【結果】指定語「花」

※次のような並びで掲載しています。
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 句  獲得点 特選数・正選数・逆選数
 作者
 ◎特選に選んだ人 ○正選に選んだ人 ●逆選に選んだ人
 選評

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1. めがねも脱いだらまつげに花びら 5 1・3・0
作者:はたらきねこ(@hatarakineko_)
◎玉虫 ○晶、畦道、京介
・「花の句」一覧開くなり、やられた、と思いました。爛漫と咲き誇る花よりも、ひとひらの花びらにぐっとくる。まさに俳味と思いました。眼鏡を外した瞬間、ふっと笑う光景まで目に見えるようです。文句なしの特選です。Excellent!!(玉虫)
・めがね「も」が爽やかに艶っぽくて素敵です。風が暖かくなってきた時期のワクワク感。(晶)
・めがね『も』、というのが本句の注目点。すでにいろいろ脱いでいるらしい。(畦道)
・めがねをはずす前に他のものも脱いでるわけですよね。服かな。もしかしたら全裸なのかな。風流ですね。(京介)

2. さらされて辺りいちめんの花明り 2 0.2・0
作者:いつ藻(@nadesiko6)
○うぐいす、はたらきねこ
・花明かりのせいで、隠していた心がさらされてしまった…幻想的な風景ですね。(うぐいす)
・「辺りいちめんの花明り」は非常に美しい。自分の句において「夜桜」を詠んだので、その情景と共通して思い起こされた。しかし、ぎくりとするのが「さらされて」である。花明りがいちめんに見える。つまり作者の視点は桜よりも高所にある。高所にさらされているのである。磔刑であろうか。衆人の監視のもと、これから命を奪われる運命なのか。人生の終わりに見る景色。これは末期の眼に映る情景なのだ。(はたらきねこ)

3. 永遠に春かもしれない菜の花の駅に降りる 7 0・7・0
作者:うぐいす(@uguisu_asobo08)
○いつ藻、白熊左愉、晶、畦道、木曜何某、もも、フロヤマ
・表現の描写が良いと思います。(いつ藻)
・情景が浮かびました。温かい印象の句でした。(白熊左愉)
・静かな句なんですが、すごい速さで過ぎていく時間とか、その中でどんどん失われていくものが感じられました。(晶)
・改札を出ると、一面の黄色い花畑。まるで異世界に迷い込んでしまったかのような戸惑いが、永遠の春を思わせたのだろう。何年か前、いすみ鉄道という千葉県のローカル線に乗って菜の花を見物したのを懐かしむ。(畦道)
・良い表現ですね〜。菜の花がぶわっと広がっていく感じ。(木曜何某)
・「永遠に春かもしれない」という表現がすごく好きです。きれいな菜の花畑なんだろうなあ。菜の花のにおいで、いっぱいなんだろうなあ。なにか新しいことが始まり、新しい出会いがありそうな、作者のわくわくした気持ちが伝わってきました。(もも)
・どことなく幻想的な感じがしました。『銀河鉄道の夜』みたいな。(フロヤマ)

4. クレヨンで強く描きたきアネモネの花 4 1・2・0
作者:白熊左愉(@sayumemi)
◎いつ藻 ○茜谷りょう、木曜何某
・なぜクレヨンでつよく描きたいのかが謎なところ。(いつ藻)
・不勉強でアネモネの花を知らなかったので検索しました。クレヨンで描くと優しすぎて強く描きたきなのかなと。(茜谷りょう)
アネモネの生命の強さ、それを描いた人の強さ、少し狂気も感じられるような。春の恐ろしさが見え隠れ。(木曜何某)

5. 花びら置いてある席が空いてる 7 2・3・0
作者:元気な人(@no_fineman)
◎晶、木曜何某 ○こみおく、うぐいす、フロヤマ
・よく見えるなと思いました。椅子の上の、窓からの日に照らされて埃がきらきら光ってる空間が感じられたというか。勝手なイメージですが。言葉がシンプルで好きです。(晶)
・空いてますよね。なんか勝手にはらって座ってはいけない雰囲気が、結界が張ってありますよね。その席には神秘的な何かが座っていらっしゃるのかもしれませんね。(木曜何某)
・映画のワンシーンのようで美しいです。花瓶じゃなくてよかったです。(こみおく)
・それはリザーブの印ではなくて?その席はきっと何か特別な席のように思います。(うぐいす)
・花瓶ではなく花びら。意味深な句です。(フロヤマ)

6. 消えてゆく花束を永遠のあなたにあげる 1 0・1・0
作者:茜谷 りょう(@aka_neiR0)
○いつ藻
・もの悲しい同工の句の中で、良いと思うものの一つです。(いつ藻)

7. 鬼を抱く背が冷たい桜花ひそひそ降り掛かる 2 1・0・0
作者:玉虫(@OGA0531)
◎フロヤマ
・鬼の正体が気になります。夜桜が似合う句です。(フロヤマ)

8. 好きでも嫌いでもない花と詰められて燃やされる 8 1・6・0
作者:木曜何某(@thurstar)
◎白熊左愉 ○ロケッ子、元気な人、もも、京介、タケウマ、mekeke
・本当にそうだな〜と共感しました。できれば好きな花であってほしいですが。(白熊左愉)
・ああ、そういうことか…と。花は人間の最期に近しいものなのだなぁ。(ロケッ子)
・僕は何らかの葬式を思い浮かべました。好きでも嫌いでもない花と一緒に火葬される。人生や生命というものを上手く表している最期の風景だと思いました。言葉にもう少し面白味があれば特選にしていたと思います。(元気な人)
・多分、燃やされているのは自分なのに、まるで他人事のように感じました。悲しいんだけど、なんだかおもしろい。おもしろいんだけど、なんだか悲しい。不思議。(もも)
・亡くなって棺桶に花を詰められてるのでしょうね。好きな花だけに囲まれるのではなく、好きでも嫌いでもないものに囲まれて火葬される、好きなものに囲まれたいもの。でも、死んでるんだから関係ないか。(京介)
・ご愁傷様です。(タケウマ)
・最後はそんなものなのかな、と感じました。私にはそこまできちんと考えて死ねる余裕はないかもしれない。とはいえ、私燃やされる時は菊やユリじゃなくてラナンキュラスと一緒に燃やして欲しいなと、この句を拝見して思いました。でも、その時期に死ななきゃならないから難しいだろうな。(mekeke)

9. ふと目を覚ます花びら散る音 6 2・2・0
作者:フロヤマ(@furoyama)
◎茜谷りょう、mekeke ○ほねを、こみおく
・起きている時、花が散るとハッとします。そういうことを思い出しました。(茜谷りょう)
うたた寝からぼんやり目覚めたら外で桜の花の散る音がする、そんな風景を思いました。桜が咲いて、そして散るのを見たりその音を聴いたりすると、何となく春が一段落してしまう感じがします。(mekeke)
・とても綺麗な句です。観念的ではありますが、無駄なくすっきりとした清潔感があります。(ほねを)
・風の音に目覚めたとき、心の中にもざわつくものがあるような気がして、ドキッとさせられました。(こみおく)

10. ふたりあるく道の花の色を知らない 3 1・2・1
作者:天坂寝覚(@sin_kaku)
◎うぐいす ○白熊左愉、玄齋 ●ほねを
・「花の色」が意味深です。単に花が咲くことなのか、それともふたりに起こる何らかの変化のことなのか。いずれにせよ切ないですね。(うぐいす)
・大好きなひとと歩いていて、周りなんて見ていられないようなほほえましさを感じました。(白熊左愉)
・これから色がわかってくるという意味か、あるいは将来の別れを予感しているのか、後者かなと思いました。(玄齋)
・大好きな句なのです。それだけに真ん中の『の』の字がなければなあと思うのです。詩や俳句と文との違いはそういうところにあると思うのです。無学な私の個人的な意見にすぎませんのでお気になさいませんように。(ほねを)

11. 行人の忽ち消へし花のいろ 1 0・1・0
作者:ほねを(@BoneySBone)
○もも
・ゆったりとした時間の流れを感じさせる句。行人というのは、修行僧のことでしょうか。花の色が消えていくことも、儚くもあり、美しさを感じますね。(もも)

12. くたびれた花輪が客を待っている 7 1・5・0
作者:ロケッ子(@5_rockets)
◎玄齋 ○元気な人、ほねを、はたらきねこ、天坂寝覚、タケウマ
・新鮮な花なのだけれど客が来ないので『くたびれた』になっているのかなと思いました。場末のバーの一場面のように思いました。(玄齋)
・まあ流行らないでしょうねこの店。店に活気があればそれだけで花輪もそんな風には見えないでしょうし。来年の今頃はもう花も何もないでしょうね。(元気な人)
・シニカルな視線がニヒルです。私には少し淋しく感じますので『待っているぜ』的なユーモアを足したくなります。(ほねを)
・場末の小さな飲食店だろう。いったい何度目の開店だろうか。経営者(または「ママ」)は変わらないまま、何度も開店を繰り返しているのだろう。心機一転の景気の良さはその花輪には表れない。花輪が待つ客も、馴染みの常連客なのだ。変わり映えしない日常の中にハレのはずの花輪が埋没している。そこに凝縮している人生を発見する冷徹で客観的な視座に敬意を。(はたらきねこ)
・町が寂れて行くときの切なさが迫ってきました。(天坂寝覚)
・繁盛するようになるといいですね。(タケウマ)

13. 悪名とどろかせ花野を往く 7 1・5・0
作者:畦道(@azemichi66)
◎ほねを ○ロケッ子、玉虫、晶、フロヤマ、mekeke
・堂々として悪びれるところなく風雅を愉しむ姿が粋ですね。字句も過不足なく整っているように感じます。パブリックエネミーナンバー1。(ほねを)
・「花野」と「悪名」の対比が鮮やか。その悪名も誤解のうえで出ちゃったものじゃないかしら、とか思ってしまいました。(ロケッ子)
・今回の花の句の中で、特選と並んで郡を抜いて好き。自信たっぷり悪いこちゃん。素晴らしい。大股で早足で通り過ぎる後ろに花びらが舞うのでしょう。やんやの喝采。ほんと好きです。(玉虫)
・物々しい言葉との対比が楽しいです。草花を踏み倒しながら少しやけっぱちにどんどん進む勇ましい歩調を感じました。(晶)
・荒野ではなく花野。ギャングスターといったところでしょうか。(フロヤマ)
・「往く」ということは行ったはいいが再び帰ってきてしまうのか、と少し不安に感じたけれど、そもそもこの人(人でないかもしれないけれど)は轟かせるほどの悪なのかな、とも考えました。自分からそう思わせといて実は人のいい奴なのかもしれない。(mekeke)

14. 土だけの花壇に春も秋も来る 18 4・10・0
作者:晶(@12akira24)
◎ロケッ子、元気な人、こみおく、天坂寝覚 ○いつ藻、白熊左愉、茜谷りょう、畦道、玄齋、木曜何某、ほねを、うぐいす、はたらきねこ、京介
・四季がみえる句。春だけじゃなくて、「秋も」と書かれている部分がやけに気に入ってしまいました。(ロケッ子)
・評価が集中すると予想して本当は選びたくなかったのですが、正選にして余りあると思い特選に。圧倒的にバランスのよい句だと思いました。諸行無常の響きあり。(元気な人)
・花がなくても季節はめぐってくる。口に出して詠んでみたときの後味が良い句でした。(こみおく)
・もしかしたらを期待してしまうのでしょうか。(天坂寝覚)
・「土だけの花壇」というところが謎で気に入りました。(いつ藻)
・まるで我が家の花壇のような笑 春の花、秋の花を咲かせたいなあと思いました。(白熊左愉)
・小学校の花壇、確かにあそこには春や秋があったように思います。この句好きです。(茜谷りょう)
・指定語『花』で、あえて花を咲かせないという工夫に○を。(畦道)
・冬の土だけの花壇を見ながらの感想のように思いました。さて、どんな花を植えよう、そんな意思を感じました。(玄齋)
・3番目の菜の花の駅の逆で、いつ来ても何にもない。またなんもない。そんな水槽もありますよね。なんにもないなぁ(木曜何某)
・視点が素晴らしいと思います。一点を捕えるのではなく経過を表現している点も好きで、特選にしたかったのですが、どうしても『花壇に』の『に』に疑問を感じます。このせいで俳句ではなく文になっているように感じるからです。どうでしょう?(ほねを)
・花はなくても、土の匂いや手触りで季節を感じることもあります。「秋」はないほうがより季節感がつよくなってよいように思いました。(うぐいす)
・今は誰も世話する者のない花壇なのだろう。「春も秋も」としたのはなぜか。雪が解けて土が現れる春(白→黒)。紅葉した落ち葉が降り積もる秋(黒→赤・黄)。花もない土だけの花壇にも季節の変化は訪れる。それを発見する作者はどこにいるのか。空き家となった隣家の花壇を眺めているのか。それとも自らは花壇の世話ができないままに眺めるしかない状況なのか。生きている限り、季節は巡るのだ。厳しい冬も夏もいつかは過ぎ去っていく。(はたらきねこ)
・「土だけ」ということは花咲いてないんですよね。花が咲かない花壇にただ流れる季節、ぐっときました。(京介)

15. 開いても実にならぬ切花とおなじ 2 0・2・0
作者:mekeke(@mekekeke)
○ロケッ子、茜谷りょう
・好きです。切り花は実になることがないけれど、一番美しいときの姿を人間に提供して心を和ませてくれる、本当にありがたい存在。実になることだけが幸せじゃないから、それはそれでとても素敵だと思う。(ロケッ子)
・同じ花なんだけどなあ、同い年なんだけどなあ・・・何が違うんだろうな。(茜谷りょう)

16. これは仏花だけどありがとうボブ 11 5・1・0
作者:こみおく(@ayukoyama)
◎畦道、もも、はたらきねこ、京介、タケウマ ○玉虫
・知人がその昔、女性へ贈る花束を誂えに花屋へ行ったときのこと。「きれいに作ってください」とリクエストした知人に対し花屋店員は「花はどれもきれいです」と答えたそうだ。ボブは菊の花束を、ただ美しいと思ったのだ。(畦道)
・最初、ただ面白い句だなあと感じていましたが、思えば、仏花とか人間が勝手に決めたことなんでしょうね。例えば、菊を見て葬式を連想させるのは、日本人のエゴなのだと思う。菊が、他国では、どう思われているのか知らないけれど、美しいものは美しい、というボブの純粋な気持ちと、それを受け入れる作者が素敵。(もも)
・登場人物全員善人。これはよい物語。逆アウトレイジ。入院した作者に「キレイナハナカッテキタヨー」とボブが持ってきてくれたのだろう。人間関係とはこのように、純粋な人だけでは成り立たない。純粋な善意からの過ちを、苦笑しながらも受け入れる理性が受け手には必要なのですね。作者の大人な対応に敬意を表して特選。(はたらきねこ)
・ボブはきっと仏花かどうだか知らないで、ただ綺麗で贈りたかったのでしょうね ボブの優しさも感じられて、「ありがとう」と返すところが良かったです。(京介)
・一読、大好きな句「エリックのばかばかばかと桜降る」(太田うさぎ)を思い出しました。
ボブってだれ? なんでお花をもらうことになったの? と疑問に思ったら作者の術中にはまっている証拠。あれこれ考えるのが楽しい句です。(タケウマ)
・ボブwww 人の良いそばかすの浮いたようなはにかみ顔が目に浮かぶよう。菊ね、日本的でステキとか思ったんだよね。いいんだよ。外人萌え。好きです。(玉虫)

17. 花札で占う明日の天気かな
作者:もも(@Maomonta)

18. 花子という名前名簿に一人 1 0・1・0
作者:玄齋(@syou_gensai)
○天坂寝覚
・いずれそういう時代になるのかもしれません。既にそうなのかもしれないですね。(天坂寝覚)

19. 花花花花花吹雪花花花花花浄土花花花花ハナ肇 −2 0・1・3
作者:タケウマ(@take575)
○玉虫 ●ロケッ子、元気な人、フロヤマ
ハナ肇天国にいた!www 最後思わず笑っちゃうけど、美しい天国の情景に思わず涙。賛否両論ありそうだけど私は好きです。映画的情景の句。(玉虫)
・なぜ、ハナ肇なのだろう。「花霞」や「花一匁」じゃダメだったんだろうか。ダメだったんだろうなー。偉大なる挑戦に敬意を表してスルーせずに受け止めます。はい、逆選をあなたに。(ロケッ子)
・いつだって世界を切り開くのは確信であり革新。ただまだ時代が追いつかない。(元気な人)
・思わず吹き出してしまいました。リズムも良いです。逆選で採るべきか迷いもありますが、ある意味ふさわしい気がしました。(フロヤマ)

20. 造花に埃たまっている 6 0・6・0
作者:京介(@princekyo)
○元気な人、玄齋、こみおく、天坂寝覚、タケウマ、mekeke
・まぁありがちで怠惰な風景で一度笑いそうになるんですけど、「造花」という(半)永久的なものと「埃」という一時的なものの対比として時間の歩みや可笑し味を表してるんだとしたら…。多分違うと思いますけど、僕がそこまで考えられたのでなんかよかったですハイ。(元気な人)
・「釣った魚に餌をやらない」の造花バージョンかなと思いました。心情をそのまま書いていない所が良いなと思いました。(玄齋)
・見られていたとは…。掃除しないとな〜。(こみおく)
・人の手が入らなくなってしまった景色がありありと見えます。(天坂寝覚)
・なんだかたまりますよね。造花は埃が好きなのかな〜と思うことがあります。(タケウマ)
・いっそ無かった方がよかったのにと思うものものがふと浮かびました。(mekek)