません。「隣人に似た子」は、不貞の子、ということなのかしら。それとも単純に隣人に似ている子に出会っただけなのかしら。いずれにしても「面接の朝」との取り合わせがよくわかりません。(うぐいす)

10.最後の一つ割りに割って小さな一口 0・4・0
作者:mekeke
○ロケッ子、しみずわかな、はたらきねこ、京介
・食べ物に限らず、他のことでもこういう感覚ってあると思う。自分の手元を離れる何かを愛しむ気持ち、二度と会えない誰かと別れがたい気持ち、そういう感情っていいものだなぁとかなり妄想させてもらいました。(ロケッ子)
・かわいらしい、です。割りに割って、と重ねているところが。その無邪気な心と、それに素直に従う行動が。かわいらしい、です。(しみずわかな)
・正選。チョコレートだろうか。小さな子供たちが仲良く分け合って食べる様子が微笑ましい限りです。しかし、もしかするとこれは遭難して飢餓状況にあり、最後の食料を分け合っているのだとしたら……。そうなるとこれはNG句ですね、タケウマさん!かなしい!かなしい!(はたらきねこ)
・食べ終えたくないほどすごく美味しいものをチビチビ食べていったのでしょうか。最後の一口は最後の最後。(京介)

11.死んだ人の話しながら煎餅をくだいている 2・5・0
作者:トモマリ
◎十月知人、桃子 ○白熊左愉、圓哉、木曜何某、mekeke、小笠原玉虫
・淡々と死をとらえていますね。煎餅も効いています。(十月知人)
・なんてことないよくある風景なのですが、それが良いです。例えばイタリアンとか、スイーツとかだったら、また意味が違っていた。煎餅だから良いのです。時々、思い出してくれる人がいる…亡くなった方にとって幸せなことだと思います。(桃子)
・煎餅を食べているとか、噛んでいるとかではなく、「くだいている」という言葉を使ったところがいいです。(白熊左愉)
・死も日常ですね。(圓哉)
・お盆でしょうか。なんかいいので選ばせていただきました。(木曜何某)
・「死んだ人の話」という部分に気怠い空気を感じて、いいなと思いました。それほど親しくなかった故人なのかな、と感じました。何があるわけでもないけど話のついでで出てきたような感じを受けました。(mekeke)
・最後まで雑詠特選どっちにするか迷いました。写生句ですね。でも、言葉にならない思いが伝わってきます。煎餅を割りながら食べる、そんな日常の中で亡くなった人の話がふっと出る。人生て感じします。いまわたしが詠みたい句はまさにこのような句なのです。憧れを覚えます。好き。(小笠原玉虫)

12.とりあえず立て掛けておく蠅叩 2・5・0
作者:十月知人
◎こみおく、タケウマ ○白熊左愉、フロヤマ、木曜何某、mekeke、八王子
・蝿叩って風情がありますね〜。とりあえず立て掛けているところに生活感を感じます。(こみおく)
・そうなんですよね。買ったからすぐ使うものではないんですよね。緊張と弛緩というかハレとケというかメリハリというか、蠅叩の本意が表されていると思いました。(タケウマ)
・とりあえず立て掛けておいてしまいますね、なんかの役に立つかもしれないと(笑)(白熊左愉)
・秋とはいえ、まだ蠅叩きの出番はあるでしょう。「とりあえず」がイイです。(フロヤマ)
・倒すつもりも、勇気もないけど、入ってきたら殺すぞというアピールだけはする。一応。(木曜何某)
・一旦休戦するも「次出てきたら確実に仕留めるからな」という雰囲気が感じられて面白いなと思いました。(mekeke)
・昔は沢山いた蠅も近頃はそれほど見かけなくなった。しかし、現れるとウルサイ。だから蠅叩は手元に置いておくのだ。とりあえずが効いている。(八王子)

13.寝汗かく子の頭あおいでやる汗 0・1・0
作者:フロヤマ
○8ビッ人
・眠りに落ちる直前に一番汗っかきな子ども。寝冷えしないようにと、エアコンを緩くしてうちわで扇いでくれる優しい母さんの手。お母さんだって暑かろうに、愛のなせる業!(8ビッ人)

14.納豆こぼれそうキムチも入れよう 0・1・0
作者:桃子
○タケウマ
・え? こぼれちゃっていいの?(タケウマ)

15.数打って当てない能力 0・2・2
作者:しみずわかな
○十月知人、圓哉 ●こみおく、mekeke
・これもひとつの才能では?なんて思いました。(十月知人)
・こういう人は貴重、だから惹かれたのかな。(圓哉)
・おもしろい句!だけど、何度も読んでたらだんだん悲しくなってきたから逆選!(こみおく)
・私の読解能力の問題もあるとは思うのですが、この句が表現としてどう広がるのかがよく分かりませんでした。たとえば○×式テストで0点とる技術のことかなと思いましたが、そこから何かが広がる感じがしなくて、種にもなる一句というよりも、もうこれが成長した姿ですという一句なのかなと感じました。と考えるとこれはこれでいいのかなとも思ったり。とにかく何かモワッと心に引っかかるもののある一句でした。(mekeke)

16.盆踊り娘の背中眺めつつ 0・3・0
作者:白熊左愉
○しみずわかな、木曜何某、八王子
・心境が滲むような作品だと思いました。滲み見えるようなのだけれども、あんまりにも混沌としているので言葉を掛けることができないような。(しみずわかな)
・提灯のあかりにぼんやり照らされている浴衣を見ている感じがいい。(木曜何某)
・娘の成長をそっと見守る、父親にはこれしかできない。だから正面からでなく後ろ姿を眺めるのがふさわしい。ずいぶん大きくなったな、彼氏はできたかな?などど呟きながら。盆踊りの輪は時の流れも感じさせる。(八王子)

17.大人になっても寝ぐずの君にライナスの毛布 0・0・1
作者:8ビッ人
●小笠原玉虫
・ちょっと世界観がスウィートすぎるかなと思ってとらせて頂きました。俳句というよりもポエムのようだなと。好きか嫌いかで言えばかなり好き。なので、このままスウィートで出すよりも、もうひとひねりして、俳句的「ぽつん感」を出すと、超カッチョイイ自由律に大化けするんじゃないかなと思います。ライナスの毛布も思い切って言い換えるといいかもしれません。大人になっても寝ぐずって非常に可愛い。この可愛さに、俳句的さみしさがかぶさってるようなのを見たいなと思いました。(小笠原玉虫)

18.虫の音や縄文の香りも闇に消え
作者:圓哉

19.なにもかも足りないけれど金あるから買うわ明日買う 0・2・5
作者:はたらきねこ
○十月知人、うぐいす ●ロケッ子、白熊左愉、トモマリ、フロヤマ、元気な人
・明日買うイコール買わないですかね。笑えました。(十月知人)
・金があってなんでも買えるけどなにか足りない。なにもかも足りない。満たされない。虚しいですね。あ、でも「金あるから」って一度言ってみたいな。(うぐいす)
・おもしろくってなんだかツボにきてしまったのですが、いや、これをスルーしたらダメだろうって、私の中のかわいい人が言うので逆選に。この句はこれで完成していて、言葉を減らすことも増やすこともできない。でも、五七で始まっているせいか、これはちょっと思い切って短歌で仕上げたほうが、おもしろさがより大きくなるような気がするなぁ。「なにもかも足りないけれど金があるだから買うんだ明日買うんだ」…って、おもしろさが減ってしまった!(ロケッ子)
・意味がわからなかったです。(白熊左愉)
・伝えたいことが何なのか、よくわからなかったです(トモマリ)
・上句がだらだらしていて勿体ないと思いました。下句は面白いです。(フロヤマ)
・冗長の割に風景や意図が読み取れず苦しい。着眼点という先天的なセンスはとてもあると思うので、表現次第で特選にもなり得ると思います。もう少し具体性を持たせ、且つ限定的であると良いと思います。(元気な人)

【結果】「遊園地」しばり

1.迷子見つからない遊園地に夕立 2・2・0
作者:京介
◎はたらきねこ、元気な人 ○十月知人、白熊左愉
・特選。「見つからない」のは迷子でなくその保護者であると読みました。迷子のアナウンスが繰り返される。しかし「もとき(あるいは、「まさと」)」のお母さんもお父さんも現れることはない。捨てられたのかもしれない。不安に追い打ちをかけるように夕立がくる。気の毒である。(はたらきねこ)
・有りがちな風景だと思うんですけど、とにかく視点が面白いです。「夕立」で終わってる辺りきっと当事者ではなく、園内アナウンスで知らされるその他大勢の一人なんでしょう。句に詠むくらいには気に留めていて、雨に心を奪われるくらいには他人事。淡々とした描写ですが、人間味が溢れていて良かったです。(元気な人)
・焦る状況ですよね。「遊園地に」はなくてもよかったかも。(十月知人)
・特選と迷いました。迷子見つからない上に、夕立・・。追い討ちをかけられるような不安が表現されているなあと思いました。(白熊左愉)

2.風船の行方見つめて泣けもせず 1・5・0
作者:八王子
◎白熊左愉 ○8ビッ人、しみずわかな、mekeke、はたらきねこ、元気な人
・これは幼い日に誰もが経験した想いではないでしょうか。私もその「泣けもせず」を思い出しました。(白熊左愉)
・一晩でしぼんでしまうと判っていても、子どもにとっては風船は宝物。見えなくなるまで目で追い続けたあとに、思いだしたように泣く子が目に浮かぶようです。(8ビッ人)
・吸い込まれるように昇ってゆく風船に自分も吸い込まれるほど見とれるのだと思います。二度と手に戻らないと気付くのは次の瞬間。(しみずわかな)
・ただただ手を離れてしまった風船を見つめることしか出来ない、涙は出なかったけど、心に小さな傷がついたように感じました。この感じだと、仮に新しいのを貰っても、手放した風船が心に引っかかってしまって前のようには喜べないのかな。(mekeke)
・正選。今まさに失われていくものを呆然と、あるいは無感動に見送っているのですね。人生とは失うことの繰り返しだということを少年は知るのであった。(はたらきねこ)
・泣けもしないんですよね。間違いなく悲しいんですけど。泣けもしない。まるで意思を持ったように離れていく姿に打つ手もなく圧倒的な絶望を感じ、悲哀に囚われる暇もなく無くなる。「泣けもしない」で決まりました。(元気な人)

3.アルプスの少女回転ブランコに挑戦
作者:桃子

4.あの駅で降りてみる追憶の遊園地 0・2・1
作者:こみおく
○タケウマ、小笠原玉虫 ●十月知人
・思い出は思い出のままがよいかと♪(タケウマ)
・大人になって訪れる思い出の遊園地は、記憶よりも狭く小さく感じて「あれ…?」ってなりますよね。上質のセンチメンタリズム。大好きな句です。(小笠原玉虫)
・遊園地は思い出の場所というだけでは、安易すぎます。(十月知人)

5.ジェットコースターは乗らない祖母の遺言なんだ 1・2・0
作者:フロヤマ
◎桃子 ○木曜何某、タケウマ
・単なるジェットコースターに乗らないための言い訳には感じません。祖母にかわいがられていた、また孫も祖母のことが大好きだったのだろうなあということが伝わってきます。句のインパクトも強くて良いです。(桃子)
・遺言と言われたら、もう何も言えませんものね。お祖母さんは乗ったことがあるのでしょうか。(木曜何某)
・それでは仕方ないね…(タケウマ)

6.ガタピシのコースターで味わう二度の恐怖
作者:8ビッ人

7.日に焼けたステージにヒーローだけ新しい 3・6・0
作者:木曜何某
◎こみおく、圓哉、うぐいす ○ロケッ子、トモマリ、しみずわかな、フロヤマ、京介、八王子
・大人になって感じる遊園地のせつなさがよく出ていて好きです。(こみおく)
・「遊園地」というお題が難しいです。類想句が多いなか視点がなつかしい感じ。ちょっとうらぶれたところがなつかしさを思い出させるのかな。(圓哉)
・なんだかすごく物悲しい。地方の小さな遊園地。ショーを見ている子供たちは、中には夢中になってる子もいるんだけど、ちょっと冷めた目で見てたりして。連れてきた親のほうが「ほらっ、かっこいいね!ね!ね!」って必死だったりして。この遊園地がいつまでもありますように。(うぐいす)
・ああ、そんな発想しちゃうのかぁーと感動しました。古い遊園地や、田舎の遊園地なんかには現役アイドルは絶対に来ないけれど、ヒーローはちゃんと最新の格好いいのがやってくる。ヒーロー、いいな。(ロケッ子)
・時代が更新されていく感じが好きです(トモマリ)
・なるほどなあ、と、その視点に思わずにんまりしてしまう作品でした。(しみずわかな)
ノスタルジアさえ感じさせる句です。(フロヤマ)
・ヒーローショーがない日のステージが寂しそう(京介)
・ディズニーランドなどではない地方のさびれた遊園地にもショーは開かれる。古ぼけたステージに今はやりのヒーローは似つかわしくない、そんな切なさ、やるせなさ。(八王子)

8.愛された記憶のままに木馬が廻る 0・4・0
作者:はたらきねこ
○トモマリ、しみずわかな、うぐいす、八王子
・詩的な表現が素敵です(トモマリ)
・メリーゴーランドが遊園地の花形だったのはいつ頃までだったのでしょうか。
その時代を記憶したまま今も廻る彼らは、だからどこか陰を感じさせるのかもしれません。(しみずわかな)
・やっぱり遊園地って子供のものなのかなあ。大人になってから行くと、どことなく切ない。思い出があればなおさら。(うぐいす)
・木馬が廻るように時は流れ、あの時あれほど愛されていると感じたことも今はただの思い出になってしまった。そして記憶だけは今もまわり続けている。(八王子)

9.荷物番してピエロと待ってる 1・7・0
作者:小笠原玉虫
◎京介 ○十月知人、白熊左愉、トモマリ、圓哉、木曜何某、mekeke、元気な人
・家族か友達たちと遊園地へ来たが、この句の主人公は自分が苦手なアトラクションは荷物番として待つ。ひとりで待つところにピエロがきて付き合ってくれているのだろうか。ピエロが楽しませてくれてたら良い光景。(京介)
・ピエロはあれやこれやたいへんなお仕事。哀愁漂う アングルです。(十月知人)
・ちょっと面倒な役割の「荷物番」を、ピエロと待ってる、のがユーモラスで楽しい(白熊左愉)
・ピエロとの間に流れる微妙な空気(トモマリ)
・ピエロと待つと言う面白さ。待つのはしんどいですね。(圓哉)
・ピエロも何かを待っているのかな、と勘ぐりました。ピエロが良いですね。しゃべりかけても返してくれないし、遊園地という現実から少し離れたものの象徴としてすごく良いと思います。(木曜何某)
・お互いの労を心の中でねぎらう姿が浮かびました。遊園地のあの賑わいの中にいるだけでも結構疲れますよね。(mekeke)
・滑稽ですね。顔を色にしたピエロにすら仲間意識を持たずにはいられない。ただそうしたところであなたはひとりだし、ピエロもひとり。そして誰も彼も。(元気な人)

10.ハロウィンに呼ばれて来たの海の風 0・1・0
作者:圓哉
○八王子
・海の風がハロウィンって気もするけれど、楽しいんだからいいじゃない、海の風もお祭りが好きなんだ。(八王子)

11.僕のためじゃないポニーテールが宙に舞う 1・5・0
作者:ロケッ子
◎8ビッ人 ○桃子、圓哉、mekeke、タケウマ、うぐいす
・少年の日の片思いを連想させる、甘酸っぱい素敵な句ですね。(8ビッ人)
・クラス会等で遊園地に来たのでしょうか。恋人と一緒に乗り物に乗っているポニーテールの女の子を、遠くから眺めているのを想像しました。自分のものにはなれないって、わかっているのにそれでも好き。切ないです。それにしても遊園地にポニーテール!良いですね!(桃子)
・ポニーテールは私の好きな髪型、「僕のためじゃない」と言い切るからか、ちょっとせつないねぇ。
・小さな娘とそのボーイフレンドを連れて遊園地にやってきたお父さんの気持ちに重ねて読みました。それまで「僕のため」と思っていたのは僕だけだったのかもよ、とか意地の悪いことも考えました。(mekeke)
・うつくしくもかなしい♪(タケウマ)
・修学旅行で遊園地に行ったのを思い出しました。こういうときってカップルができちゃうんですよね。あの子の笑顔もポニーテールも今はアイツのもの。ちぇ。(うぐいす)

12.一生は夢の中の遊園地 0・1・0
作者:白熊左愉
○ロケッ子
・そういうものなのかもしれないなぁ、と強く共感しました。具体的にひとつずつ言葉をおって考えていくと、「ん? どういうこと?」なんて思ったりもしますが、ばしっと言いきってもらうと「うん、そうだ!」と納得。夢の中で走ると、変に足が重くてなかなか前へ進まない感じがしますが、夢の中の遊園地っていったいどんな感じなんでしょうね。楽しい? ふわふわ? いいイメージであることを願います。(ロケッ子)

13.人妻をのせて木馬のまわりだす 2・6・0
作者:タケウマ
◎十月知人、小笠原玉虫 ○桃子、こみおく、圓哉、元気な人、うぐいす、京介
・感傷的ではなく、気だるい雰囲気が好きです。(十月知人)
・いいいですね。不道徳感が非常にぐっときます。不倫カップルが遊園地で遊んでるイメージ。男の方は乗らずに、無邪気に楽しんでる人妻を見てるんでしょう。スッゲなまめかしい。大好きです。遊園地句の中で間違いなくダントツの出来。こういう発想が出来ることが羨ましくて仕方ないです。(小笠原玉虫)
・ごめんなさい…。なんてエロいんだろう。575のリズムで読むとなおさら。人妻って言ってもいろいろあるし、きっと人妻が回転木馬に乗っているところを見ても何も感じないのだけど、文字にすると一気に見方が変わってきますよね。これぞ俳句のおもしろさだと思います。(桃子)
・お母さんは人妻。あたりまえだけどなにか風情がある。(こみおく)
・人妻は怖い!遊園地の人妻はもっと怖い。(圓哉)
・なんでしょうこの只ならぬ不穏な雰囲気は。ただ誰かの嫁がメリーゴーラウンドに乗っているだけの風景なのに。言葉の魔力を痛感しました。しかしいつから「人妻」ってこんな官能な意味合いを含む言葉になってしまったのか。え?(元気な人)
・不倫旅行かなあ。女のわがままで遊園地に来たんでしょうね。人妻と木馬の取り合わせ、ちょっと卑猥です。(うぐいす)
・妻になってもまだ童心を忘れていない可愛い女の子のような笑顔。いいですね。(京介)

14.ネズミ率いる動物園かな 0・0・2
作者:しみずわかな
●圓哉、八王子
・周りにも時々「ネ○○ーランド」とか言う人にぶち当たるけど、許せません!いい悪いではなく、こういう揶揄の仕方は嫌いだ!(はい、感情むき出しですいませんでした)(圓哉)
・ネズミが率いるというのが分からない。ディズニーランドなら動物園じゃないし。(八王子)

15.見えるだけの観覧車見えた 1・2・0
作者:元気な人
◎木曜何某 ○こみおく、はたらきねこ
・そう言われると、見えるだけのものだらけかもしれませんね。見えるだけのタワー、見えるだけのドーム、見えるだけのホテル。(木曜何某)
・そこにいつも遊園地はある。でも見えるだけ。(こみおく)
・正選。ちょうど対になっている観覧車句を両方とってしまう。18「ようやくの観覧車から雨を見ている」が乗っているのに対して、こちらは乗らずに見ている。いや、乗ることができないのだ。それは見ていることしかできない憧れの対象であり、観覧車の象徴するものは、恋人や友人、家族といったあたたかな人間関係である。目を逸らしたくとも巨大な観覧車は嫌でも目に入ってくる。そのたびに孤独を突きつけられるのである。(はたらきねこ)

16.手を離した風船は赤だったんだパパ 3・1・0
作者:うぐいす
◎ロケッ子、フロヤマ、八王子 ○桃子
・なーんーだーこーれー。心にひっかかって仕方がない。絶対にこれ、口に出した言葉じゃない。子どもが小さな心の中でだけ生みだした言葉。別の色の風船を持ってきたパパに対する言葉なのか、はたまた、今は手ぶらだけど本当に自分は風船を持っていたという事実を伝えたいのか。なんかもうどういうことなのかわからないけど、す、す、好きです!(ロケッ子)
・代わりにもらったのは違う色だったのでしょう。大人には分からない子供ならではのこだわりですね。(フロヤマ)
・少女は風船が好き。でも長く持ち続けるのは子供には辛い。あっと思ったら風船は手を離れ空に昇って行った。抜けるような青空にくっきりを浮かぶ風船の赤が目に焼き付いている。悲しみを超えて。(八王子)
・赤い風船を手離してしまったこと、パパが買ってきた風船が違う色だったこと。きっと良い思い出になるはず。遊園地の風船って、なぜか特別。まだ乗れる乗り物が少ないであろう小さな子どもには、大切な宝物なんだろうな。(桃子)

17.遊園地跡だだだだだっと土筆など 4・3・0
作者:十月知人
◎トモマリ、しみずわかな、mekeke、タケウマ ○フロヤマ、京介、小笠原玉虫
・丈高い草の様子や草いきれまで想像されました(トモマリ)
・だだだだだっ、の語感が楽しいです。現実的には少しイメージし難い情景だけに、童話的な面白さも感じました。(しみずわかな)
・「だだだだだっと」というちょっと言いにくい表現が面白いなと思いました。
遊園地が無くなって更地になって寂しさもあるけれど、山菜やいろんな植物が生えてくるなら個人的にはこれはこれで嬉しいな、なんて思いました。(mekeke)
・「だだだだだっと」がいいですね。リズミカルで土筆などの生命力を感じます♪ そうそう「土筆など」もステキです。いろいろ生えているんでしょうけど、「など」でくくった大雑把さがいかにも跡地らしい。無駄なく的確でスゴイです。(タケウマ)
・広い敷地。「だだだだだっと」が効果的です。(フロヤマ)
・廃園になってから時間が経っているのがわかる。「だ」の連続が荒れた感じを巧く出せてると思います。(京介)
・もう遊園地ないんですね。そこがまず斬新だなと思って、でもだだだだだっだし一面の土筆だしでさみしくない。いいですね。こういう視点を持ちたいものだなと思います。こういうのに比べると、オレってなんて凡庸なんだものの見方が!と、頭を掻き毟りたくなります。(小笠原玉虫)

18.ようやくの観覧車から雨を見ている 0・9・0
作者:トモマリ
○ロケッ子、十月知人、白熊左愉、8ビッ人、こみおく、木曜何某、フロヤマ、はたらきねこ、小笠原玉虫
・「ようやく」が効いていますね。なんであれ、「ようやく」出会えたものは特別なものであってほしい。雨が、その人にとって良いことなのか悪いことなのかは、この句においてはどっちでもいいなぁ、と思います。(ロケッ子)
・観覧車は人気アトラクション。乗ることに意義がある? それとも、観覧車があまり好きじゃない?(十月知人)
・情景が浮かぶ句。ひと息ついた感じがします。(白熊左愉)
・行列で聞きたくもない他人の会話を聞かされ散々待たされた挙句に、乗り込んだ観覧車が雨だったら、会話も弾まず時が止まったように感じられるでしょうね。(8ビッ人)
・簡潔なことばのなかに背景がよく見える句。(こみおく)
・無念ですね。ようやくなのに。(木曜何某)
・晴れていれば、さぞかし見晴らしが良かったことでしょう。残念です。(フロヤマ)
・正選。ちょうど対になっている観覧車句を両方とってしまう。15「見えるだけの観覧車見えた」が乗らずに見ているのに対し、こちらは乗って見下ろしている。並んでやっと乗れたのだろうか。雨は並んでいるときから降っていたのだろうか。それとも乗ってから降り出したのだろうか。雨を避けるために乗ったのであれば、観覧車への期待は特になかったのだろう。乗ってから降り出したのであれば、期待した景色が見えず残念に思ったのであろう。いずれにせよ、乗ってしまえば観覧車なんてこの程度のものである。この句では孤独はない。しかし孤独でないということにも慣れてしまえば倦んでいくものなのだろうか。(はたらきねこ)
・いいですね。やっとゆっくり話せそうなシチュエーション。大事なこと言うなら今だ、頑張れ…!でも雨を静かに見ているだけで満たされてしまって何も言えず。逆に倦怠感溢れる感じでも素敵。遊園地にまで来ても穏やかに流れる倦怠感も、悪くないものです。物語性がありますね。好きです。(小笠原玉虫)

19.ただ着ぐるみがこわくってカップも馬ももういらない 0・1・1
作者:mekeke
○8ビッ人 ●木曜何某
・子どもの頃の自分も着ぐるみがキライでした。自分が着ぐるみを着てしまえば、案外怖くないのかも。(8ビッ人)
・「着ぐるみがこわい」ということを、もう一歩踏み込めば面白いかなと思いました。「カップと馬」という表現も少し違和感があります。お馬さんとかの方が小さい子の感じがあっていいかなと思います。(木曜何某)

【結果】指定語「爪」

※次のような並びで掲載しています。
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 句  獲得点 特選数・正選数・逆選数
 作者
 ◎特選に選んだ人 ○正選に選んだ人 ●逆選に選んだ人
 選評

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1.泣きたくないので爪を切っている 2・4・0
作者:トモマリ(@t0m0_mar1)
◎ロケッ子、白熊左愉 ○桃子、はたらきねこ、八王子、小笠原玉虫
・「泣きたくないので」という部分に、強い意志のようなものを感じました。これが「泣かないように」や「涙をこぼさないように」だと、また違ったイメージの句になったのでしょうね。足を含めても、爪は二十箇所。それをすべて切り終える頃には、他に気を紛らわすことが見つかっているとよいなぁと心から願います。(ロケッ子)
・なんかしていないと泣いてしまいそうな気持ちを爪を切る動作で紛らわす切なさが伝わります(白熊左愉)
・そうか、泣きたくないときは爪を切ればいいんだな。少しむっつりとした表情で爪を切っている姿が目に浮かびました。(桃子)
・正選。うつむいていられる行為ですからね。爪を切るのが主体として見ても客体として見ても、よく発見したなあと思います。(はたらきねこ)
・爪切りに力を籠めなければ爪は切れない。力を入れている間は涙は流れない。手と足の20本の爪を切れ終わるまでにこの悲しみが癒えて欲しい、と爪を切っている。(八王子)
・分かる。一見関係ないような行動して涙こらえる。あるある。そうやってこらえた涙がまたひとつ作者の中に物語を残していくのでしょう。心から応援したくなる句。辛い思いは芸の肥やしになる。負けんな!(小笠原玉虫)

2.爪弾かれてのこる月
作者:はたらきねこ(@hatarakineko_)

3.爪先で爪先触っている湿った夜 1・3・0
作者:うぐいす(@uguisu_asobo08)
◎十月知人 ○ロケッ子、タケウマ、小笠原玉虫
・「爪を切る」に近い表現を使っていない点と、男女の生暖かさが伝わる所。(十月知人)
・情愛の生々しさがどの句よりもストレートに伝わってきました。もし、どちらも自分の爪先だったとしたら、とっても平和。(ロケッ子)
・エッチ♪(タケウマ)
・いいですね。もじもじくんな感じ。こういうもじっとしたやるせない気持ちになるものですよね、湿気の多い夜。スゴく伝わってきます。好きな句です。(小笠原玉虫)

4.「ちょっと貸して」と爪でネジをゆるめた 0・2・0
作者;木曜何某(@thurstar)
○十月知人、mekeke
・ナンセンスさが、いいですね。(十月知人)
・「ちょっと貸して」という言葉と、その仲が良かろうが悪かろうが、そんな言葉が出る距離感に何だか惹かれるものがありました。おもちゃの電池を交換している姿とか、目覚まし時計の電池を交換している姿とか、何気ない生活の一コマが見えてそこもいいなと感じました。(mekeke)

5.隠した鷹の爪かじり涙目 0・2・0
作者:しみずわかな(@tear_dream)
○トモマリ、木曜何某
・「鷹の爪」が何の比喩なのか、と考えると楽しくなります(トモマリ)
・実力はあるのに、見せる機会に恵まれず、家に帰って1人泣く。からいですね。(木曜何某)

6.月明かり爪先立ちして見たい女人(ひと) 1・1・0
作者:圓哉(@ennyahaiku)
◎小笠原玉虫 ○桃子
・大変いいです。「爪」から連想させるもの・シチュエーションの中でも「爪先立ち」っていいなと思いました。で、月明かりの下で何とかして見たいいい女。想像力を掻き立てられます。尊敬する俳句の先輩がいつも言ってる「当たり前過ぎない、奇を衒ってもいない」ってまさにこういう句のことだなとすとんと腑に落ちました。初見一発で特選にとらせていただきました。Excellent!(小笠原玉虫)
・露天風呂を思い浮かべました。壁一枚で仕切られた奥から聞こえる女の声。月は、女を美しく照らしているのだろう…。そわそわした気持ちが伝わってくる句です。(桃子)

7.足の爪がこんなにも遠いとは 3・7・1
作者:8ビッ人(@8bit_woman)
◎こみおく、うぐいす、京介 ○十月知人、白熊左愉、圓哉、フロヤマ、しみずわかな、木曜何某、元気な人 ●タケウマ
・きっと、妊婦さんになって初めて、お腹がでているお父さんの苦労がわかったのでしょう。「お父さん、足の爪切るときこんなに苦労してたんだね」(こみおく)
・自分で足の爪を切ろうとしているのに、体が固くて手が届かない、という状況だと読みました。昔はこんなことなかったのに…とか、だれか切ってくれる人がいてくれたら…という嘆息が聞こえそうです。「が」と「とは」を削って言い切ってしまってもいいかなと思いました。(うぐいす)
・腰が曲がらない、膝が曲げられない状態なのか。
普段なら容易く出来ることができない辛さがわかります。(京介)
・分かります、この感覚。(十月知人)
・私も同様に感じたことがありますので、共感。(白熊左愉)
・この感覚はよくわかるんだけど、もう一ひねりほしいところ、でもどう言いかえるのかは浮かびません。(圓哉)
・子供の頃は楽に切れたのに、といったところでしょうか。視点が面白いです。(フロヤマ)
・あるときふっと気付くのでしょう。(しみずわかな)
・自分の身体なのに、遠いところが多すぎる。お酢を飲んで、軟らかくなりましょう。(木曜何某)
・足の爪って手ほど頻繁に切らない分、その都度窮屈さを忘れては思い出しますよね。着眼点は足に終始しているのですが、句の余韻が身体一杯に広がって、うんと背伸びしたくなります。(元気な人)
・まずはストレッチからはじめましょう♪(タケウマ)

8.今夜抱かれる爪を切る 2・3・1
作者:京介(@princekyo)
◎フロヤマ、八王子 ○こみおく、タケウマ、小笠原玉虫 ●はたらきねこ
・爪を切る行為に激情を忍ばせる。何とも艶かしい句です。(フロヤマ)
・愛される喜びと深く愛されて爪を立てても相手の背中を傷つけまいとする女性の優しさと愛情の深さが素直に表現されている。(八王子)
・抱かれるんだったら切らないで伸ばしておきたいところですが、周到に準備している感じがいいですね。(こみおく)
・エッチ♪エッチ♪(タケウマ)
・わたし、実はこちらの句と似た感じの今回出しちゃったんですが、こっちのがうめぇじゃねぇか、クッソ!と地団太踏みました。いいです。色っぽいし、好き。ちょうど言いたかったことをもっと上手に言っていただけた快感がある。(小笠原玉虫)
・逆選。用意周到な受け身さが生々しすぎて美しくない。「今夜かもしれない爪を切る」ぐらいにしてくれたら可愛かった。(はたらきねこ)

9.明日はデート爪をまるめておく
作者:小笠原玉虫(@OGA0531)

10.船長は鉤爪はずす残暑かな 1・6・0
作者:十月知人(@totsukitotsuki)
◎木曜何某 ○圓哉、フロヤマ、しみずわかな、こみおく、はたらきねこ、うぐいす
・やっぱり暑いと鬱陶しくなるのでしょうか。ガコッと横において、団扇をあおいでいるのが目に浮かびます。(木曜何某)
・今年の夏は暑うございました。「船長も」ではありきたりかな。(圓哉)
・確かにアレは重そうで、暑そう。夏の間は気合い入れていたが、そろそろ疲れたのか。視点が素晴らしいです。(フロヤマ)
・秋めいた空は、人を旅立たせる作用があると思います。一つところに留まれない質の人は特に強く感じるのでしょうね。(しみずわかな)
・暑いからね。しかしはずしたらどうなってるんだろう。(こみおく)
・正選。義手ではなかった。手あったのかよフック。蒸れるからはずしているのだろう。キャラクターを守るのも大変ですね。(はたらきねこ)
・はずせるものはすべてはずしてさっぱりしたい!そんな今年の夏でした。さ、船長を襲うなら今ですよ。(うぐいす)

11.君に手紙を書こう爪を切る 2・2・0
作者:こみおく(@ayukoyama)
◎mekeke、元気な人 ○白熊左愉、タケウマ
・勝手にこれは夜の出来ごとであると想像していました。この人は結局爪を切って、手紙は書かずに寝てしまいそうだなと感じました。爪を切ったらそこで何かが満たされて、というか気持ちが「手紙を書こう」と思っていた時よりも新しいものになってしまって、まあ今日は書かなくてもいいかとなりそうな気がしました。爪を切るのも小さなリセットだなと感じました。(mekeke)
・数句あった「爪を切る」系の中でも前後のバランスが良く心に残りました。特に「手紙を書こう」で留めた表現が秀逸だったと思います。とても平衡感覚に長けている方なんだろうなと思います。(元気な人)
・手紙を書く決意と爪を切る。という言葉の組み合わせが清清しいです。(白熊左愉)
・一見エッチじゃないけど、実はエッチだと思う♪(タケウマ)

12.夏の終わりの爪先立ちのキス 0・1・0
作者:フロヤマ(@furoyama_shobo)
○8ビッ人
・身長差のあるカップルに憧れます。何故だか学生服を着た二人を連想させます。(8ビッ人)

13.爪短く切り素直さ戻る 1・7・0
作者:白熊左愉(@sayumemi)
◎しみずわかな ○8ビッ人、mekeke、木曜何某、こみおく、元気な人、京介、八王子
・句自体が素直な印象を持ちました。爪を伸ばしているときは何か背伸びをして頑張っていることが多いような気がする。(しみずわかな)
・爪の長さと純朴さは、比例しているのかもしれませんね。(8ビッ人)
・背伸びして爪を伸ばしてみたりあれこれやってみたものの、その背伸びに疲れて結局もとの長さに切った思春期の女の子を思いました。切ってガッカリ、ではなくて、切った本人もどこかホッとしたような、やれやれなれないことはするもんじゃないわねみたいな感じ。(という表現は思春期っぽくないかもしれませんが)本来の自分が何なのかよく分からなかったけどこういうことか、と気付くような。(mekeke)
・思春期の終わりのような句でしょうか。この句好きです。(木曜何某)
・ツケマもとって素直さ戻る。(こみおく)
・爪に左右される芯の揺らぎに可笑しみを感じるのですが、バカには出来ないんですよね。人間てやっぱりそんなに強いもんじゃない。ユーモアに任せて戯けてみせていますが、だとしてもやはり「素直」と真っ直ぐ言えるのは何よりも素直な証拠ではないでしょうか。(元気な人)
・親の言うことを聴かず爪を長く伸ばしていた娘、それが爪を切ることで素直さが戻ったと思う親が思い浮かびました。(京介)
・反抗してばかりいた娘がしおらしくなった。見ると爪が短く切られていた。付け爪をして真っ赤にマニキュアしていた娘が。そして一言、お父さん色々ゴメンナサイ!(八王子)

14.深爪をなめて花野は雨模様 2・5・0
作者:タケウマ(@take575)
◎圓哉、はたらきねこ ○ロケッ子、十月知人、mekeke、元気な人、うぐいす
・深爪と花野の意外性のある取り合わせに感心しました。綺麗でなんか色っぽい感じ、屈折した心情のようにも感じる、素敵な句です。(圓哉)
・特選。なにもかもうまくいかない。しかしいつか爪は伸びるし、雨は上がるだろう。「今」をやり過ごし、明日を待つしなやかさが「なめて」という表現に集約されている。(はたらきねこ)
・何やら美しい句。切りすぎて爪を舐めつつ、男(勝手に男性を想像したけれども)は今から何をしようとしているのか。(ロケッ子)
・深爪はつい舐めちゃいますよね。(十月知人)
・爪を噛んでいる姿、何かままならぬことや気がかりなことがあるのかなと考えました。外も雨模様ですし。気持ちと風景のつながりがいいなと感じました。(mekeke)
・「爪をなめて」で僕は猫を想起しました。深爪ってことは飼い猫なのでしょうか。折角爪を短くした翌日の外は生憎の雨。新しい靴を買った翌日に雨が降ったような遣る瀬無さを感じましたが、人間のそれとはきっと違うのでしょう。(元気な人)
・何か物思いにふけっているのでしょう。深爪の痛みって、後悔の胸の痛みに似てシクシクじわじわと後を引く。少しロマンチックに溺れる感じが、雨の花野と合っていると思います。(うぐいす)

15.確かめた愛も爪の汚れ 0・3・0
作者:元気な人(@no_fineman)
○トモマリ、桃子、京介
・私のような若造にはわからない「大人の愛」を想像しました(トモマリ)
・愛を確かめる前の句はいくつかありましたが、この句は愛を確かめた後の句。汚れさえも愛おしい。すっきりと、まとまっていて良いです。(桃子)
・愛情表現で引っ掻くタイプなのか。背中に痛そうな爪あとも見えてきます。(京介)

16.柘榴落ちて深夜に爪を研ぐ女 1・5・0
作者:八王子(@jrc0024)
◎桃子 ○ロケッ子、トモマリ、しみずわかな、はたらきねこ、京介
・ぞくぞくする句。復讐するための準備だろうか。「柘榴」という単語のチョイスが素晴らしいです。(桃子)
・「柘榴」も「爪」も女の象徴のような気が。柘榴が落ちるというのは、何かが終わってしまったことの暗喩なのではないだろうか。いよいよ動き出してしまう女の句。怖さと妖艶さと潔さ。(ロケッ子)
・息の詰まるような静寂が想像されて好きです(トモマリ)
・夏を満喫しまくっても尚、物足りず、もう一遊びしてこようかな‥といった風情でしょうか。若くて魅力的で貪欲、真っ盛りの命。(しみずわかな)
・正選。柘榴の象徴するものを考えると、爪を研ぐ行為に女の業が感じられて怖い。情念句ですね。好きです。(はたらきねこ)
・柘榴は鬼子母神に供える果実。ヨーロッパだと冥界の実。これから爪で人が殺められそうな怖さがあります。(京介)

17.猫のひげ爪弾けばドのシャープ 2・2・0
作者:ロケッ子(@5_rockets)
◎8ビッ人、トモマリ ○フロヤマ、うぐいす
・猫が素直にヒゲを貸してくれるとは思えないからこそ、ユーモラスな句に感じられました。ですが、ドのシャープを鍵盤で確認してみると、不安定な印象の音なので、他にも受け止め方がありそうですね。(8ビッ人)
・短編小説を読んでいる気分になりました。(トモマリ)
・メルヘンな句。シャープというのが何かイイです。(フロヤマ)
・ファンタジーですね。このあと怒った猫にひっかかれるに違いありません。猫は黒猫であってほしい。それと、月夜であってほしい。ベタだけど。(うぐいす)

18.無粋者の憎たらしくも美しい爪 0・3・0
作者:mekeke(@mekekeke)
○白熊左愉、8ビッ人、八王子
・ギャップにやられます(笑)(白熊左愉)
・一昔前の私には耳が痛い句。(8ビッ人)
・人の気持ちもちっともわからない無粋な男。でも何故かとてもきれいな爪をしている。その爪で項に触れて欲しいと密かに願っているのに。(八王子)

19.全裸になって私の足の爪を切りなさい 1・1・3
作者:桃子(@Maomonta)
◎タケウマ ○圓哉 ●8ビッ人、しみずわかな、京介
・はい、ご主人様♪(タケウマ)
・「足の指をなめなさい」だともう女王様、少しH度が希薄になった気がする。(圓哉)
・なにやら性的なものを感じますが、万人に理解できるものとは少し遠い気がします。私にとって足の爪は非衛生なものなので、フェティッシュなものとして、とらえることができませんでした。(8ビッ人)
・あくまでも個人的にですが、寄り添って魅力を汲み取ろうという気持ちになり難かった作品でした。(しみずわかな)
・女王様の命令そのまんますぎるように思います(京介)

句会4本目 結果発表

4本目の句会にご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました! 投句、選句、選評……といろいろとお世話になりました! 結果が出ましたので発表いたします。(集計ミス等お気づきになりましたら、遠慮なくご指摘ください!)

選評は別記事(下部)にアップしておりますので、そちらもあわせてご覧ください。

数の関係で選評が書けなかったけどこの句にも感想を書きたいーという「選句外評」は、二次会場所「やんややんや」の方でお願いします。ぜひご活用ください。

★二次会場所はこちらから★ → やんややんや


お題それぞれの最高得点は……

まずは、3つありましたお題ごとに最高得点を獲得した句と次点の句を発表します。皆様からいただきました選句をもとに、「特選=2点、正選=1点、逆選=−1点」で計算しております。

▼指定語「爪」 最高得点句

  足の爪がこんなにも遠いとは
  
  獲得点数:12点
  作者:8ビッ人


  ▽次点句

  爪短く切り素直さ戻る
 
  獲得点数:9点
  作者:白熊左愉

  深爪をなめて花野は雨模様
 
  獲得点数:9点
  作者:タケウマ 
 

▼「遊園地」しばり 最高得点句

  日に焼けたステージにヒーローだけ新しい

  獲得点数:12点
  作者:木曜何某


  ▽次点句

  遊園地跡だだだだだっと土筆など

  獲得点数:11点
  作者:十月知人

▼雑詠 最高得点句

  パレットからこぼれるほど白をくれた

  獲得点数:16点
  作者:木曜何某

  
  ▽次点句

  イヤホン外して音のある世界

  獲得点数:10点
  作者:元気な人

  君の隣で雷まだ遠い

  獲得点数:10点
  作者:うぐいす


◎今回の句会における最高得点獲得句
  パレットからこぼれるほど白をくれた(16点)
  作者:木曜何某



終結

そんなわけで、今回の句会結果は次のようになりました。
(※MVP=総合獲得点数が最も高かった作者、ホームラン王=特選に選ばれた数が最も多い作者、ヒット王=正選に選ばれた数が最も多い作者 死球王=逆選に選ばれた数が最も多い作者)
 

 ▼MVP     → 木曜何某(30点)
  
 ▼ホームラン王  → 十月知人、うぐいす、木曜何某(7個)

 ▼ヒット王    → トモマリ(18個)

 ▼死球王     → はたらきねこ(5個)

ちなみに、総合獲得点数上位5名(神5)は、「木曜何某(30)、十月知人(28)、トモマリ(26)、タケウマ(24)、うぐいす(22)」でした。


選ばれました皆様、おめでとうございます。そして、ご参加いただきました皆様も、ありがとうございました&おつかれさまでございました! 作者の正体、それぞれの選評を味わった後は、どうぞ二次会へお越しください。

句会4本目 全句公開

千本ノッカーの皆様、こんにちは。雨、雨、雨の毎日です。
句会4本目に寄せられた全句を公開いたします。ほぼ半年ぶりの開催でしたが、今回は19名の方にご参加いただきました。お忙しい中、どうもありがとうございました! この先、選句に選評に…とたくさんお世話になりますが、よろしくお付き合いくださいませー。


選句・選評について

  • 選句場所

  ▼「爪」→ http://ws.formzu.net/fgen/S78232490/
      モバイル→ http://ws.formzu.net/mfgen/S78232490/
  ▼「遊園地」→ http://ws.formzu.net/fgen/S31571858/
      モバイル→ http://ws.formzu.net/mfgen/S31571858/
  ▼「雑詠」→ http://ws.formzu.net/fgen/S75489295/
      モバイル→ http://ws.formzu.net/mfgen/S75489295/ 
  ▼「逆選」→ http://ws.formzu.net/fgen/S39079620/
      モバイル→ http://ws.formzu.net/mfgen/S39079620/

  • 期間

  9月4日(水)〜8日(日)23:59

  • 選句内容

 ○それぞれのお題ごとに、「特選」1、「正選」3を選ぶ。
  (「自分の句以外」なので、各18句の中から選ぶことになります)
  選句方法の詳細は 「千本ノック」とは をご参照ください。

 ○選句の際に、選評を書き込む。
 (選句外評は、Twitterまたは二次会場所でお願いしますー)

 ●全体から逆選を1つ選んでください。
  

※つまり今回も、全部で4つ送信していただくことになります。お手数おかけいたしますが、よろしくお願いしますー。

指定語「爪」


1.泣きたくないので爪を切っている

2.爪弾かれてのこる月

3.爪先で爪先触っている湿った夜

4.「ちょっと貸して」と爪でネジをゆるめた

5.隠した鷹の爪かじり涙目

6.月明かり爪先立ちして見たい女人(ひと)

7.足の爪がこんなにも遠いとは

8.今夜抱かれる爪を切る

9.明日はデート爪をまるめておく

10.船長は鉤爪はずす残暑かな

11.君に手紙を書こう爪を切る

12.夏の終わりの爪先立ちのキス

13.爪短く切り素直さ戻る

14.深爪をなめて花野は雨模様

15.確かめた愛も爪の汚れ

16.柘榴落ちて深夜に爪を研ぐ女

17.猫のひげ爪弾けばドのシャープ

18.無粋者の憎たらしくも美しい爪

19.全裸になって私の足の爪を切りなさい



「遊園地」しばり


1.迷子見つからない遊園地に夕立

2.風船の行方見つめて泣けもせず

3.アルプスの少女回転ブランコに挑戦

4.あの駅で降りてみる追憶の遊園地

5.ジェットコースターは乗らない祖母の遺言なんだ

6.ガタピシのコースターで味わう二度の恐怖

7.日に焼けたステージにヒーローだけ新しい

8.愛された記憶のままに木馬が廻る

9.荷物番してピエロと待ってる

10.ハロウィンに呼ばれて来たの海の風

11.僕のためじゃないポニーテールが宙に舞う

12.一生は夢の中の遊園地

13.人妻をのせて木馬のまわりだす

14.ネズミ率いる動物園かな

15.見えるだけの観覧車見えた

16.手を離した風船は赤だったんだパパ

17.遊園地跡だだだだだっと土筆など

18.ようやくの観覧車から雨を見ている

19.ただ着ぐるみがこわくってカップも馬ももういらない



雑詠


1.パレットからこぼれるほど白をくれた

2.出しっぱの風鈴と鳴く秋の虫

3.南の島の美しい魚を甘く煮ている

4.入れ歯飛び出てなお笑っている

5.異星人来るなら鈴虫の鳴く夜

6.ぷしゅっ、ぐびっと、夏終る

7.イヤホン外して音のある世界

8.君の隣で雷まだ遠い

9.隣人に似た子あやして面接の朝

10.最後の一つ割りに割って小さな一口

11.死んだ人の話しながら煎餅をくだいている

12.とりあえず立て掛けておく蠅叩

13.寝汗かく子の頭あおいでやる汗

14.納豆こぼれそうキムチも入れよう

15.数打って当てない能力

16.盆踊り娘の背中眺めつつ

17.大人になっても寝ぐずの君にライナスの毛布

18.虫の音や縄文の香りも闇に消え

19.なにもかも足りないけれど金あるから買うわ明日買う

句会4本目 開催のお知らせ

残暑お見舞い申し上げます。暑さもまだまだ厳しい折ではありますが、自由律俳句の句会「千本ノック」4本目開催のご案内です。初めましての方もそうでない方も、どうぞお気軽にご参加ください。

「千本ノック」4本目 テーマ

  1. 指定語「爪」
  2. 「遊園地」しばり
  3. 雑詠(NG:読む人をかなしい気持ちにさせてしまう句)

それぞれ1句ずつ、ひとり計3句です。<句の条件>

  • 5文字〜25文字程度で書かれたもの。
  • 口語・文語どちらでもOK。
  • 季語の有無問わず。


【補足説明】

  • 指定語「爪」

指定語とは、句の中に必ず入れなければいけない語のことです。今回の場合は、句の中に必ず「爪」という漢字を入れてください。「つめ」でも「つま」でも「ソウ」でも読みは問いません。また、「○爪」「爪○」「○爪○」のように熟語の中に入っていてもかまいません。(※注 「つめ」「ツメ」のように平仮名・カタカナ表記は×。必ず漢字で入れてください。)
※このお題は、3本目のMVP 晶さんからいただきました!

  • 「遊園地」しばり

「しばり」とは、それに関するもの、それを想像させるもの、といった意味でとらえてください。つまり今回の場合は、「遊園地」に関する、想像させるような句をお願いします。ひとつめの指定語と違って、「遊園地」という言葉を必ず入れなくてはいけないという意味ではありません。(もちろん、入れてもOK)
※このお題は、3本目死球王 桃子さんからいただきました!

  • 雑詠

何も指定はありません。お好きにつくってください。
…と言いたいところですが、今回はNG設定がございます。
「読む人をかなしい気持ちにしてしまう句はNG」です。
※このお題は、3本目死球王 タケウマさんからいただきました!
以下、出題者より。
「気持ちなんて曖昧だし、自分はかなしくないと思っても他の人が読んだらかなしいと思うこともあるでしょう。そこらへんは自己判断でお願いします。迷ったら、この句をタケウマ(ときどきくずカエル)が読んだらかなしがるだろうか(いやボクじゃなくてもいいんですけどね)と、あなたの心の中にいるタケウマ(ときどきくずカエル)に問いかけてください。」

スケジュール

  • 投句期間

 8月28日(水)〜9月2日(月)

  ▼投句フォーム
→ http://ws.formzu.net/fgen/S92029520/
   携帯からは → http://ws.formzu.net/mfgen/S92029520/

  • 選句・選評期間

 9月4日(水)〜9月8日(日)

  • 結果発表

 9月11日(水)

※投句・選句用フォームへのリンクは、後日貼ります。
 結果発表はこのブログでおこないます。


選句までお付き合いいただけるようでしたら、ぜひぜひご参加ください。


選句・選評について

  • お題ごとに「特選1・正選3」を選んでください。

 (特選=最もいい! 正選=いい!)

  • 全体から「逆選1」を選んでください。

 (逆選については、以下※参照)

※逆選について(再掲)

大体の句会でもそうだとは思いますが、「千本ノック」における「逆選」とは、最も劣っている句(ひー! そんなの存在しないしない!)を選ぶというのではありません。「ちょっとひとこと言わせてほしい句」を選句してください。

「ちょっとひとこと言わせてほしい」には、「この表現がひっかかった」「好きなんだけど、こういうところは直せそう」「おいおい、テーマにそれているんじゃない?」「この○○ってぇーのは認めない」など、好意的なものからそうでないものまで内容は様々だと思います。(あえて曖昧にしておこう)選句と選評はセットになっておりますので、逆選の場合は特にハリキッテお書きください!



何かわかりづらい点などありましたら、こちらでもいいしTwitterでもいいし、ご遠慮なくお尋ねください。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

【結果】雑詠

1. 春コアラかと思ったら君か 1 0・3・2
作者:はたらきねこ
○畦道、ほねを、京介 ●茜谷りょう、もも
・春コアラ、というのが実はなんだかよく分からないのだが、そういう人が実際いそうな気がして、可笑しかった。ずいぶんなご挨拶だ。これは機会があれば私も使ってみたい。(畦道)
・おもしろいのですが、『春』はいるのかな?と思います。(ほねを)
・「春コアラ」という季語があるのかと思いましたが「春/コアラ」で切れてるのですかね。
コアラと見間違うようなことがあるのか。お世辞的な意味で言っているのでしょうか。きっと「君」は可愛らしい人なのでしょうね。(京介)
・抱きついてきた君をコアラだと思ったのでしょうか。春とコアラが結びつかなくて困ったので今回は逆選にさせていただきます。(茜谷りょう)
・ずっと気になっていた句。「春コアラ」って、なんだろう…。「春、コアラ」で区切れるのかも。自分勝手な解釈で、申し訳ないのですが、「春コアラ」というのは、春子ちゃんという女のニックネームで、きっとAKB48の柏木さんに似た、素敵な女性なんだろうなあと。春コアラと、君と、この句の主人公の関係が気になります。(もも)

2. それを言ったらおしまいのパンジー咲いている 7 2・3・0
作者:タケウマ
◎天坂寝覚、晶 ○ロケッ子、玄齋、うぐいす
・ちょっとだけ「男はつらいよ」を思い出しました。(天坂寝覚)
・日常的な只ならなさにドキドキします。(晶)
・句の勢いがとてもいい。好きです。パンジーなんて、一見のんきな花なのに、「それは言ったらおしまいの」をつけられちゃってる! 全然定型じゃないんだけど、定型の美しさに似た雰囲気も感じました。(ロケッ子)
クチナシの花ではなく失言をしてしまった後にパンジーが笑っている、ドンマイ、という言葉をかけているのかなと思いました。(玄齋)
・寅さんの名セリフのよう。その風のような言葉に、ひらひらとパンジーがそよいで、「ま、いっか」って言いたくなります。(うぐいす)

3. 陽うらら洗った梵天をただ乾かしている
作者:こみおく

4. 屋に居れば愈々深し春驟雨 2 0・2・0
作者:ほねを
○玉虫、白熊左愉
・有季定型かな。春の物憂い、優しい雨の感じと、そんな雨に閉じ込められる感覚がすごくいいなと思いました。春の雨を詠むならこんなふうにやりたいという理想の句。好きです。(玉虫)
・これはプロの俳人の方の作品という感じがしました。。(白熊左愉)

5. おそるおそるおそそもおほ犬のふぐり 2 1・1・1
作者:いつ藻
◎もも ○天坂寝覚 ●はたらきねこ
・語呂が良いな、という第一印象で選びました。たぶん、エロチックな句なのでしょうが、それを感じさせず、まるで種田山頭火を思わせるような句になっていると感じました。「おほ犬のふぐり」っておもしろい名前ですよね。(もも)
・語感が好きです。(天坂寝覚)
・いったい何を言っているのか。困ったものである。性別はまだ男だったということなのか。きれいだと思って手をだしたのならそれでいいではないか。山頭火の句を想起しすぎてしまうし、音韻の楽しさだけ、あるいはおそそ言いたいだけなのでは、とも思う。逆選王になってもらいたいので一票を投じる。(はたらきねこ)

6. 君の愚痴話がないと会えない距離 2 0・2・0
作者:茜谷 りょう
○いつ藻、京介
・二人の距離感の違いが面白いです。(いつ藻)
・話がなくても会える距離、一緒に住みたい結婚したいみたいなことを愚痴としてこぼしているのでしょうね。話があれば会える距離なのだから羨ましいとも思います。(京介)

7. いつまでも鼻に残るうた歌う 4 1・2・0
作者:mekeke
◎こみおく ○玄齋、元気な人
キダタローの曲かな?「鼻にのこる歌」の表現がおもしろかったです。(こみおく)
・花粉症の頃の歌かなと思いました。毎年思い出しそうですね。(玄齋)
・一日中頭のなかで流れてる曲ってありますよね。それを「鼻に残るうた」って表現されたのかなって解釈したんですけど、言い得て妙だなと思いました。それでもうやられました。(元気な人)

8. 包丁を持って何を切るべきか 14 2・10・0
作者:玄齋
◎元気な人、mekeke ○ロケッ子、いつ藻、玉虫、白熊左愉、茜谷りょう、木曜何某、こみおく、タケウマ、フロヤマ、晶
・料理をしない僕なんかはとても共感できる句です。たまに気が向いて包丁こそ持ってみるものの、何から切っていいかすらわからない。新しいことに挑戦したくなる時の希望や期待や諦念の詰まった、なんだかとても春らしい良い句だと思いました。(元気な人)
・どうせ切るなら快く身になるように、そうなるものを切りたいです。(mekeke)
・特選と迷った。読んですぐさまゾクっとした。通常、包丁を持つときって既にその目的があるものだろう。キャベツを切ろう、で包丁。肉を切ろう、で包丁。それなのにこの句は、まず包丁を持っている。不穏な雰囲気に魅力あり。(ロケッ子)
・なぜか殺伐感はあまり感じない。あるいは、単に包丁を手にしてから料理を考えているあべこべな図か。(いつ藻)
・包丁の冷たい感触とぴーんと張り詰めた空気が伝わってきます。そしてこういう気持ちもよく分かります。こういうときね、そのままいつもどおりにご飯作ってみてね。生だった食材に火が通って食べられるものになってく過程に、すごく癒されますよ。料理嫌いの私ですらそうなのだから大丈夫。お料理しましょう。(玉虫)
・ちょっと怖いですが、気になってしまいました。(白熊左愉)
・包丁を持って立ち尽くす姿を想像して笑ってしまった。切りたいものは包丁で切れるものなのだろうか。(茜谷りょう)
・うんうん、わかります。包丁を持って、持っただけという。でも、狂気の句でもありますね、たぶん。(木曜何某)
・なんか怖い。怖いけどちょっとおかしい。(こみおく)
・大根とか切るとスッとするよね。人参のちょっと硬いところも好き♪ 野菜系がいいんじゃないかな〜♪(タケウマ)
・料理の場面、それとも……。想像が膨らみます。(フロヤマ)
・怖いけどありふれた感情ですよね。どの家の台所にもある包丁みたいに。(晶)

9. 捨てちまえと肩抱くぬるく強い風の日 1 0・1・0
作者:玉虫
○晶
・冷たい風じゃ駄目なんですよね。ぼふーっと覆いかぶさる生暖かい風は心がざわざわします。(晶)

10. 晴れた風を野球帽とんでいった 3 0・3・0
作者:天坂寝覚
○こみおく、うぐいす、元気な人
・実際には無さそうな風景だけど、すがすがしい。(こみおく)
・読んだ瞬間、甲子園球場の風景が浮かびました。晴れた「風」としたのがおもしろいですが、「を」に少し疑問。いっそここの助詞はなくてもいいかなと思いました。(うぐいす)
・晴れた風を野球帽とんでいった。晴れた風を野球帽とんでいった、ですよ。良いですね〜。素晴らしい言い回しと絶妙なバランスの句で、僕には絶対に作れない句だと思いました。晴れた風を野球帽とんでいった。何度でも言いたくなる句ですね。晴れた風を野球帽とんでいった。(元気な人)

11. 騙されて押さされた判子欠けている 8 3・3・1
作者:京介
◎白熊左愉、畦道、ほねを ○玄齋、木曜何某、mekeke ●こみおく
・判子が欠けていて本当によかったなあと!人を騙して平然としている悪人に報いることができたことが爽快。(白熊左愉)
・『押さされた』というのが少々たどたどしいが、だから騙されるのだ、と納得させる効果があるようにも。欠けた印鑑は凶相だともいう。いろいろなものを匂わせ、怖い一句だと思う。(畦道)
・私の印鑑も欠けていますのでついつい選んでしまいます。特選にこんなこと言うのもなんですが、『押さされた』という認識は少し反省が足りないように思います。やはりここは『騙されて押した判子の欠けている』と、押した責任は自分が引き受けるべきだと思います。(ほねを)
・あわててハンコを押した情景が浮かびます。(玄齋)
・判を押したのは契約書というよりも、婚約届なんじゃないでしょうか。夫婦仲が悪くなって(浮気をされたり)見返してみると、もうこの時から欠けていたんだと。婚約届って見返せるものなのかは知りませんが。役所に出したらそのままなのでしょうか。(木曜何某)
・「押さされた」が何だか妙に気持ち悪いというか、私の中で収まりが悪くて「ううああああー!」「何でそんな〜!」とモヤモヤを感じたのですが、騙されて判子を押してしまったと気づいた時の気持ちもこれに近いものなのかも知れないとふと思って、なるほど!と一人感嘆の声をあげました。(mekeke)
・とても風情のある句で正選にしたかったのですが、「押さされた」の表現が口にひっかかるので惜しいと感じました。正しい表現でなくても、なめらかな言葉のほうが好きなので、普通に「騙されて押した判子」でいいのではないかと思いました。(こみおく)

12. 春の星もう伝えられぬ言葉抱き締め
作者:白熊左愉

13. テディベアがそう言うなら許そう 8 2・4・0
作者:木曜何某
◎玄齋、はたらきねこ ○いつ藻、もも、京介、タケウマ
・許しましょう。。。なぜかうなずいてしまいました。。。(玄齋)
・これは許さざるを得ない。小さな女の子が普段言えないわがままをぬいぐるみに代弁させているのでしょう。許す。お父さんは一日しもべとなるだろう。(はたらきねこ)
・テディベアと会話している絵が微笑ましいです。(いつ藻)
・もしも私の部屋にあるテディベアが、自分に語りかけているとしたら、を考えてみました。つぶらな瞳、小さな口、ふわふわの体…喋っただけで奇跡なのに、かわいいから何を言われても良いな…なあんて。あと、「TED」はまだ見ていません。(もも)
・テディベアが喋る映画があったが、基本テディベアは喋らない。小さい子供を叱っていて、テディベアが「許してあげて」と言ってることにしてるシーンが思い浮かびました。このテディベアは子供が仲良くしている(親友のような)テディベア。(京介)
・テディベアが言うんじゃ、しょうがないよね。(タケウマ)

14. 文学とは生き恥だよと年下の先輩 4 0・4・0
作者:畦道
○茜谷りょう、もも、はたらきねこ、晶
・むずがゆいことをむずがゆい人に言われた気持ち。(茜谷りょう)
・「文学とは生き恥だよ」だけでも、すごく良いと思いましたが、「年下の先輩」が言うから複雑な印象に感じました。「年下の先輩」に頭にきているようにも感じますし、尊敬しているようにも感じます。そして、自分より年下が先輩なのも「生き恥」なのかもしれません。そういえば、私にも、年下の先輩っていました。(もも)
・半可通が何言ってやがる、という感じだろうか。先輩の鼻持ちならない感じがよく出ている。テディベアが言うなら許すが。(はたらきねこ)
・15文字の後ろに一冊の小説が見える気がしました。(晶)

15. 足湯に来た足で帰ってく 7 1・5・0
作者:元気な人
◎ロケッ子 ○畦道、木曜何某、ほねを、天坂寝覚、フロヤマ
・そりゃそうだろう。作者の意図はわからないけれども、句から醸し出されている微妙な滑稽さに胸をうたれてしまった。(ロケッ子)
・終始、膝から下しか見えないようなアングルが面白い。(畦道)
・僕は足湯をしたことがないのですが、温泉やスーパー銭湯へ行って、家に帰ってきて、また風呂に入って、なんのこっちゃと思うときはあります。(木曜何某)
・句意がよくわからないのですがなんかよさそうなかんじがします。よめばよむほどすきになります。(ほねを)
・何か釈然としない気持ちが出ていると思います。(天坂寝覚)
・恐らく軽い足取りで帰ったのでしょう。スッキリです。(フロヤマ)

16. バレンタインデー遺体にリボンの家族葬 −2 0・0・2
作者:もも
●白熊左愉、天坂寝覚
・「遺体にリボン」というところが、私には違和感がありました。「棺に」なら、まだしも「遺体に」というのは・・。(白熊左愉)
・分からないし面白くもないです。(天坂寝覚)

17. 迷子になり切れず遠回りで帰る 13 3・7・0
作者:晶
◎いつ藻、玉虫、京介 ○茜谷りょう、畦道、ほねを、うぐいす、はたらきねこ、タケウマ、mekeke
・あった、あった。若いときにこんなことがと共感します。(いつ藻)
・いいいですねぇ。繊細な感情。高校の頃、どこか遠くに行きたい、けれどそんな勇気も当てもなく、やたらと自転車でぐるぐるぐるぐる、本屋をはしごしてたことなんかを思い出しました。でも感傷に流され切ってもいない。まさに自由律って感じの名句だと思います。好き。文句なしで特選です。(玉虫)
・大人になってから迷子になるというのは、ドキドキ感があるでしょう。迷子になりたい願望がある人も少なくないのではないでしょうか。迷子になれそうなチャンスだったけれど、帰れる方法を見つけてしまったという残念な印象を受けました。(京介)
・この方にその道の名前をつけて欲しい。皆あるんじゃないかな。(茜谷りょう)
・家の近所で、道を選ばず適当にうろうろと歩き廻り、『プチ放浪』のような気分を味わう。何者にもなり切れない空しさを噛みしめた後は、帰るところがある有り難みにしんみりすることになるのだろう。(畦道)
・私は迷子になろうと思ったことは一度もなかった。迷子にならないように必死でした。なので、この『遠回り』には、止事無き方のあすびのような余裕を感じ、憧れと嫉妬を感じます。(ほねを)
・旅先で迷子になるのは、スリリングで案外楽しいものです。でも普段はなれないから、せめて遠回りして、いつもと違う景色を見てみたいのです。(うぐいす)
・春の夜の散歩ですね。このまま夜に溶けてしまいたい。そんな気持ちで花を探し猫に出会い風を嗅いでいく。しかし自由に道を選びながらもいつしかそれは「家路」になってしまっている。とても共感できました。(はたらきねこ)
・とにかく、帰ってこれてよかった♪(タケウマ)
・迷子でも遠回りでも、どちらにせよ何か発見がありそうでいいんじゃないかなと思いました。(mekeke)

18. 恋を失くした命に別状はない 9 2・5・0
作者:ロケッ子
◎うぐいす、タケウマ ○玉虫、もも、こみおく、元気な人、フロヤマ
・そう、命に別状はない。でもまるでこの世の終わりのように、何もかもなくなるんだもの。ただ空っぽで生きているだけ。(うぐいす)
・その冷静さが恋を失くすんだよね〜♪(タケウマ)
・おどけているけど、本当は辛くて息も絶え絶えなのが伝わってきます。お前、その血…!いや、大丈夫だ…。何を言って…大丈夫なんかじゃない!休め!!(泣)と、思わずひとり芝居をしてしまいました。好きです。どうかご自愛下さい。(玉虫)
・悲しいのだけど、すっきりする句。前向きに生きようとする気持ちが伝わってきました。昔の自分に「こんな句があるんだよ」って、教えてあげたいなあ。(もも)
・ならよかった。よかったの?春なのに。(こみおく)
・失恋した人が自分に言い聞かせているような、若しくは強がりで言っているような状況を想起したのですが、命に別状がないことは当たり前で、心に別状のある印なんだろうなと思いました。迸れ若さ。(元気な人)
・なるほど。ということは、次のチャンスもあるということですね。深い。(フロヤマ)

19. 向かい風もうくぐらない門を出る 5 1・3・0
作者:うぐいす
◎フロヤマ ○白熊左愉、mekeke、はたらきねこ
・卒業の句でしょう。向かい風が社会の厳しさを思わせます。力強い句。(フロヤマ)
・決意新たに、向かい風にも負けはしない、強い意志が感じられました。(白熊左愉)
・向かい風が引き止めている何かを感じさせて、それに逆らって門を出る様に、新しい一歩を踏み出す気持ちを思いました。(mekeke)
・卒業ですね。これからは向かい風から誰も守ってはくれない。自分の足で立ち向かっていかなくてはならない。そんな決意が表れています。応援したい。がんばってほしい。(はたらきねこ)

20. 電線の影ラの音踏み鳴らす 6 2・2・0
作者:フロヤマ
◎茜谷りょう、木曜何某 ○ロケッ子、天坂寝覚
・元気いっぱい踏み鳴らすのかな。電線の影が5線譜に見える人はきっと素敵な人。今度やってみます。(茜谷りょう)
・電線を五線譜に見立ててラの位置を踏みながら歩いているのでしょうか。状況はよくわかりませんが、好きな句です。(木曜何某)
・あー、いい景だなぁ。こういうのひらめくことができたのって、うらやましいですー。いい発想力&想像力!(ロケッ子)
・電線の影を五線譜に見立てた発想が面白い。(天坂寝覚)