【結果】雑詠

1. 黄色い顔でボリュームを上げる 1 0・1
作者:十月水名
○もも
・この句から、体の具合の悪さを連想しました。音楽か、テレビか、パソコンかわかりませんが、かなりの音量なのでしょう。助けを求めているようにも感じました。(もも)

2. うそ吐いたけど針千本も用意できない 4 1・2
作者:mekeke
◎はたらきねこ ○十月水名、茂刈艾
・「うっそついたっけどはーりせーんぼんもよーいでーきないっ」なんと潔いルールの破り方でしょうか。約束の約束というメタ約束ごと放り投げてしまうこの傲岸さ。いっそ清々しくもあります。切迫した遊女の覚悟をさえ軽やかに笑い飛ばしてしまいそうな天性の詐欺師。なんてひどい人だろう。(ほめています)(はたらきねこ)
・魚のハリセンボンも難しそうですよね。(十月水名)
・嘘をついた当人が案じているとしたら、とんでもない(それでいてどこか間の抜けた)被虐性が潜んでいるともとれましょうか。(茂刈艾)

3. 便座のあたたかさに泣きそうになる 4 0・4
作者:こみおく
○ほろほろ、うぐいす、かもせり、みずいろばーど
・寒い日はありがたいですね。(ほろほろ)
・今日いちばん私に優しくしてくれたのは便座でした。(うぐいす)
・気持ちわかります。泣いてしまいましょう。(かもせり)
・堪えてピンと張り詰めた気持ちが、意外なところで(だから)崩される。そんなに頑張らなくていいんだよ、と手を伸べる存在がいるといいなあ‥ と思う。(みずいろばーど)

4. 寒い手に寒い手がぬくい 12 4・4
作者:天坂寝覚
◎ロケッ子、うぐいす、元気な人、なかぎり ○白熊左愉、フロヤマ、茂刈艾、千代
・句を最後まで読むと、そのぬくさが一瞬にして伝わってきた。冷たい手じゃなくって、寒い手。ぬくさを求めて手を重ねるのか、手を重ねたくて寒いふりをするのか。どっちにしても、いい風景。(ロケッ子)
・なぜか、ばれないように、こっそり手をつないでいる気がする。「あたたかい」ではなく「ぬくい」がいい。(うぐいす)
・単純に上手いなぁと思いました。僕はずっと寒いだけの手です。(元気な人)
・冷たさが温かい。他人の体温をどこまでも温かく感じる生き方をしたいもんですね。(なかぎり)
・寒い手と寒い手、つなぐと「ぬくい」 手のぬくもりってかけがえないもの。(白熊左愉)
・寒い手×2で温か。胸キュンな感じです。(フロヤマ)
・「ぬくい」がキマってます。(茂刈艾)
・お互いの冷たい手。どちらが暖かいのかわからないけれど、重ねたぬくもりは感じられる。ぬくいって言葉がまたいいです。冬だなぁって。(千代)

5. マスクのなかで呪文唱える 11 1・9
作者:畦道
◎木曜星 ○こみおく、みずいろばーど、タケウマ、Umbert Dolby、mekeke、ニレ、千代、元気な人、祥
・何の呪文なのでしょうね。寒いのでメラとかがいいですね。それかフバーハをかけてほしいですね。ザキとかザラキだったら怖いな。(木曜星)
・街行く人はみんな呪術師。(こみおく)
・一番はじめに『面白い』と思った作品です。コミカルでミステリアス。ほろ苦い孤独。実はけっこうリアルかもしれません。(みずいろばーど)
マハリクマハリタ エロエムエッサイム エクスペクト・パトローナム!!(タケウマ)
・なんの呪文ですか?ロマンティックな呪文ならいいですね。呪いとかだと怖いな〜。(Umbert Dolby
・すれ違う人に気後れすること無く口パクで歌ったり独り言いえたりするのはマスクあればこそ。マスクで守りつつ解放しつつな道すがらは何だか楽しいですね。(mekeke)
・会社の上司に向かっての呪いの言葉でしょうか。「てめぇふざけんないつもいつも……病気になれ病気になれ病気になれ…」とかそんな感じ?それとも直接的に「ザラキ!」とか?
…というところまで考えたところで、「いや、それはないな」という別解釈も思い浮かんでしまいました。それは、先代から受け継いだ虎の覆面を被りながら「虎だ…お前は虎になるんだ…」と控え室の片隅で呟いているレスラーっていう…。(ニレ)
・日本の冬の風物詩。マスクマスクマスク…隠された口元で密かに行われているものは!(||゜Д゜)ヒィィィ!?(千代)
・マスクの中、というのを何らかの比喩だとすると、現代を揶揄してそうで恐ろしくも面白いです。じゃなくても好きです。(元気な人)
・表情の見えないマスクの中、どんな呪文を唱えているのだろう。(祥)

6. タラちゃんの未来想ふや柿の餡 1 0・1
作者:Umbert Dolby
○白熊左愉
・最後が「柿の餡」というところがいいなと思いました。(白熊左愉)

7. 好きだった人から今年も喪中はがき 4 1・2
作者:かもせり
◎もも ○木曜星、はたらきねこ
・今はもう、好きではないのにお互いに、まだ連絡を取り続けている、という微妙な関係がよく表現されています。そして、身内の不幸があった「好きだった人」のことを思う気持ちも伝わってきました。(もも)
・年賀はがきならまだ楽しく思い出せるのに。もう寂しく思いをはせるしかない。好きな人も悲しんでいる。(木曜星)
・「好きでもない相手に振られる」みたいな感じですよね。こちらから強く求めているわけではないのに、一方的に関係を切られる感じ。年賀状はいらないよってことです。きっと相手としては消極的に関係を薄めていこうとしているのでしょう。こちらは普段意識することもないのに、かえってはがきでその存在を思い出してしまう。本当に人の心というものは、誰かの思い通りにはけしてならないものですね。(はたらきねこ)

8. 同じ車が無言ですれ違う 7 1・5
作者:元気な人
◎かもせり ○木曜星、こみおく、はたらきねこ、mekeke、なかぎり
・なんとなく意識してしまう一瞬。「無言で」がそれをよく表現していると思います。(かもせり)
・同じ車を選んでいるのだから、気は合うと思いますけどね、だからと言って手を振るのもおかしいですし。お互い赤の他人なのにすれちがっている感じ。(木曜星)
・同じ車とすれ違うのはなんとなく嬉しい。でも何も言わない。なんてことない情景が好きです。(こみおく)
・車が無言なのは当たり前なのですが、この感覚はよくわかります。なんとなく恥ずかしいような、腹立たしいような。駐車場なんかではやっと空いてるところが見つかっても同じ車種の隣だったら避けます。ひどくいやですね。自分は青のインプレッサなので、走っている数が多くもなく少なくもなくて、ちょうどよく嫌な感じを味わうのです。ぶおんぶおん。(はたらきねこ)
・バスの運転手さんは運転中、他の運転手とすれ違うとき片手を上げて挨拶をしているようですが、いつもそうしている運転手同士がある日それをやめてしまっているのに気づいたら、何だか心がざわつきそうです。他の同じ車が無言ですれ違っても気にならないけどバスだけは違う感じがします。(mekeke)
・少しテレくさいような、仲間に会ったような、複雑な気持ち。縁はそれだけでも、縁は縁。よくある光景も意味深く感じます。(なかぎり)

9. 義父のデジカメに授乳する私の姿 3 1・1
作者:もも
◎十月水名 ○南天
・盗撮されてたのかと思いました。知らないうちに撮られてたのかと。義父はやましい気持ちなく撮ったのかもしれないですね。女性としてはどう思うのでしょうか?勝手に撮られたくないものだと思ってるんですが。(南天
・義父というのは本当に怪しげな存在ですね。(十月水名)

10. 笑う鬼涙の師走火の車 2 1・0
作者:みずいろばーど
◎mekeke
・「ええーい!どいたどいたあ〜〜〜!」と猛スピードで走り去っていく感じがして、当人はきっと大変だと思うんですが、傍から見る分にはとても賑やかで面白いなと感じました。笑ってる鬼はきっと助手席です。「笑っとる場合か!?あんたも一緒なんだよ!」「!!!」(mekeke)

11. 月光沁み出して影深く濃い 2 1・0
作者:祥
◎みずいろばーど
・描くイメージに共感する作品です。
どこか光の(つまり闇の)艶やかさを感じて、雨上がりなのかな、と想像しました。絵的に綺麗だと思いました。(みずいろばーど)

12. 歯磨き粉で描く冬空 2 0・2
作者:タケウマ
○十月水名、なかぎり
・冬だからこそ、いきる句ですね。歯磨き粉というか歯磨きのおっくうさも感じられました。(十月水名)
・朝でしょうか、夜でしょうか。何か歯磨き粉の冷たさが伝わってきます。(なかぎり)

13. 闇で触れてもわかるこのツノがきみだ 14 5・4
作者:ロケッ子
◎畦道、こみおく、タケウマ、Umbert Dolby、茂刈艾 ○木曜星、天坂寝覚、はたらきねこ、元気な人
・読む人によって色々な解釈がありそうな一句。闇の中で真の姿を現す悪魔。その正体を知りながらも、触れずにはいられない男。私はそのように読んだ。ユーモラスだが、どこか哀しい。(畦道)
・恋人がウシなのでしょうか。闇夜にたくさんのウシが走っている中、一頭のウシのツノを正面から両手でつかんでいる青年の姿が浮かびました。(こみおく)
・きみは犀なのか? 牛か? バイソンか? ツノガエルか? あ、鬼嫁か♪(タケウマ)
・いったい何者なのだろう。ツノのあるきみに対する愛があふれています。敢えてツノをも愛している深い愛。闇で触れる箇所に想像力を刺激されます。(Umbert Dolby
・妖怪譚のような世界が窺えてとってもチャーミングです。「闇」と「ツノ」「きみ」の温度差が可愛らしい。(茂刈艾)
・詳しい状況は分かりませんが、なんだかほっこりしたので。結婚前夜とかなのでしょうか。それとも鬼? 鹿や羊の可能性もありますね。……龍?(木曜星)
・こういう句は余り好きではないのですが、それでも描かれたものが面白いと思ったので取ります。(天坂寝覚)
・これほんとはよくわかりませんのです。ツノってなに?闇でも君ならわかるって愛情の深さは伝わるんですけど、ツノってなに?なに?ツノ生えてんの?鬼?鬼っ娘?そういう萌えがあるの?すごい時代ですな。あ、ラムちゃん的な?鬼嫁ってこと?状況がわからないなあ。異類婚姻譚?あ。ペットかな?ツノ生えたペット?……サイ……?サバクツノトカゲ……?わからんなあ。しかしそこが新鮮な部分なんでしょうね。ふふ。好きです。(はたらきねこ)
・なんだか官能小説のようなエロスがあってヒヤヒヤしました。(元気な人)

14. ふと先のことは空の青さが怖い 10 3・4
作者:ほろほろ
◎白熊左愉、天坂寝覚、フロヤマ ○さはらこあめ、もも、元気な人、祥
・なんとなく気になる句でした。ふと、で始まるのがいいです。(白熊左愉)
・句意がいまいち読み取りづらいと思ったのですが、むしろ少し読み取りづらいくらいがこういう漠然とした不安を描くのにはちょうどいいのかもしれません。(天坂寝覚)
・空も心もブルーになるという感じでしょうか。句意もさることながら、言い回しが絶妙です。(フロヤマ)
・ああそうですか俳句と紙一重なんですが、空の青さが怖いというのが切実な空しさが伝わるいい表現かなと。(さはらこあめ)
・ずっと晴れだったら良いのに。でも、絶対にそうはいかない、ころころ変わる天気みたいなのが人生。「怖い」という表現にゾクゾクときました。ただ一つだけ、何度も読み直し、考えたのですが「ふと」という副詞は必要だったのかなあと、少しだけ疑問に感じました。(もも)
・難しい句ですけど、その分解釈に幅が生まれて楽しいです。空は青過ぎてもどこか怖いんですね(元気な人)
・この文法的に正しいような、正しくないような危うさが、何より不安を上手く表している。(祥)

15. 今日ももしかしての曲がり角まがる 6 0・6
作者:うぐいす
○畦道、天坂寝覚、十月水名、フロヤマ、タケウマ、ニレ
・曲がり角の向こうに、好きな人の家がある。運がよければ、すれ違うかもしれない……。そんな想像の余地を残し、抑制を効かせた良句。曲がり角の向こうに、もっととんでもないものが待っていると想像しても、もちろん面白く読める。そこが優れている。(畦道)
・曲がり角でぶつかって云々、というベタな景色が思い浮かびました。
この“もしかして”をいったいどれだけの人が現実として体験できるのかは分かりませんが、こういう期待感は確かにあります。(天坂寝覚)
・未来をあらかじめ知る、という気配。あります、あります。(十月水名)
・学生時代の下駄箱などと同じ発想ですね。ドキドキしちゃいます。(フロヤマ)
・多分、明日も♪(タケウマ)
・クルマの助手席での気持ちでしょうか。ドキドキするような、怖いような、でも心のどこかでずっと待っていたような…。そんな曲がり角を曲がる一瞬をスローモーションで切り取ったような句ですね。流れてゆく街灯の明かりを窓から眺めつつ物思いに耽る主人公。…勝手な物語が頭の中で膨らんでゆく句って好きです。(ニレ)

16. 気の利いた台詞留守にしております 6 1・4
作者:南天
◎ほろほろ ○うぐいす、mekeke、茂刈艾、祥
・そうですね、留守にできたらいいと思う場面は多々あります。トランプゲームのパスのようです。それを「気の利いた台詞」と表現したところに惹かれました。(ほろほろ)
・困りますね。早く帰ってきてください。(うぐいす)
・気の利いた台詞一つも出てこない自分を心の中で滑稽に言っているのかなと思いました。言いながらどんどん真っ白になるような。その後しどろもどろに声をかける様が浮かんで、なんかいいなあと感じました。普段頭のどこかにあったはずが出なかったんだとしたら自分の身の丈に合わない台詞だったのかもしれないなと感じました。(mekeke)
・うまく言えないもどかしさを「留守」とサラリと流す柔軟さは気が利いている。(茂刈艾)
・こういう風に清々しく言いたい!(祥)

17. 売らんかなの街角の疎ましさいじらしさ
作者:なかぎり

18. 綿の雪も年々減っている 1 0・1
作者:木曜星
○ロケッ子
・飾っている間に、外れたり失くしたりして徐々に減っている綿の雪。なんでそんなとこをピックアップするのかなぁ、おもしろいなぁ。新しい綿の雪、買い足すこともしない。(ロケッ子)

19. そこかしこで雪が待ちわびている 1 0・1
作者:ニレ
○白熊左愉
・「雪が待ちわびて」という表現が綺麗だなと思いました。(白熊左愉)

20. 父という自死の先達ある強み 7 2・3
作者:はたらきねこ
◎さはらこあめ、玉虫 ○畦道、ロケッ子、かもせり
・句としては上手い句ではないかもしれない。でも私はこの物語が良いとおもいます。本当は強がりかもしれない。だが強く生きてやるよという句だと感じた。(さはらこあめ)
・凄惨な過去を持ちながら前を向こうとしている強さを感じる。すごく好きです。こういう激しさのある句を、私も詠みたいのです。胸がざわざわします。(玉虫)
・一瞬どきっとするが、これは『生きる』という宣言。(畦道)
・その強みは、本当に強いと思う。先達とは違う方法で進んでいこうという強さも感じられる。(ロケッ子)
自死ということばには自殺とはまた違った重みがあります。そしてこの句では「自死」が生きていると感じました。(かもせり)

21. 月ばかり明るい小銭しかない夜道だ 14 4・6
作者:玉虫
南天、ニレ、千代、祥 ○さはらこあめ、天坂寝覚、ほろほろ、うぐいす、フロヤマ、タケウマ
・月明かりに照らされて小銭を数える姿が目に浮かぶ。大金を持っていたら店に飲みにでも行くのだろうが、自販機で缶コーヒーでも買い飲みながら歩くのだろう。シブい。(南天
・「現実は心許ないけれども心は晴れ晴れとしている」「月はカラっと晴れているのに現実を見ると心が沈んでくる」この2つの心情を行ったり来たり揺れている状況かな、と。読んでいる時の自分の心情で見えてくる場面が変わってくるなぁ、と 昨日書いておいた句評と今の気持ちとで間逆な感想を持っている自分を見てそう思います。(ニレ)
・青い夜に白い月の光が溢れてて。でも独りで、金もない。美しさと冷たさと詫びさと、いっぱいつまってほんとに素敵。(千代)
・煌々と照る月と小銭の取り合わせが好きです。(祥)
・ひもじいねえ。共感します。ただ月だけが明るいことをマイナスととらえたかプラスととらえたか分かる表現が欲しいです。(さはらこあめ)
・要素が少し多いかなと思いますが、単純に好きな句です。(天坂寝覚)
・温かいコーヒーくらいは買えますよ。(ほろほろ)
・心もとない懐を、月に覗かれている気がして、なんとなく背中も丸まってしまいそう。(うぐいす)
・放哉風ですね。虚しさ切なさを感じます。(フロヤマ)
・小銭を大切に握り締めよう♪(タケウマ)

22. ひっそり閑のかおりをご存知? 3 0・3
作者:茂刈艾
南天、こみおく、玉虫
・ひっそり閑を嗅覚で感じたことなかったです。「ご存知?」と尋ねられることでハッとしました。無臭だと思いますが、敏感なかたは違うのかも。(南天
・「さすらいのアケミ」のような通り名みたいでおもしろいと思いました。「アンタ、ひっそり閑のカオリをご存知ないかい?」(こみおく)
・なんかコケティッシュ。可愛い。是非教えて下さいひっそり閑のかおり。きっとキミに似て清潔な石鹸のようなかおりがすることでしょう。(玉虫)

23. 娘の一人称が「わたし」に変わった今年も暮れる 6 0・6
作者:千代
南天、ほろほろ、かもせり、Umbert Dolby、玉虫、なかぎり
・娘さんの成長が感じられますね。一年を振り返り、自分のことではなく娘のことをもってきたところに親心も感じられました。(南天
・時間の流れが目に見えてしまう時はドキドキします。(ほろほろ)
・来年はどのように成長するのか、期待の反面寂しさを感じます。(かもせり)
・これは、心情的に共感できる句。娘の成長の切り取り方が秀逸。『今年も暮れる』との取り合わせも素晴らしい。(Umbert Dolby
・少し大人になった娘さんへの静かな愛情を感じます。あわただしい中にも新しい嬉しさ、もしかしたらちょっとしたさみしさを感じている年の暮れ。ぐっときます。好きです。句全体のリズムもすごくいいと思う。(玉虫)
・振り返ると成長している我が子。特に自分と他人との距離感をつかんだ瞬間は、頼もしくも寂しい。そんな気持ちが伝わってきます。(なかぎり)

24. 蟷螂死す哀しくもない冬の庭 2 0・2
作者:フロヤマ
○ロケッ子、玉虫
・ひとつの死。それが自分にとって何の影響も及ぼさない。哀しんでいない自分も含めて一枚の絵のようで、非常に興味深い句でした。(ロケッ子)
・個人的に虫や小鳥が死んでいる光景に非常に弱い。いちびっていたカマキリもひっそり死んだ冬の庭。感情すらも動かない冬の静けさを感じます。好き。(玉虫)

25. 老猫と想い出話冬こたつ 4 0・4
作者:白熊左愉
○さはらこあめ、みずいろばーど、Umbert Dolby、千代
・もう少し表現を変えればいいとは思います。(さはらこあめ)
・特選に選ばせていただいた作品(No.11)と対極の魅力を感じました。温かく、素朴で懐かしい。(みずいろばーど)
・しみじみと鑑賞できる良句。作者の人柄も偲ばれます。(Umbert Dolby
・冬のぬくぬく。猫とこたつとみかん、これ以上ないですね。老猫とすることで想いが増して、年の瀬近づくこの時期にはまた、残された時を色濃く感じます。(千代)

26. 欄干の靴跡に淡雪ふれて遠い目の鴉 3 0・3
作者:さはらこあめ
○畦道、もも、ニレ
・調子よく読み流しそうになるが、『欄干の靴跡』である。ここを誰かが、飛び越えていったのだ。それに気づくと、景色は一気に重苦しくなる。もしかして、鴉は不要だったかもしれない。『欄干の靴跡に淡雪』。(畦道)
・まるで、旅の一風景みたい。とても綺麗にまとまっているのだけど、どうして、欄干の上を歩く必要があったのだろうか、誰が欄干の上を歩いたのだろうかと、「ん?」と思わせるところが面白いです。(もも)
・これは映画の一場面のような句ですね。誰かが橋の欄干から身を投げたその一部始終を見ていた鴉。白い雪に少しずつ隠されゆく中、一羽の漆黒の鳥は何を思うのか…。深い余韻が残る句です。(ニレ)