【結果】指定語「平」

※次のような並びで掲載しています。
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 句  獲得点 特選数・正選数
 作者
 ◎特選に選んだ人 ○正選に選んだ人
 選評

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1. 晦の蕎麦平らげて独りかな 6 2・2
作者:Umbert Dolby(@swing1702)
◎mekeke、こみおく ○ニレ、千代
・食べ終わってふう、今年も独りか…というよりも、腹も膨れて何だかほっとして、ああそういえばもう年末だなあ今年も終わるなあってしみじみ思うような、独りだけどどこか温かいようなそんな感じがしました。蕎麦食べたくなりますねぇ。(mekeke)
・完成度が高すぎて特選に選ぶのを一瞬ためらいましたがやはりこの句しかないと思いました。字も音も美しく、光景も潔いです。(こみおく)
・ふぅ…と食後の一息とも溜め息ともつかない呼吸が天井にまですら届かずに目の前の虚空に行き場無く漂っているかのような風景。音も無く時も止まる一瞬の物思い。映画のような句ですね。(ニレ)
・晦というのが孤独感を増していて、でもひたすらな淋しさだけでない雰囲気がいいな、と。(千代)

2. きみを失った今日も平日と呼ぶのか 14 2・10
作者:ロケッ子(@5_rockets)
◎玉虫、ニレ ○さはらこあめ、白熊左愉、南天、天坂寝覚、ほろほろ、うぐいす、みずいろばーど、フロヤマ、祥、なかぎり
・どストレートでぐっときます。なんか昔のイヤなこと思い出して…胸が痛くなってきました…ひどく揺さぶられたので特選とさせていただきます!!(玉虫)
・怒り。悲しみ。空虚感。敵も無くただ何かを殴りつけたい衝動。繰り返し読み返したくは無い感情で形作られた作品ですが、句としてはやはり秀逸で、好きです。(ニレ)
・平日をそうとらえましたか。悲しみに暮れている時は、些細な事にも空しく感じるものですからね。(さはらこあめ)
・平日、と呼びたくはない気持ちに共感します。(白熊左愉)
・反語ですかね。「いや、呼べない」 自分にとっては特別な日ですよね。(南天
・“きみ”とは句の主人公にとっての大事な人なんでしょう。そういう人を、どういう形にせよ失った日というのは、確かに特別な日です。とは言えそうした自分にとっての特別な日は、他の人からするとなんでもない“平日”であることが多いんですよね。そこで感じるであろう落胆を、最後“呼ぶのか”と終わっているところに見ました。(天坂寝覚)
・確かに平日とは呼び難いね。(ほろほろ)
・名前をつければ、なんとなく安心するのかもしれない。忘れてしまわないように。(うぐいす)
・たとえば、誰かにこう問われれば黙ってしまうだろうと思う。そういう意味で納得する作品でした。(みずいろばーど)
・何となく共感です。『サラダ記念日』の逆の発想と言える気がします。(フロヤマ)
・切ない。自分にとってどんな辛い日常も他人には平日。(祥)
・長く生きていると、平日と呼べないような思い入れの日ばかりになる。
そんな気持ちが伝わります。(なかぎり)

3. 波平の頭にも降る雪しんしん 2 0・2
作者:千代(@ChiyoMie)
○Umbert Dolby、タケウマ
・ノスタルジーの極みである。盆栽のような趣がある。(Umbert Dolby
・「波平」の選択がスバラシイ。(タケウマ)

4. 平らな黒い道を帰る 4 0・4
作者:さはらこあめ(@___koame___)
○こみおく、ニレ、元気な人、十月水名
・平らな黒い道の先には何が待っているのか。まわりになにもなく、ただ道だけが空間に浮いている異次元空間のようなところを歩いている画が頭に浮かびました。(こみおく)
コントラストの激しい森山大道のモノクロ写真を連想しました。痛みのある余韻。ノスタルジーなあの頃と現在の自分との対話。(ニレ)
・シンプルですけど詰まってて好きです。感情の表現はどこにもないですけど溢れてていいです。(元気な人)
・帰り道は気分によって変わりますからね。(十月水名)

5. 水平線よ二度と立ち上がらないでくれ 5 1・3
作者:フロヤマ(@furoyama)
南天 ○ロケッ子、はたらきねこ、ニレ
・水平線が立ち上がったのは、いつだったのか。東日本大震災時の大津波が思い起こされました。「水平線が立つ」という表現がすごい面白い(うまい?)です。(南天
・直球の願い。水平線が立ち上がる、という表現が胸にささりました。(ロケッ子)
・願いも祈りも自然の前には儚い泡のようなもの。その思いは被害に遭われた方ほど強いことでしょう。それでも願わずにはいられない。私もまた祈りを込めて。(はたらきねこ)
・そんな切実な思いはどこに消えてゆくのだろうか。そして水平線は今日も何も言わずただそこに在り続ける。(ニレ)

6. お前んち平屋かよと笑った友達を殴る 4 1・2
作者:畦道(@azemichi66)
◎なかぎり ○こみおく、茂刈艾
・懐かしい有り様。こんなつまらない事が、重要なアイデンティティだった頃に戻りたい気分になる。(なかぎり)
・そしてお前の母ちゃんブスだなーと笑った友達も殴る。(こみおく)
・不条理の匂いがします。平屋を笑う「友達」と、その友を殴る「お前」、妙なおかしみの向こう側に喧嘩両成敗などという綺麗ごとでは済まない淀みを感じました。(茂刈艾)

7. 平幕が時間をつぶしている 7 2・3
作者:十月水名(@totsukimina)
◎みずいろばーど、はたらきねこ ○かもせり、こみおく、元気な人
・思わず苦笑いをしてしまう。角界に限らずこういう場面に(ときに当事者に)陥ることはあります。。(みずいろばーど)
・読み返すほどんどんよくなって特選。まだだれにも注目されていない平幕に目を向けた発見の新鮮さ。その所在無げな様子を巧みに表現する語選び。手本にしたいでごんす。ごっつぁんです。(はたらきねこ)
・大相撲での仕切りの時間制限はNHKの中継時間に収めるように導入された制度らしいですが、それでも熱戦が続いて中継時間が延長される事が希にありますね。(かもせり)
・なぜ平幕は時間をつぶしているのでしょうか。中入りまでが長いから?それとも本場所と関係なく浴衣を着て外で?どのみち平幕が時間をつぶすという光景がおもしろいと思いました。(こみおく)
・辛辣で面白いです。平幕も本気です。(元気な人)

8. ひとりでも平気といったんだから泣くな 4 1・2
作者:茂刈艾(@k_shimp)
◎さはらこあめ ○フロヤマ、はたらきねこ
・絶大なる信頼を寄せる方に撫でられながら言われたような気持ちになれました。眼球が濡れました。(さはらこあめ)
・愛情あふれる叱咤激励。そんな風に感じました。(フロヤマ)
・これは女の子が自分に言い聞かせている健気な句として選びました。自分が20代のころなら、きっとその肩を抱きしめたでしょう。10代だったらなすすべがなくて立ち尽くしただろうな。今は手を伸ばさない優しさを身に付けました。私も成長したな、と感じられました。へへ。(はたらきねこ)

9. 平均台から落ちたらさいしょから 7 2・3
作者:木曜星(@thurstar)
◎白熊左愉、元気な人 ○茂刈艾、Umbert Dolby、十月水名
平均台という言葉に「世間一般の平均的な状態」という意味を重ね合わせて読みました。そこから落ちたら「さいしょから」であることがしみじみしたので選びました。(白熊左愉)
・そういえば平均台から落ちたら最初からですね。落ちたところからではなく。なんだかハッとして、ハラハラとしました。(元気な人)
・ふんわりとしたシチュエーションが好みです。ツッタカスイスイと軽々渡っていく同級生たちの姿をぽつねんと眺めながら順番を待っている小太りの小学生が浮かびました。(茂刈艾)
・やり直しありのルールがほのぼのとして癒されます。(Umbert Dolby
平均台は女子の種目。半泣きで、再度挑戦する選手がいじらしいですね。(十月水名)

10. 平穏な一日だったね月微笑 0 0・0
作者:白熊左愉(@sayumemi)

11. もうこぶ平じゃなかったチュニジアの夜 6 2・2
作者:かもせり(@kamoseri)
◎畦道、もも ○Umbert Dolby、祥
・だからといって正蔵と呼ぶにはまだ違和感がある……。そんな元こぶ平が、生意気にもチュニジアのバーかどこかでブランデーグラスを傾けている様を勝手に想像した。何年芸歴を重ねても、大きな名前を継いでも、ちっとも大御所感が出ないというのは、それはそれでたいしたものなのかもしれない。(畦道)
・ジャズの名曲はたくさんありますが、「チュニジアの夜」だからリズムが良く、インパクトがある句なのだと思います。「チュニジアの夜」を聞いていたら、ジャズファンとしても知られている落語家を、ふと思い出した。そうそう、こぶ平だ。ん、そういえば、もう正蔵になったんだっけなあ。(もも)
・落語家の魅力の一つに『可愛げ』というのがある。三平は可愛がられた。そのお坊ちゃまである。金に飽かしてレコードを収集したのである。こぶ平であればかわいげもあったのである。しかし、厚かましくも一線を越えてしまった。本人ではなく、子孫が晩節を汚す例である。(Umbert Dolby
こぶ平って油断してると正蔵ってことつい忘れる。そんな些細な事をチュニジアから考えてるのが面白い。(祥)

12. いまいちばん欲しいのは平らなおなか
作者:玉虫(@OGA0531)

13. ついでに願う「四海皆波平らかに」 2 1・0
作者:なかぎり(@sej_nakagiri)
◎ロケッ子
・「ついでに」というのが、いいなぁと。個人的な願いのついで。 人間臭さというか妙なリアリティがあって惹かれましたが、その「ついで」もすっかり日常化しているような雰囲気もある。(ロケッ子)

14. 水平線知らず瀬戸内の子ら海を唄う 3 1・1
作者:うぐいす(@uguisu_asobn08)
◎ほろほろ ○玉虫
・初めて瀬戸内に行った時、その波の穏やかさに驚きました。「ここも海なのだ」、逆に新鮮な喜びさえありました。瀬戸内の子らが唄う海も私には味のある海です。(ほろほろ)
・奇をてらってなくて、上品で、豊かな詩情を感じる。実はこういうのが大好きなのです。子供たちへの目線も優しい。文句なしで大好きです。(玉虫)

15. 平らげてから知らされる賞味期限 1 0・1
作者:こみおく(@ayukoyama)
○千代
・だって、食べる前に言ったら食べてくれないでしょう。(千代)

16. 平ら確かめてまた体重を測る 5 0・5
作者:元気な人(@no_fineman)
○ロケッ子、mekeke、かもせり、はたらきねこ、十月水名
・さっきはちょっと傾いてたからね、って言い訳せずにはいられない。体重計に乗るという作業は、非常に厳粛な雰囲気の中で行われるのである。(ロケッ子)
・「えええっ!?なんじゃこりゃ、こんなはずじゃない、え?、いやいや違う違うこれは違う、平らじゃないとこだった、そうそう、平らじゃないからさあ、びっくりしちゃうよねー、違う違う、平らなとこで計らなきゃねえ(違ってますように!)」て感じの風景かな、なんて思いました。きっと変わってないんだろうな、なんて塩っぱい気持ちも感じました。(mekeke)
・その数字の原因が自分自身にあると認めざるを得なくなるまでは、いろいろ抵抗したくなります。(かもせり)
・特選と迷いました。おそらく多くの共感が得られる句ではないでしょうか。この「こんなはずじゃなかった感」。滑稽であり、かわいらしくもあり。情景が目に浮かびます。我が家の床はどうやら傾いているようですな。(はたらきねこ)
・ダイエットのときって、少しのことが気になるんですよね。この気持ちよく分かります。(十月水名)

17. ひとり居ればよかった金平糖噛み砕く 3 1・1
作者:天坂寝覚(@sin_kaku)
◎祥 ○白熊左愉
・『金平糖噛み砕く』で取りました。甘く可愛らしい物故に何か苦さが伝わります。(祥)
・やりきれない気持ちが出ているように思いました。(白熊左愉)

18. 水平線も凍てつく冬だどこまでも行ける 10 3・4
作者:はたらきねこ(@hatarakineko_)
◎うぐいす、フロヤマ、タケウマ ○木曜星、天坂寝覚、mekeke、なかぎり
・なにもかも氷に閉ざされて陸と海の境目もわからなくなっている風景。遠く遠く彼方まで歩いていけそうな気がする。(うぐいす)
・凍てつく水平線は澄み渡る景色を暗示しているかに思えます。なるほど、どこまでも行ける。そんな気にさせてくれる句です。(フロヤマ)
・凍った水平線を歩いていくのでしょう。どこまでもどこまでも。(タケウマ)
・すごく寒い日は、逆に薄着でも寒くないんですよね。僕も薄い上着を羽織って夕方の近所の行ったことないところを徘徊してみたりします。どこまでも行けます。帰れるかは知りません。(木曜星)
・“水平線も凍てつく冬だ”というのはさすがに言い過ぎだろうと思いましたが、その言葉があるおかげで後の“どこまでも行ける”のどこまでも行ける感が強まって、水平線も凍てつく冬をファンタジーで終わらせない説得力が生まれたように思います。(天坂寝覚)
・寒さはあれど空気の澄んだ冬は日差し照りつける夏よりも前進できそうな気がします。夏よりも冬の方が背中を押して来る感じがあります。水平線の上を滑ってつるり一周!(mekeke)
・歩いていると、「オレはどこまでも歩いていける」と勘違い(?)する時がある。
朝日の中、顔をあげて歩いている風景が浮かびました。(なかぎり)

19. 水平線が星を吐き出している 10 2・6
作者:南天(@princekyo)
◎Umbert Dolby、千代 ○さはらこあめ、畦道、ロケッ子、もも、かもせり、タケウマ
雄大な景観が目に見えるようです。心が洗われるような清々しさを感じます。好きです。(Umbert Dolby
・時の流れを感じる綺麗な句だなぁ。冬空に瞬く星の生まれる時を思って。地球って丸いんだよね。(千代)
・星を純粋に綺麗だと思えない何かがあったのでしょうか?吐き出しているというのが発見のある表現ですがもうひとつ感動が欲しいです。(さはらこあめ)
・一読して、光景が目の前に拡がる。正統派。(畦道)
・水平線の下からぽんぽん出てくる星を想像。なんかおいしそう。でも、吐き出されたもの。(ロケッ子)
・星がきれいな季節にぴったりのロマンチックな句。きらきら光る星と海。そして、私は日本からは見えない星座を、ふと思い浮かべました。(もも)
・太平洋側にお住まいの方なのでしょう。日本海側に住む自分にとっては水平線は星が墜ちてゆく場所です。「吐き出す」が素敵です。(かもせり)
・美しい♪ 美しすぎて特選にならず。(タケウマ)

20. 平均律クラヴィーア曲集第一巻第一番ハ長調に朝から降り止まぬ雨の匂いして 3 0・3
作者:タケウマ(@take575)
○ほろほろ、フロヤマ、千代
・その曲がすこし聴こえました。(ほろほろ)
・巧い!こんな手があったのかと思わずニヤリです。(フロヤマ)
・しとしとと静かに降る雨に流れる音とと匂い。いつまでも終わらない感じが好きです。アヴェ・マリアを重ねたい。(千代)

21. キキララが作ってると思ってた金平糖 6 1・4
作者:みずいろばーど(@tear_dream)
◎木曜星 ○白熊左愉、南天、うぐいす、茂刈艾
・そう言われると、本当にキキララが作っていそうですよね。でも、キキララが作っているのはカレーです。(木曜星)
・そんな噂があったのかな?と微笑ましかったです。(白熊左愉)
・キキララの周囲に飛んでる星が金平糖に見えないこともない。キキララが魔法で作ってるなんて夢がありますよね。(南天
・文句なしにかわいい。あのかたち、淡い色、やさしい甘さ。キキララにしか作れない。(うぐいす)
・わたしも、あのやわらかいトゲトゲは人間の作ったものとはなかなか信じられませんでした。キキララ謹製金平糖の真実を知ったときにはどんな表情になるのか、気になります。(茂刈艾)

22. 平和でありたい十円を募金する 10 2・6
作者:ほろほろ
◎天坂寝覚、かもせり ○mekeke、うぐいす、みずいろばーど、玉虫、祥、元気な人
・“平和でありたい”は恐らくそのまま心情の発露なんでしょうけども、“平和でありたい十円”と一気に読むと、この十円もまたそうした気持ちを持っているように感じられました。
実に巧みな措辞だと思います。(天坂寝覚)
・「でありたい」がいいですね。他人事ではない感じが良いと思います。「を」はなくてもよかったかも。(かもせり)
・この「平和」は世界平和とか自分の周りの平和と言うより、自分の心の平穏を保つ意味での平和なのかなと感じました。遠くから視界に入る募金箱を持った列を気にしながら、募金しようかやめようかモヤーッとする心を、10円入れることでいくらか晴らそうとする姿を想いました。(mekeke)
・十円を募金できるなんて、なんて平和な世の中なんだろう。(うぐいす)
・身の程を知っている安心感。世界平和も我が家の平和から始まる…(みずいろばーど)
・今の日本にすごくマッチする句だと思いました。出来ること、小さなことから一歩踏み出したい。そこから永遠につながりますように。(玉虫)
・『平和でありたい』で取りました。自分自身も平和であるための募金という気がします。(祥)
・ありのままを端的に表してて好きな句です。矛盾は嘘じゃない(元気な人)

23. 日本平から見る富士山の悲しい青
作者:もも(@Maomonta)

24. 叩くならいっそ転がせ手の平の上 5 1・3
作者:mekeke(@mekekeke)
◎十月水名 ○さはらこあめ、木曜星、なかぎり
・何を叩こうとしたのでしょう。気になります。(十月水名)
・その叩く、というのは愛のムチではなかったのでしょうか?叩いてばかりの人だったのでしょうか?やりきれない気持ちが感じられます。(さはらこあめ)
・ぶったよりブッダ。すみませんふざけて。共感したので一票。決してふざけたかったからではありません。(木曜星)
・なんかよくわからない状況だが、受け身でいながら、ふてぶてしくって面白い。(なかぎり)

25. 平気って言った途端入る平気じゃないスイッチ 6 0・6
作者:祥(@NMM0704)
南天、畦道、木曜星、ほろほろ、もも、玉虫
・平気だと自分に言い聞かせようとして、余計にどんよりしちゃうことあります。(南天
・泣いてないと言えば涙が出てくるし、酔ってないよと自分で言うのは大抵、酔っぱらいである。平気、という言葉はそもそも、平気じゃない人のためにあるのだ。(畦道)
・平気、平気、ポロポロポロッ……。しゃべると気がゆるみますから。(木曜星)
・悲しさが漏れてくるようです。(ほろほろ)
・本当は心細いのに、「平気」と言ってしまう。自分で自分の「平気じゃないスイッチ」を押してしまうのが切ない。でも、私もそんなことよくあります。どうして、心配されると「平気」って答えてしまうのでしょうね。(もも)
・ですねですね!(´;ω;`)ウッ… 私もいつもそうです。共感。(玉虫)

26. 平日はイヤフォンの色数え透明になる私と満員電車 7 1・5
作者:ニレ(@SwayNiLe)
◎茂刈艾 ○畦道、天坂寝覚、もも、みずいろばーど、タケウマ
・居心地の良さとは縁遠い満員電車のなかで呼吸をするには透明になるしかないのかもしれません。様々にあるだろう「イヤフォンの色」を数えて、おそらく満員電車の中に(嫌々でも)なんとか留まり続けるために「透明になる」というおまじないのような発想がステキ。(茂刈艾)
・どこか未整理で語りすぎなような句だが、通勤電車の息苦しさをそうして表しているのだと思うと腑に落ちる。色数え透明になる、が秀逸。(畦道)
・“平日は”、“透明になる私” この流れがとても好きです。好きですが、句中の要素が多くて焦点が少し散漫になってしまったところが、ちょっともったいないなと思います。とは言え“イヤフォンの色数え”と“満員電車”は不可分な気がしますし、“透明になる私”の孤独感を補強している部分でもあると思うので、それらを活かしつつ、語順や律に気を配ればさらに印象深い一句になるんじゃないでしょうか。(天坂寝覚)
・たくさんの人がいるのに、だれもが無関心で、自分がちっぽけな存在に思えてくる。そんな平日の満員電車の様子がきれいに描かれていて好きです。「イヤフォンの色数え」という所から、カラフルなイメージが沸きました。(もも)
・作品の雰囲気が一番好きです。心もとなさそうでいて、強か。(みずいろばーど)
・そうか、スイッチはイヤフォンだったのか。(タケウマ)

句会2本目 結果発表

2本目の句会にご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました! 結果が出ましたので発表いたします。集計ミス等お気づきになりましたら、どうぞ遠慮なくご指摘ください。(その方が嬉しい!)

選評は例のごとく別記事にアップしておりますので、そちらもあわせてご覧くださいませ。

それから、数の関係で選評が書けなかったけどこの句にも感想を書きたいーという「選句外評」は、二次会場所「やんややんや」の方で存分にお書きください。そちらにも2本目にご投句いただきました全句をアップしております。ご活用ください。

★二次会場所はこちらから★ → やんややんや

それからそれから、今回は「逆選なし」を惜しむ声にお応えしまして(勝手に)、Twitter上でのプチ批評会を予定しております。自分の句を批評してほしいと思われます方は、募集を呼び掛けるツイートにご返信ください。流れは次のような感じです。

【プチ批評会の流れ】

1.句を批評してほしいという希望者を募る(受付は16日まで)
 ↓
2.勇者が名乗りを上げる。(3句のうち1句をひっさげて)
 ↓
3.勇者の句を、千本ノックのアカウントから提示(適宜)
 ↓
4.有志からの意見、助言、苦言が飛び交う
  (今回、天坂寝覚さんと畦道さんからはもれなくもらえる!)
 ↓
5.いただいた意見によりひとまわり大きくなって年を越す
 ↓
6.おせち、おいしい!


 二次会は主に、句に対する感想を言い合う場所で、プチ批評会は自分から句に対する批評を求める場所です。受け身かそうでないか、ぐらいの違いですかねぇ。

もちろん、寝覚さんと畦道さん以外の方からのご意見も心よりお待ちしておりますので、皆様どしどしお書き込みください! ひとのふり見て我がふり直せで、他の人の句について考えることが自分の何かにいい感じにどうにかなっちゃうかもしれません(説得力なし)!


では、今回の句会結果をどうぞ。


お題それぞれの最高得点は……

まずは、3つありましたお題ごとに最高得点を獲得した句と次点の句を発表します。皆様からいただきました選句をもとに、「特選=2点、正選=1点」で計算しております。

▼指定語「平」 最高得点句

  きみを失った今日も平日と呼ぶのか
  
  獲得点数:14点
  作者:ロケッ子


  ▽次点句

  水平線も凍てつく冬だどこまでも行ける
 
  獲得点数:10点
  作者:はたらきねこ

  水平線が星を吐き出している
 
  獲得点数:10点
  作者:南天

  平和でありたい十円を募金する

  獲得点数:10点
  作者:ほろほろ

▼「食べ物」しばり 最高得点句

  歯のない顔でまんじゅうくれた

  獲得点数:19点
  作者:畦道


  ▽次点句

  多分この人別れても猫背で食べてる

  獲得点数:18点
  作者:祥

▼雑詠 最高得点句

  月ばかり明るい小銭しかない夜道だ

  獲得点数:14点
  作者:玉虫

  闇で触れてもわかるこのツノがきみだ

  獲得点数:14点
  作者:ロケッ子


  ▽次点句

  寒い手に寒い手がぬくい

  獲得点数:12点
  作者:天坂寝覚


◎今回の句会における最高得点獲得句
  歯のない顔でまんじゅうくれた(19点)
  作者:畦道



終結

そんなわけで、今回の句会結果は次のようになりました。
(※MVP=総合獲得点数が最も高かった作者、ホームラン王=特選に選ばれた数が最も多い作者、ヒット王=正選に選ばれた数が最も多い作者)
 

 ▼MVP     → ロケッ子(42点)
  
 ▼ホームラン王  → ロケッ子(10個)

 ▼ヒット王    → 畦道(22個)、ロケッ子(22個)

ちなみに、総合獲得点数上位5名(神5、でも同率なので神6)は、「ロケッ子(42)、畦道(34)、祥(26)、ほろほろ(25)、はたらきねこ(21)、元気な人(21)」でした。


選ばれました皆様、おめでとうございます。そして、ご参加いただきました皆様も、ありがとうございました&おつかれさまでございました! 作者の正体、それぞれの選評を味わった後は、どうぞ二次会&プチ批評会へお越しください。

【結果】雑詠

1. 黄色い顔でボリュームを上げる 1 0・1
作者:十月水名
○もも
・この句から、体の具合の悪さを連想しました。音楽か、テレビか、パソコンかわかりませんが、かなりの音量なのでしょう。助けを求めているようにも感じました。(もも)

2. うそ吐いたけど針千本も用意できない 4 1・2
作者:mekeke
◎はたらきねこ ○十月水名、茂刈艾
・「うっそついたっけどはーりせーんぼんもよーいでーきないっ」なんと潔いルールの破り方でしょうか。約束の約束というメタ約束ごと放り投げてしまうこの傲岸さ。いっそ清々しくもあります。切迫した遊女の覚悟をさえ軽やかに笑い飛ばしてしまいそうな天性の詐欺師。なんてひどい人だろう。(ほめています)(はたらきねこ)
・魚のハリセンボンも難しそうですよね。(十月水名)
・嘘をついた当人が案じているとしたら、とんでもない(それでいてどこか間の抜けた)被虐性が潜んでいるともとれましょうか。(茂刈艾)

3. 便座のあたたかさに泣きそうになる 4 0・4
作者:こみおく
○ほろほろ、うぐいす、かもせり、みずいろばーど
・寒い日はありがたいですね。(ほろほろ)
・今日いちばん私に優しくしてくれたのは便座でした。(うぐいす)
・気持ちわかります。泣いてしまいましょう。(かもせり)
・堪えてピンと張り詰めた気持ちが、意外なところで(だから)崩される。そんなに頑張らなくていいんだよ、と手を伸べる存在がいるといいなあ‥ と思う。(みずいろばーど)

4. 寒い手に寒い手がぬくい 12 4・4
作者:天坂寝覚
◎ロケッ子、うぐいす、元気な人、なかぎり ○白熊左愉、フロヤマ、茂刈艾、千代
・句を最後まで読むと、そのぬくさが一瞬にして伝わってきた。冷たい手じゃなくって、寒い手。ぬくさを求めて手を重ねるのか、手を重ねたくて寒いふりをするのか。どっちにしても、いい風景。(ロケッ子)
・なぜか、ばれないように、こっそり手をつないでいる気がする。「あたたかい」ではなく「ぬくい」がいい。(うぐいす)
・単純に上手いなぁと思いました。僕はずっと寒いだけの手です。(元気な人)
・冷たさが温かい。他人の体温をどこまでも温かく感じる生き方をしたいもんですね。(なかぎり)
・寒い手と寒い手、つなぐと「ぬくい」 手のぬくもりってかけがえないもの。(白熊左愉)
・寒い手×2で温か。胸キュンな感じです。(フロヤマ)
・「ぬくい」がキマってます。(茂刈艾)
・お互いの冷たい手。どちらが暖かいのかわからないけれど、重ねたぬくもりは感じられる。ぬくいって言葉がまたいいです。冬だなぁって。(千代)

5. マスクのなかで呪文唱える 11 1・9
作者:畦道
◎木曜星 ○こみおく、みずいろばーど、タケウマ、Umbert Dolby、mekeke、ニレ、千代、元気な人、祥
・何の呪文なのでしょうね。寒いのでメラとかがいいですね。それかフバーハをかけてほしいですね。ザキとかザラキだったら怖いな。(木曜星)
・街行く人はみんな呪術師。(こみおく)
・一番はじめに『面白い』と思った作品です。コミカルでミステリアス。ほろ苦い孤独。実はけっこうリアルかもしれません。(みずいろばーど)
マハリクマハリタ エロエムエッサイム エクスペクト・パトローナム!!(タケウマ)
・なんの呪文ですか?ロマンティックな呪文ならいいですね。呪いとかだと怖いな〜。(Umbert Dolby
・すれ違う人に気後れすること無く口パクで歌ったり独り言いえたりするのはマスクあればこそ。マスクで守りつつ解放しつつな道すがらは何だか楽しいですね。(mekeke)
・会社の上司に向かっての呪いの言葉でしょうか。「てめぇふざけんないつもいつも……病気になれ病気になれ病気になれ…」とかそんな感じ?それとも直接的に「ザラキ!」とか?
…というところまで考えたところで、「いや、それはないな」という別解釈も思い浮かんでしまいました。それは、先代から受け継いだ虎の覆面を被りながら「虎だ…お前は虎になるんだ…」と控え室の片隅で呟いているレスラーっていう…。(ニレ)
・日本の冬の風物詩。マスクマスクマスク…隠された口元で密かに行われているものは!(||゜Д゜)ヒィィィ!?(千代)
・マスクの中、というのを何らかの比喩だとすると、現代を揶揄してそうで恐ろしくも面白いです。じゃなくても好きです。(元気な人)
・表情の見えないマスクの中、どんな呪文を唱えているのだろう。(祥)

6. タラちゃんの未来想ふや柿の餡 1 0・1
作者:Umbert Dolby
○白熊左愉
・最後が「柿の餡」というところがいいなと思いました。(白熊左愉)

7. 好きだった人から今年も喪中はがき 4 1・2
作者:かもせり
◎もも ○木曜星、はたらきねこ
・今はもう、好きではないのにお互いに、まだ連絡を取り続けている、という微妙な関係がよく表現されています。そして、身内の不幸があった「好きだった人」のことを思う気持ちも伝わってきました。(もも)
・年賀はがきならまだ楽しく思い出せるのに。もう寂しく思いをはせるしかない。好きな人も悲しんでいる。(木曜星)
・「好きでもない相手に振られる」みたいな感じですよね。こちらから強く求めているわけではないのに、一方的に関係を切られる感じ。年賀状はいらないよってことです。きっと相手としては消極的に関係を薄めていこうとしているのでしょう。こちらは普段意識することもないのに、かえってはがきでその存在を思い出してしまう。本当に人の心というものは、誰かの思い通りにはけしてならないものですね。(はたらきねこ)

8. 同じ車が無言ですれ違う 7 1・5
作者:元気な人
◎かもせり ○木曜星、こみおく、はたらきねこ、mekeke、なかぎり
・なんとなく意識してしまう一瞬。「無言で」がそれをよく表現していると思います。(かもせり)
・同じ車を選んでいるのだから、気は合うと思いますけどね、だからと言って手を振るのもおかしいですし。お互い赤の他人なのにすれちがっている感じ。(木曜星)
・同じ車とすれ違うのはなんとなく嬉しい。でも何も言わない。なんてことない情景が好きです。(こみおく)
・車が無言なのは当たり前なのですが、この感覚はよくわかります。なんとなく恥ずかしいような、腹立たしいような。駐車場なんかではやっと空いてるところが見つかっても同じ車種の隣だったら避けます。ひどくいやですね。自分は青のインプレッサなので、走っている数が多くもなく少なくもなくて、ちょうどよく嫌な感じを味わうのです。ぶおんぶおん。(はたらきねこ)
・バスの運転手さんは運転中、他の運転手とすれ違うとき片手を上げて挨拶をしているようですが、いつもそうしている運転手同士がある日それをやめてしまっているのに気づいたら、何だか心がざわつきそうです。他の同じ車が無言ですれ違っても気にならないけどバスだけは違う感じがします。(mekeke)
・少しテレくさいような、仲間に会ったような、複雑な気持ち。縁はそれだけでも、縁は縁。よくある光景も意味深く感じます。(なかぎり)

9. 義父のデジカメに授乳する私の姿 3 1・1
作者:もも
◎十月水名 ○南天
・盗撮されてたのかと思いました。知らないうちに撮られてたのかと。義父はやましい気持ちなく撮ったのかもしれないですね。女性としてはどう思うのでしょうか?勝手に撮られたくないものだと思ってるんですが。(南天
・義父というのは本当に怪しげな存在ですね。(十月水名)

10. 笑う鬼涙の師走火の車 2 1・0
作者:みずいろばーど
◎mekeke
・「ええーい!どいたどいたあ〜〜〜!」と猛スピードで走り去っていく感じがして、当人はきっと大変だと思うんですが、傍から見る分にはとても賑やかで面白いなと感じました。笑ってる鬼はきっと助手席です。「笑っとる場合か!?あんたも一緒なんだよ!」「!!!」(mekeke)

11. 月光沁み出して影深く濃い 2 1・0
作者:祥
◎みずいろばーど
・描くイメージに共感する作品です。
どこか光の(つまり闇の)艶やかさを感じて、雨上がりなのかな、と想像しました。絵的に綺麗だと思いました。(みずいろばーど)

12. 歯磨き粉で描く冬空 2 0・2
作者:タケウマ
○十月水名、なかぎり
・冬だからこそ、いきる句ですね。歯磨き粉というか歯磨きのおっくうさも感じられました。(十月水名)
・朝でしょうか、夜でしょうか。何か歯磨き粉の冷たさが伝わってきます。(なかぎり)

13. 闇で触れてもわかるこのツノがきみだ 14 5・4
作者:ロケッ子
◎畦道、こみおく、タケウマ、Umbert Dolby、茂刈艾 ○木曜星、天坂寝覚、はたらきねこ、元気な人
・読む人によって色々な解釈がありそうな一句。闇の中で真の姿を現す悪魔。その正体を知りながらも、触れずにはいられない男。私はそのように読んだ。ユーモラスだが、どこか哀しい。(畦道)
・恋人がウシなのでしょうか。闇夜にたくさんのウシが走っている中、一頭のウシのツノを正面から両手でつかんでいる青年の姿が浮かびました。(こみおく)
・きみは犀なのか? 牛か? バイソンか? ツノガエルか? あ、鬼嫁か♪(タケウマ)
・いったい何者なのだろう。ツノのあるきみに対する愛があふれています。敢えてツノをも愛している深い愛。闇で触れる箇所に想像力を刺激されます。(Umbert Dolby
・妖怪譚のような世界が窺えてとってもチャーミングです。「闇」と「ツノ」「きみ」の温度差が可愛らしい。(茂刈艾)
・詳しい状況は分かりませんが、なんだかほっこりしたので。結婚前夜とかなのでしょうか。それとも鬼? 鹿や羊の可能性もありますね。……龍?(木曜星)
・こういう句は余り好きではないのですが、それでも描かれたものが面白いと思ったので取ります。(天坂寝覚)
・これほんとはよくわかりませんのです。ツノってなに?闇でも君ならわかるって愛情の深さは伝わるんですけど、ツノってなに?なに?ツノ生えてんの?鬼?鬼っ娘?そういう萌えがあるの?すごい時代ですな。あ、ラムちゃん的な?鬼嫁ってこと?状況がわからないなあ。異類婚姻譚?あ。ペットかな?ツノ生えたペット?……サイ……?サバクツノトカゲ……?わからんなあ。しかしそこが新鮮な部分なんでしょうね。ふふ。好きです。(はたらきねこ)
・なんだか官能小説のようなエロスがあってヒヤヒヤしました。(元気な人)

14. ふと先のことは空の青さが怖い 10 3・4
作者:ほろほろ
◎白熊左愉、天坂寝覚、フロヤマ ○さはらこあめ、もも、元気な人、祥
・なんとなく気になる句でした。ふと、で始まるのがいいです。(白熊左愉)
・句意がいまいち読み取りづらいと思ったのですが、むしろ少し読み取りづらいくらいがこういう漠然とした不安を描くのにはちょうどいいのかもしれません。(天坂寝覚)
・空も心もブルーになるという感じでしょうか。句意もさることながら、言い回しが絶妙です。(フロヤマ)
・ああそうですか俳句と紙一重なんですが、空の青さが怖いというのが切実な空しさが伝わるいい表現かなと。(さはらこあめ)
・ずっと晴れだったら良いのに。でも、絶対にそうはいかない、ころころ変わる天気みたいなのが人生。「怖い」という表現にゾクゾクときました。ただ一つだけ、何度も読み直し、考えたのですが「ふと」という副詞は必要だったのかなあと、少しだけ疑問に感じました。(もも)
・難しい句ですけど、その分解釈に幅が生まれて楽しいです。空は青過ぎてもどこか怖いんですね(元気な人)
・この文法的に正しいような、正しくないような危うさが、何より不安を上手く表している。(祥)

15. 今日ももしかしての曲がり角まがる 6 0・6
作者:うぐいす
○畦道、天坂寝覚、十月水名、フロヤマ、タケウマ、ニレ
・曲がり角の向こうに、好きな人の家がある。運がよければ、すれ違うかもしれない……。そんな想像の余地を残し、抑制を効かせた良句。曲がり角の向こうに、もっととんでもないものが待っていると想像しても、もちろん面白く読める。そこが優れている。(畦道)
・曲がり角でぶつかって云々、というベタな景色が思い浮かびました。
この“もしかして”をいったいどれだけの人が現実として体験できるのかは分かりませんが、こういう期待感は確かにあります。(天坂寝覚)
・未来をあらかじめ知る、という気配。あります、あります。(十月水名)
・学生時代の下駄箱などと同じ発想ですね。ドキドキしちゃいます。(フロヤマ)
・多分、明日も♪(タケウマ)
・クルマの助手席での気持ちでしょうか。ドキドキするような、怖いような、でも心のどこかでずっと待っていたような…。そんな曲がり角を曲がる一瞬をスローモーションで切り取ったような句ですね。流れてゆく街灯の明かりを窓から眺めつつ物思いに耽る主人公。…勝手な物語が頭の中で膨らんでゆく句って好きです。(ニレ)

16. 気の利いた台詞留守にしております 6 1・4
作者:南天
◎ほろほろ ○うぐいす、mekeke、茂刈艾、祥
・そうですね、留守にできたらいいと思う場面は多々あります。トランプゲームのパスのようです。それを「気の利いた台詞」と表現したところに惹かれました。(ほろほろ)
・困りますね。早く帰ってきてください。(うぐいす)
・気の利いた台詞一つも出てこない自分を心の中で滑稽に言っているのかなと思いました。言いながらどんどん真っ白になるような。その後しどろもどろに声をかける様が浮かんで、なんかいいなあと感じました。普段頭のどこかにあったはずが出なかったんだとしたら自分の身の丈に合わない台詞だったのかもしれないなと感じました。(mekeke)
・うまく言えないもどかしさを「留守」とサラリと流す柔軟さは気が利いている。(茂刈艾)
・こういう風に清々しく言いたい!(祥)

17. 売らんかなの街角の疎ましさいじらしさ
作者:なかぎり

18. 綿の雪も年々減っている 1 0・1
作者:木曜星
○ロケッ子
・飾っている間に、外れたり失くしたりして徐々に減っている綿の雪。なんでそんなとこをピックアップするのかなぁ、おもしろいなぁ。新しい綿の雪、買い足すこともしない。(ロケッ子)

19. そこかしこで雪が待ちわびている 1 0・1
作者:ニレ
○白熊左愉
・「雪が待ちわびて」という表現が綺麗だなと思いました。(白熊左愉)

20. 父という自死の先達ある強み 7 2・3
作者:はたらきねこ
◎さはらこあめ、玉虫 ○畦道、ロケッ子、かもせり
・句としては上手い句ではないかもしれない。でも私はこの物語が良いとおもいます。本当は強がりかもしれない。だが強く生きてやるよという句だと感じた。(さはらこあめ)
・凄惨な過去を持ちながら前を向こうとしている強さを感じる。すごく好きです。こういう激しさのある句を、私も詠みたいのです。胸がざわざわします。(玉虫)
・一瞬どきっとするが、これは『生きる』という宣言。(畦道)
・その強みは、本当に強いと思う。先達とは違う方法で進んでいこうという強さも感じられる。(ロケッ子)
自死ということばには自殺とはまた違った重みがあります。そしてこの句では「自死」が生きていると感じました。(かもせり)

21. 月ばかり明るい小銭しかない夜道だ 14 4・6
作者:玉虫
南天、ニレ、千代、祥 ○さはらこあめ、天坂寝覚、ほろほろ、うぐいす、フロヤマ、タケウマ
・月明かりに照らされて小銭を数える姿が目に浮かぶ。大金を持っていたら店に飲みにでも行くのだろうが、自販機で缶コーヒーでも買い飲みながら歩くのだろう。シブい。(南天
・「現実は心許ないけれども心は晴れ晴れとしている」「月はカラっと晴れているのに現実を見ると心が沈んでくる」この2つの心情を行ったり来たり揺れている状況かな、と。読んでいる時の自分の心情で見えてくる場面が変わってくるなぁ、と 昨日書いておいた句評と今の気持ちとで間逆な感想を持っている自分を見てそう思います。(ニレ)
・青い夜に白い月の光が溢れてて。でも独りで、金もない。美しさと冷たさと詫びさと、いっぱいつまってほんとに素敵。(千代)
・煌々と照る月と小銭の取り合わせが好きです。(祥)
・ひもじいねえ。共感します。ただ月だけが明るいことをマイナスととらえたかプラスととらえたか分かる表現が欲しいです。(さはらこあめ)
・要素が少し多いかなと思いますが、単純に好きな句です。(天坂寝覚)
・温かいコーヒーくらいは買えますよ。(ほろほろ)
・心もとない懐を、月に覗かれている気がして、なんとなく背中も丸まってしまいそう。(うぐいす)
・放哉風ですね。虚しさ切なさを感じます。(フロヤマ)
・小銭を大切に握り締めよう♪(タケウマ)

22. ひっそり閑のかおりをご存知? 3 0・3
作者:茂刈艾
南天、こみおく、玉虫
・ひっそり閑を嗅覚で感じたことなかったです。「ご存知?」と尋ねられることでハッとしました。無臭だと思いますが、敏感なかたは違うのかも。(南天
・「さすらいのアケミ」のような通り名みたいでおもしろいと思いました。「アンタ、ひっそり閑のカオリをご存知ないかい?」(こみおく)
・なんかコケティッシュ。可愛い。是非教えて下さいひっそり閑のかおり。きっとキミに似て清潔な石鹸のようなかおりがすることでしょう。(玉虫)

23. 娘の一人称が「わたし」に変わった今年も暮れる 6 0・6
作者:千代
南天、ほろほろ、かもせり、Umbert Dolby、玉虫、なかぎり
・娘さんの成長が感じられますね。一年を振り返り、自分のことではなく娘のことをもってきたところに親心も感じられました。(南天
・時間の流れが目に見えてしまう時はドキドキします。(ほろほろ)
・来年はどのように成長するのか、期待の反面寂しさを感じます。(かもせり)
・これは、心情的に共感できる句。娘の成長の切り取り方が秀逸。『今年も暮れる』との取り合わせも素晴らしい。(Umbert Dolby
・少し大人になった娘さんへの静かな愛情を感じます。あわただしい中にも新しい嬉しさ、もしかしたらちょっとしたさみしさを感じている年の暮れ。ぐっときます。好きです。句全体のリズムもすごくいいと思う。(玉虫)
・振り返ると成長している我が子。特に自分と他人との距離感をつかんだ瞬間は、頼もしくも寂しい。そんな気持ちが伝わってきます。(なかぎり)

24. 蟷螂死す哀しくもない冬の庭 2 0・2
作者:フロヤマ
○ロケッ子、玉虫
・ひとつの死。それが自分にとって何の影響も及ぼさない。哀しんでいない自分も含めて一枚の絵のようで、非常に興味深い句でした。(ロケッ子)
・個人的に虫や小鳥が死んでいる光景に非常に弱い。いちびっていたカマキリもひっそり死んだ冬の庭。感情すらも動かない冬の静けさを感じます。好き。(玉虫)

25. 老猫と想い出話冬こたつ 4 0・4
作者:白熊左愉
○さはらこあめ、みずいろばーど、Umbert Dolby、千代
・もう少し表現を変えればいいとは思います。(さはらこあめ)
・特選に選ばせていただいた作品(No.11)と対極の魅力を感じました。温かく、素朴で懐かしい。(みずいろばーど)
・しみじみと鑑賞できる良句。作者の人柄も偲ばれます。(Umbert Dolby
・冬のぬくぬく。猫とこたつとみかん、これ以上ないですね。老猫とすることで想いが増して、年の瀬近づくこの時期にはまた、残された時を色濃く感じます。(千代)

26. 欄干の靴跡に淡雪ふれて遠い目の鴉 3 0・3
作者:さはらこあめ
○畦道、もも、ニレ
・調子よく読み流しそうになるが、『欄干の靴跡』である。ここを誰かが、飛び越えていったのだ。それに気づくと、景色は一気に重苦しくなる。もしかして、鴉は不要だったかもしれない。『欄干の靴跡に淡雪』。(畦道)
・まるで、旅の一風景みたい。とても綺麗にまとまっているのだけど、どうして、欄干の上を歩く必要があったのだろうか、誰が欄干の上を歩いたのだろうかと、「ん?」と思わせるところが面白いです。(もも)
・これは映画の一場面のような句ですね。誰かが橋の欄干から身を投げたその一部始終を見ていた鴉。白い雪に少しずつ隠されゆく中、一羽の漆黒の鳥は何を思うのか…。深い余韻が残る句です。(ニレ)

【結果】「食べ物」しばり

1. 多分この人別れても猫背で食べてる 18 7・4
作者:祥
◎木曜星、南天、ほろほろ、ロケッ子、はたらきねこ、玉虫、なかぎり ○畦道、天坂寝覚、十月水名、ニレ
・これも特選にしたかった。うまいです、猫背。僕もです、猫背。この人(彼氏か彼女)が猫に見えてきて、猫だからわがままだし勝手だし、でも可愛いし愛おしい。読めば読むほどいい句ですね。やっぱり特選にしましょう。特選!(木曜星)
・別れても姿勢正すことなく、そのままの人なのだろう。頑固な人が猫背で食べているのが見える。(南天
・少し距離を置いて「この人」を見ている視線がいいですね。その距離感に愛情が感じられます。そしてその人の猫背も見えてくるようです。・・エッセイのようにも読めます。(ほろほろ)
・猫背の人に弱いです。太田光が背中を丸めてご飯を食べている姿を想像。ああ、この人は私と別れてもこうやってご飯を食べて… などと妄想したらなんか切なくなった。(ロケッ子)
・女性の視点だなと感じました。飽きられたのか、それともどうしようもなく愛しいと感じてくれているのか。どちらともとれるようで、しかしそれを「どちら」と分けるのは自分が男性だからなのかもとも思ってしまったりします。きっとこの女性の中では、この相手に対する感情はもっと渾然としているのでしょうね。別れを決めたわけではない。しかし明日別れてもおかしくはない。そんな目で無心にスパゲティを食べるぼくを見ているのか……。ハフハフ言ってる場合じゃないなあ。あうあう。(はたらきねこ)
・切ないです…(´;ω;`)ウッ 食べ物とわびしさが合体すると、何かもう身悶えせずにいられない。一番印象に残ったので特選とさせていただきました。(玉虫)
・女性目線なのでしょう。そんな風に見られる人もいるんですね。僕には無縁ですが。(なかぎり)
・こたつでみかんを食べるときも、レストランでナイフとフォークをカチャカチャいわせるときも、猫背。別れても、と言いながらたぶん別れないんだろうな、という優しい視線を感じる。(畦道)
・落胆なんだか諦めなんだか分かりませんが、なんとなく愛を感じました。(天坂寝覚)
・食べ方って印象に残るものですよね。(十月水名)
・映画の回想シーンのようなモノクロームな映像が浮かぶ句ですね。
だからどう、っていうことではないけれど、だけどそう、っていうわけにもいかない気持ち。(ニレ)

2. チョコレート少し溶かして交わすキス 1 0・1
作者:白熊左愉
○もも
・少し溶かして…ということは、まだ少し口の中にチョコレートが残っているはず。そのチョコレートを舌で転がす感じとか、生ぬるさとか、甘さとか、キスの感触とか想像すると、ついにやけてしまいます。(もも)

3. こんな格好で反逆のマヨネーズ 5 1・3
作者:ほろほろ
◎Umbert Dolby ○茂刈艾、タケウマ、千代
・マヨネーズのキャラがビシバシ立っています。こんな恰好なのは、筆者なのか、マヨネーズなのかわかりませんが、後者ととりました。あの減ってしまってぐにゅっと反り返っている姿を自虐的に『反逆』と表現した作者に敬意を表します。深いと思います。脱帽。(Umbert Dolby
・勢いに笑ってしまいました。容器から漂う不穏な気配が滲み出てくるよう......それにしても、いったいどんな格好だ。(茂刈艾)
・どんな格好なの???(タケウマ)
・まよりーん♪どんな格好なのかしら?こんなわくわくしちゃう句は私には作れないです。(千代)

4. 恋の始まりはキャラメルポップコーン 1 0・1
作者:もも
○mekeke
・甘さの中にほろ苦さもあるキャラメルが始まりなら、終わりは何味なんだろうと思いました。結局塩バター味が一番?いやむしろ煎餅か。その前に喉が渇くだろうなあ。(mekeke)

5. 食べ物の恨み恐ろしい核シェルター 2 0・2
作者:南天
○木曜星、ほろほろ
・恐ろしいですよね。頭にキノコ雲が出ていますからね。(木曜星)
・それは恐ろしいでしょうね。(ほろほろ)

6. もう居ない君の席に私のごはん小盛り 5 2・1
作者:千代
◎天坂寝覚、茂刈艾 ○白熊左愉
・こんなに小さい景色でありながら、そこにある喪失感の大きさたるやすさまじいです。(天坂寝覚)
・「小盛り」の表す距離感が好もしい。ぎこちない親愛の情が歯痒くも愛らしいです。(茂刈艾)
・さびしさが伝わります。(白熊左愉)

7. 霜の夜や分子構文解いて居り
作者:Umbert Dolby

8. ゆで卵まるごと一個口に入れてみる 5 1・3
作者:タケウマ
◎こみおく ○かもせり、はたらきねこ、元気な人
・何回読んでも笑えます。五七五のリズムで読むとだらしない字あまりになる感じもとても好きです。(こみおく)
・むしろ口に入れた後のことを句にして欲しいと思いました。(かもせり)
・ タブーへの挑戦はそれ自体が快楽と成り得る。その好例ですね。きっと今は一人なのでしょう。周りに咎める者はいない。今だ!しかしせっかく面白い顔になっても一人なのでもったいないですよね。わかります。自分は昔、こぶしが口に入ったのですが、今やってみたら入りませんでした。これも老化です。さびしいことです。(はたらきねこ)(はたらきねこ)
・入れてみたくなる丸みではありますよね。で後悔する。でまた入れてみたくなる。で後悔する。そうやって生きて死ぬんでしょうね。(元気な人)

9. 殺めねば生を語らるや
作者:みずいろばーど

10. まだ泳いでいたかったか喉の骨 14 3・8
作者:ロケッ子
◎白熊左愉、うぐいす、フロヤマ ○こみおく、木曜星、南天、Umbert Dolby、タケウマ、ニレ、千代、元気な人
・喉にささったことを魚の生への執着とみなしたところがいいなと思いました。(白熊左愉)
・無言の抵抗。食われてなお魚の生命力を感じる。(うぐいす)
・喉にささった魚の小骨。もしかしたら、生への執着なのかもしれませんよね。着眼点が素晴らしい。(フロヤマ)
・なんか和尚さんが喉から取り出した骨に笑いながら話しかけているようすが浮かびました。生臭坊主。(こみおく)
・引っかかった骨をそう捉えるとは、感服いたしました。(木曜星)
・喉にある骨がなかなか取れない感じがする。喉で骨の魚が動く気持ち悪さもある。(南天
・喉に引っかかった骨を相手に皮肉を言う負けず嫌いなところが好きです。(Umbert Dolby
・その状況での落ち着いた分析に感服し候。(タケウマ)
・喉の奥に動く魚の骨から大海原まで一瞬にしてダイナミックに映像展開する心地良さが最高。と同時に命のことにまで思いを馳せさせるテーマの深さに脱帽。(ニレ)
・最後の抵抗と未練。捕食する側とされる側の感情が残るこんな句、いいですね。(千代)
・喉に引っかかった魚の骨があたかも意思を持ってるかのようなおかしみのある句ですが、言い回しの妙を感じました。(元気な人)

11. 歯のない顔でまんじゅうくれた 19 4・11
作者:畦道
◎さはらこあめ、mekeke、みずいろばーど、元気な人 ○こみおく、南天、天坂寝覚、ロケッ子、うぐいす、茂刈艾、フロヤマ、玉虫、千代、祥、なかぎり
・歯がないということは、ひょっとしたら自分で食べるものだったかもしれない。それをくれるとはその人への愛情がよく伝わります。上手い。(さはらこあめ)
・口開けてにこーっといい笑顔で「ほら、食べな」てまんじゅうをくれるおばあちゃんが浮かんで、そんな風に渡すから本当はあんこ好きじゃないけどつい受け取ってしまうような、そんな風景が浮かびました。このまんじゅうはどこから来たんだろう。貰い物、それともわざわざ買ってくれたのかなぁ。(mekeke)
・ありがちパターンでも感動には違いない。賞味期限が切れてるけど食べる、みたいな。(みずいろばーど)
・食べられなかったんですかね。まんじゅうくれた人を「歯のない顔」だなんて言っちゃう辺りも好きです。(元気な人)
・じいさんなのか、乳歯の抜けたこどもなのか、いずれにしても屈託のなさとまんじゅうがよくあっています。(こみおく)
・歯の抜けた老人かまだ歯の生えそろってない子供なのかはわからないが、
とても良い表情でまんじゅうを勧めてくれてるように思う。(南天
・“歯のない顔”がおじいちゃんかおばあちゃんか分かりませんが、まんじゅうをくれるのはだいたいおばあちゃんな気がします。(天坂寝覚)
破顔一笑。そして、おまんじゅう。この句をとらないわけにいかない。(ロケッ子)
・優しそうなばあちゃんの笑顔が浮かぶ。まんじゅうみたいな、まんまるなばあちゃん。(うぐいす)
・無骨な言葉の並びが良い。それがまた「歯のない顔」にも「まんじゅう」にも結びついて喚起力がある。(茂刈艾)
・温かい気持ちにさせてくれる句です。(フロヤマ)
・だから!じいちゃんばあちゃんものに弱いんだよオレは!!(泣)(泣)(泣)(玉虫)
・丸くてシワシワで、満面の笑みで。いつも幸せをわけてくれるおばぁちゃんを思い出しました。(千代)
・『歯の無い顔』で取りました。皺くちゃの笑顔が浮かぶ。(祥)
・きっとしわくちゃで微笑んでいたんでしょうね。いい絵面が浮かびました。(なかぎり)

12. 結局えりんぎはつかわない 4 0・4
作者:はたらきねこ
○畦道、十月水名、mekeke、茂刈艾
・チャーハンとか野菜炒めとか、シチューとか。まあ使ってもおかしくはないのだろうが、結局使わないエリンギ。誰か、エリンギが絶対必要だというメニューを教えてほしい。(畦道)
・何を作ろうとしたのでしょう。男の料理でしょうか、など考えてしまいます。(十月水名)
・「まあ、しめじもあるし、エリンギはまたでいっか」てなることがよくあるなあと思い出しました。フライにすると美味しいですよね。脇役なようで案外主役の方が向いてるのがエリンギなのかも。(mekeke)
・あるあるですね。使い勝手が良いと思いがちですが、案外そうでもないえりんぎ。「使わない」ではない「つかわない」がしっくりきました。(茂刈艾)

13. 塩むすび作ってみたよばあちゃんと手を合わせていた
作者:さはらこあめ

14. うたたねはデミグラスソースの二日目 2 0・2
作者:十月水名
○かもせり、ニレ
・「冬の暖かさ」が伝わります。(かもせり)
・芳醇な甘いコクとまろやかさ。
ゴールデンスランバーの表現としてデミグラスソースを持ってくるのはナイスですね。なるほど、たしかにあれは次の日のデミグラスソースだ。(ニレ)

15. いっぱいの死をいただいてきた体で今日も 4 0・4
作者:天坂寝覚
○白熊左愉、ロケッ子、フロヤマ、玉虫
・たくさんの命をいただいて生きている今日であることへの感謝の気持ちをひとは忘れがち。それを思い出させてくれる句だと思いました。(白熊左愉)
・「今日も」で終わるのがうまいなぁ、と。いろいろと想像させてくれる。そして明日もまた、いっぱいの死をいただいて生きていく。(ロケッ子)
・食べ物への感謝の気持ちを思い出させてくれる句です。(フロヤマ)
・「夜鷹の星」に通じるやるせなさ。でもこのことを忘れてはいけないんだなと自分に言い聞かせ。有難く、今日も何かのいのち、いただきます。(玉虫)

16. ゲテモノ食いではないが上司の土産 1 0・1
作者:かもせり
○木曜星
・お土産は普通のものがいいですよね。でも、僕もゲテモノを買ってしまうなあ。そして、人にあげてしまうなあ。でも、グロいものほど美味しかったりするんですよ。(木曜星)

17. カップメン作る妖精を覗く 11 3・5
作者:木曜星
◎もも、畦道、タケウマ ○ほろほろ、うぐいす、十月水名、祥、なかぎり
・妖精って誰かなあ?子供、女の子?それとも本当に妖精だったりして。私は、女の子であって欲しいな。日本人なら、誰でも一度は食べたことがあるカップ麺。そう、カップ麺を食べなさそうなあの子だって、スーパーで98円くらいのカップ麺に、やかんを傾けてお湯を入れている。そのギャップに萌える。(もも)
・美しい♪ ティンカー・ベルがカップメン啜る姿を見てみたい♪(タケウマ)
・夜中に時計のなかから現れて仕事を手伝ってくれる小人の話を思い出した。確か、そういう場合はお寿司を置いておくのではなかったか。しかし作者はカップ麺で済ませてしまった。安上がりだ。(畦道)
・想像すると楽しいです。(ほろほろ)
・覗かないでとあれほど言ったのに…。お別れです。(うぐいす)
・妖精はいろいろなところにいることを気付かせてくれました。(十月水名)
カップ麺を妖精が作っているとは知らなかった(笑)こういう無駄なファンタジー好きです。(祥)
・ふと起きて水を飲みに夜中に台所行ったら居たんですかね。不思議な面白味。(なかぎり)

18. 白飯一口分の今日を飲み下して眠る 1 0・1
作者:ニレ
○みずいろばーど
・結局のところ、その程度である。けれども、その一口を淡々としっかりと飲み下してゆくことの、計り知れない大切さ。(みずいろばーど)

19. ライスカレーの名にふさわしい気品がある 1 0・1
作者:こみおく
○もも
・とても美味しそうな句。結局は、カレーライスもライスカレーも一緒なのだと思うが、ライスカレーという響きが、どこか懐かしくて、日本人好みのカレーらしくて良い。ちなみにライスカレーとは、お皿の上にご飯とカレーが一緒に乗ったものを言うそうだ。(もも)

20. つつましく惣菜を買う老婆ひとり 8 2・4
作者:なかぎり
◎千代、祥 ○さはらこあめ、こみおく、白熊左愉、みずいろばーど
・食べてくれる人がいなくなると、食事って作る意欲もなくなって。不経済だとは思ってもついつい惣菜に手が伸びてしまう。それが日常になっていく。何気ない一コマだけど、こうして詠まれると感慨深いです。(千代)
・自分に相応な食べ物を選んで買う、老婆の姿が美しい。(祥)
・つつましく、というのが、愛する人に先立たれた方のようなイメージがわきました。愛されなくてひとり、ではなく、愛されてひとり、という絵が浮かびます。(さはらこあめ)
・つつましいと惣菜と老婆とひとりがまるで縁語のようです。ばあさんの暮らしぶりが気になります。(こみおく)
・情景が浮かびました。「老婆かな」とかでもよいかな?と思いました。(白熊左愉)
・そういう方を見ると、なんだかいけないものを覗いてしまったような気がしてしまいます。その方の歩いてきた人生ドラマのラストシーンを見ているような、せつなさにも似た感情。(みずいろばーど)

21. 腿の間のすり鉢を叱る祖母 3 0・3
作者:茂刈艾
○フロヤマ、Umbert Dolby、はたらきねこ
・アイロニカルな句意でしょうか。泣きたくなります。(フロヤマ)
・叱ってくれるお婆ちゃんに対する愛情を感じます。ありがたい句。(Umbert Dolby
・ 優しい時間のように感じました。実際に祖母の料理を眺めるという経験がないので、多少の羨望込みで想像しています。腿の力が衰えてしまって、動くすり鉢に向かって「動くんでない、ほれ」とか言いながら山芋をすっているのでしょう。若いころに比べれば大変な労力のはずです。それでも孫のために山芋入りのふんわりした厚焼き卵を作ろうと奮闘しているのでしょう。いいなあ、そんなばあちゃんだったらいてもよかった。(はたらきねこ)

22. 叱られたあと泣きながら食べたおにぎり 6 0・6
作者:玉虫
○さはらこあめ、かもせり、みずいろばーど、Umbert Dolby、祥、なかぎり
・小さな子が、くしゃくしゃに泣きながら、食べている印象でした。そのおにぎりは、身も心もとてもあったかくなるおにぎりだったんでしょうね。(さはらこあめ)
・こういう味は何時までも忘れられない。(かもせり)
・たぶん誰にでもあるのではないかと思われる、思い出のワンシーン。本当の優しさとはどんなものか、分かったような気がした日。(みずいろばーど)
・涙の塩味が効いて美味しい句。だれもが経験のある情景をぽんと出してきた素直な句ですね。(Umbert Dolby
・こういう時の塩むすびは旨くて一生忘れませんね。(祥)
・誰にでも(少なくとも僕には)あった経験。鼻をすすりながら食べるのは、悲しくて、美味しくて。(なかぎり)

23. 七面鳥骨までしゃぶるか敬虔な君よ 5 2・1
作者:フロヤマ
◎かもせり、ニレ ○玉虫
・いのちを頂いて生きている以上、骨までしゃぶるべきなのかもしれません。いろいろ考えさせられました。(かもせり)
・イメージを壊された時のショックとその反対側に現れる新しい魅力。フェチ的好奇心はこんなところから芽生えるのでしょうか。そんな彼女の姿にもう惹きつけられはじめている主人公の姿が目に浮かぶようです。異性を語る上で「落差」ほど魅力的な調味料はありません。(ニレ)
・いまの季節にぴったりの、ユーモラスでちょっと毒のあるポップさ。好きです。(玉虫)

24. 耐えに耐え謀反起こした〆にパスタ 1 0・1
作者:mekeke
○ほろほろ
・〆にパスタが可愛いです。(ほろほろ)

25. 君のカレーは醤油と相性がいい 4 0・4
作者:うぐいす
○もも、畦道、南天、元気な人
・カレーに醤油をかけて、美味しそうに食べている様子が伝わりました。皮肉な言い方にも感じましたが、照れ隠しのようにも感じました。いろんなカレーがあるけれど、何のためらいもなく醤油をかけることができる「君のカレー」が一番なのかもしれません。私もこのカレーを食べてみたいと思いました。(もも)
・もうひとつあったカレーの句と迷ったが、こちらを。たぶん、バーモント甘口を説明書通りに、何も付け足さずに作っている。(畦道)
・最初は和風のカレーなのかと思ったが、出されたまま食べると美味しくないようにもとれる。醤油をかけると食べられる。または醤油をかけないと食べられないのかも。不味いと言えず、このように言ったのかも。(南天
・単にカレーには醤油と決めた人の言い訳がましい句なのか、今ひとつな味を優しく諭してあげてるのか。願わくば後者、いや前者で!(元気な人)

26. 食べないほうの草だった茶を飲む 9 1・7
作者:元気な人
◎十月水名 ○さはらこあめ、天坂寝覚、ロケッ子、うぐいす、mekeke、タケウマ、はたらきねこ
・とんでもないことしちゃったかも、でも落ちつけって感じでしょうか。どこか笑えます。(十月水名)
・何を食べちゃったんでしょう。何故か山頭火を思い浮かべました。(さはらこあめ)
・食べるほうの草はなんだったのか気になります。(天坂寝覚)
・草を「食べないほう」「食べるほう」と分けたことない! なんだろう、野草なのかな。「草だった」という過去形も気になる!(ロケッ子)
・食べるときはなにも思わなかったのに、あとになってわかると急に違和感を感じたりして。お茶で流しとこう。(うぐいす)
・芸術的に盛られた料理はどこまで食べていいのか迷う時があります。(といっても実際食べたことは無く、テレビで見ていてそう思うだけですが)ばつの悪い恥ずかしさが滲む一句だなと感じました。(mekeke)
・よくわかんない♪ まあ、茶を飲んだからいいのか。こういうリズムが自由律の定型なのかなあ。なじむんだけど、まるめこまれているような気もw(タケウマ)
・ バツの悪さが目に見えるようです。背伸びしてこんな店に誘うもんだから。彼女にかっこいいとこ見せようなんてね。イタリアンかな?なんとかワイン選びはやり過ごしたのに、ムール貝かなんか頼んだんでしょ?飾りの香草を食べちゃって。口の中に微妙な味が広がって、あわてて出てきた茶を口に運ぶ……。でもそれお茶じゃなかったでしょ?フィンガーボウルでしたってベタなオチまでついちゃって。ふふふ。かわいらしいですね。(はたらきねこ)

【結果】指定語「平」

※次のような並びで掲載しています。
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 句  獲得点 特選数・正選数
 作者
 ◎特選に選んだ人 ○正選に選んだ人
 選評

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1. 晦の蕎麦平らげて独りかな 6 2・2
作者:Umbert Dolby(@swing1702)
◎mekeke、こみおく ○ニレ、千代
・食べ終わってふう、今年も独りか…というよりも、腹も膨れて何だかほっとして、ああそういえばもう年末だなあ今年も終わるなあってしみじみ思うような、独りだけどどこか温かいようなそんな感じがしました。蕎麦食べたくなりますねぇ。(mekeke)
・完成度が高すぎて特選に選ぶのを一瞬ためらいましたがやはりこの句しかないと思いました。字も音も美しく、光景も潔いです。(こみおく)
・ふぅ…と食後の一息とも溜め息ともつかない呼吸が天井にまですら届かずに目の前の虚空に行き場無く漂っているかのような風景。音も無く時も止まる一瞬の物思い。映画のような句ですね。(ニレ)
・晦というのが孤独感を増していて、でもひたすらな淋しさだけでない雰囲気がいいな、と。(千代)

2. きみを失った今日も平日と呼ぶのか 14 2・10
作者:ロケッ子(@5_rockets)
◎玉虫、ニレ ○さはらこあめ、白熊左愉、南天、天坂寝覚、ほろほろ、うぐいす、みずいろばーど、フロヤマ、祥、なかぎり
・どストレートでぐっときます。なんか昔のイヤなこと思い出して…胸が痛くなってきました…ひどく揺さぶられたので特選とさせていただきます!!(玉虫)
・怒り。悲しみ。空虚感。敵も無くただ何かを殴りつけたい衝動。繰り返し読み返したくは無い感情で形作られた作品ですが、句としてはやはり秀逸で、好きです。(ニレ)
・平日をそうとらえましたか。悲しみに暮れている時は、些細な事にも空しく感じるものですからね。(さはらこあめ)
・平日、と呼びたくはない気持ちに共感します。(白熊左愉)
・反語ですかね。「いや、呼べない」 自分にとっては特別な日ですよね。(南天
・“きみ”とは句の主人公にとっての大事な人なんでしょう。そういう人を、どういう形にせよ失った日というのは、確かに特別な日です。とは言えそうした自分にとっての特別な日は、他の人からするとなんでもない“平日”であることが多いんですよね。そこで感じるであろう落胆を、最後“呼ぶのか”と終わっているところに見ました。(天坂寝覚)
・確かに平日とは呼び難いね。(ほろほろ)
・名前をつければ、なんとなく安心するのかもしれない。忘れてしまわないように。(うぐいす)
・たとえば、誰かにこう問われれば黙ってしまうだろうと思う。そういう意味で納得する作品でした。(みずいろばーど)
・何となく共感です。『サラダ記念日』の逆の発想と言える気がします。(フロヤマ)
・切ない。自分にとってどんな辛い日常も他人には平日。(祥)
・長く生きていると、平日と呼べないような思い入れの日ばかりになる。
そんな気持ちが伝わります。(なかぎり)

3. 波平の頭にも降る雪しんしん 2 0・2
作者:千代(@ChiyoMie)
○Umbert Dolby、タケウマ
・ノスタルジーの極みである。盆栽のような趣がある。(Umbert Dolby
・「波平」の選択がスバラシイ。(タケウマ)

4. 平らな黒い道を帰る 4 0・4
作者:さはらこあめ(@___koame___)
○こみおく、ニレ、元気な人、十月水名
・平らな黒い道の先には何が待っているのか。まわりになにもなく、ただ道だけが空間に浮いている異次元空間のようなところを歩いている画が頭に浮かびました。(こみおく)
コントラストの激しい森山大道のモノクロ写真を連想しました。痛みのある余韻。ノスタルジーなあの頃と現在の自分との対話。(ニレ)
・シンプルですけど詰まってて好きです。感情の表現はどこにもないですけど溢れてていいです。(元気な人)
・帰り道は気分によって変わりますからね。(十月水名)

5. 水平線よ二度と立ち上がらないでくれ 5 1・3
作者:フロヤマ(@furoyama)
南天 ○ロケッ子、はたらきねこ、ニレ
・水平線が立ち上がったのは、いつだったのか。東日本大震災時の大津波が思い起こされました。「水平線が立つ」という表現がすごい面白い(うまい?)です。(南天
・直球の願い。水平線が立ち上がる、という表現が胸にささりました。(ロケッ子)
・願いも祈りも自然の前には儚い泡のようなもの。その思いは被害に遭われた方ほど強いことでしょう。それでも願わずにはいられない。私もまた祈りを込めて。(はたらきねこ)
・そんな切実な思いはどこに消えてゆくのだろうか。そして水平線は今日も何も言わずただそこに在り続ける。(ニレ)

6. お前んち平屋かよと笑った友達を殴る 5 1・3
作者:畦道(@azemichi66)
◎なかぎり ○こみおく、茂刈艾、はたらきねこ
・懐かしい有り様。こんなつまらない事が、重要なアイデンティティだった頃に戻りたい気分になる。(なかぎり)
・そしてお前の母ちゃんブスだなーと笑った友達も殴る。(こみおく)
・不条理の匂いがします。平屋を笑う「友達」と、その友を殴る「お前」、妙なおかしみの向こう側に喧嘩両成敗などという綺麗ごとでは済まない淀みを感じました。(茂刈艾)
・これは女の子が自分に言い聞かせている健気な句として選びました。自分が20代のころなら、きっとその肩を抱きしめたでしょう。10代だったらなすすべがなくて立ち尽くしただろうな。今は手を伸ばさない優しさを身に付けました。私も成長したな、と感じられました。へへ。(はたらきねこ)

7. 平幕が時間をつぶしている 7 2・3
作者:十月水名(@totsukimina)
◎みずいろばーど、はたらきねこ ○かもせり、こみおく、元気な人
・思わず苦笑いをしてしまう。角界に限らずこういう場面に(ときに当事者に)陥ることはあります。。(みずいろばーど)
・読み返すほどんどんよくなって特選。まだだれにも注目されていない平幕に目を向けた発見の新鮮さ。その所在無げな様子を巧みに表現する語選び。手本にしたいでごんす。ごっつぁんです。(はたらきねこ)
・大相撲での仕切りの時間制限はNHKの中継時間に収めるように導入された制度らしいですが、それでも熱戦が続いて中継時間が延長される事が希にありますね。(かもせり)
・なぜ平幕は時間をつぶしているのでしょうか。中入りまでが長いから?それとも本場所と関係なく浴衣を着て外で?どのみち平幕が時間をつぶすという光景がおもしろいと思いました。(こみおく)
・辛辣で面白いです。平幕も本気です。(元気な人)

8. ひとりでも平気といったんだから泣くな 3 1・1
作者:茂刈艾(@k_shimp)
◎さはらこあめ ○フロヤマ
・絶大なる信頼を寄せる方に撫でられながら言われたような気持ちになれました。眼球が濡れました。(さはらこあめ)
・愛情あふれる叱咤激励。そんな風に感じました。(フロヤマ)

9. 平均台から落ちたらさいしょから 7 2・3
作者:木曜星(@thurstar)
◎白熊左愉、元気な人 ○茂刈艾、Umbert Dolby、十月水名
平均台という言葉に「世間一般の平均的な状態」という意味を重ね合わせて読みました。そこから落ちたら「さいしょから」であることがしみじみしたので選びました。(白熊左愉)
・そういえば平均台から落ちたら最初からですね。落ちたところからではなく。なんだかハッとして、ハラハラとしました。(元気な人)
・ふんわりとしたシチュエーションが好みです。ツッタカスイスイと軽々渡っていく同級生たちの姿をぽつねんと眺めながら順番を待っている小太りの小学生が浮かびました。(茂刈艾)
・やり直しありのルールがほのぼのとして癒されます。(Umbert Dolby
平均台は女子の種目。半泣きで、再度挑戦する選手がいじらしいですね。(十月水名)

10. 平穏な一日だったね月微笑 0 0・0
作者:白熊左愉(@sayumemi)

11. もうこぶ平じゃなかったチュニジアの夜 6 2・2
作者:かもせり(@kamoseri)
◎畦道、もも ○Umbert Dolby、祥
・だからといって正蔵と呼ぶにはまだ違和感がある……。そんな元こぶ平が、生意気にもチュニジアのバーかどこかでブランデーグラスを傾けている様を勝手に想像した。何年芸歴を重ねても、大きな名前を継いでも、ちっとも大御所感が出ないというのは、それはそれでたいしたものなのかもしれない。(畦道)
・ジャズの名曲はたくさんありますが、「チュニジアの夜」だからリズムが良く、インパクトがある句なのだと思います。「チュニジアの夜」を聞いていたら、ジャズファンとしても知られている落語家を、ふと思い出した。そうそう、こぶ平だ。ん、そういえば、もう正蔵になったんだっけなあ。(もも)
・落語家の魅力の一つに『可愛げ』というのがある。三平は可愛がられた。そのお坊ちゃまである。金に飽かしてレコードを収集したのである。こぶ平であればかわいげもあったのである。しかし、厚かましくも一線を越えてしまった。本人ではなく、子孫が晩節を汚す例である。(Umbert Dolby
こぶ平って油断してると正蔵ってことつい忘れる。そんな些細な事をチュニジアから考えてるのが面白い。(祥)

12. いまいちばん欲しいのは平らなおなか
作者:玉虫(@OGA0531)

13. ついでに願う「四海皆波平らかに」 2 1・0
作者:なかぎり(@sej_nakagiri)
◎ロケッ子
・「ついでに」というのが、いいなぁと。個人的な願いのついで。 人間臭さというか妙なリアリティがあって惹かれましたが、その「ついで」もすっかり日常化しているような雰囲気もある。(ロケッ子)

14. 水平線知らず瀬戸内の子ら海を唄う 3 1・1
作者:うぐいす(@uguisu_asobn08)
◎ほろほろ ○玉虫
・初めて瀬戸内に行った時、その波の穏やかさに驚きました。「ここも海なのだ」、逆に新鮮な喜びさえありました。瀬戸内の子らが唄う海も私には味のある海です。(ほろほろ)
・奇をてらってなくて、上品で、豊かな詩情を感じる。実はこういうのが大好きなのです。子供たちへの目線も優しい。文句なしで大好きです。(玉虫)

15. 平らげてから知らされる賞味期限 1 0・1
作者:こみおく(@ayukoyama)
○千代
・だって、食べる前に言ったら食べてくれないでしょう。(千代)

16. 平ら確かめてまた体重を測る 5 0・5
作者:元気な人(@no_fineman)
○ロケッ子、mekeke、かもせり、はたらきねこ、十月水名
・さっきはちょっと傾いてたからね、って言い訳せずにはいられない。体重計に乗るという作業は、非常に厳粛な雰囲気の中で行われるのである。(ロケッ子)
・「えええっ!?なんじゃこりゃ、こんなはずじゃない、え?、いやいや違う違うこれは違う、平らじゃないとこだった、そうそう、平らじゃないからさあ、びっくりしちゃうよねー、違う違う、平らなとこで計らなきゃねえ(違ってますように!)」て感じの風景かな、なんて思いました。きっと変わってないんだろうな、なんて塩っぱい気持ちも感じました。(mekeke)
・その数字の原因が自分自身にあると認めざるを得なくなるまでは、いろいろ抵抗したくなります。(かもせり)
・特選と迷いました。おそらく多くの共感が得られる句ではないでしょうか。この「こんなはずじゃなかった感」。滑稽であり、かわいらしくもあり。情景が目に浮かびます。我が家の床はどうやら傾いているようですな。(はたらきねこ)
・ダイエットのときって、少しのことが気になるんですよね。この気持ちよく分かります。(十月水名)

17. ひとり居ればよかった金平糖噛み砕く 3 1・1
作者:天坂寝覚(@sin_kaku)
◎祥 ○白熊左愉
・『金平糖噛み砕く』で取りました。甘く可愛らしい物故に何か苦さが伝わります。(祥)
・やりきれない気持ちが出ているように思いました。(白熊左愉)

18. 水平線も凍てつく冬だどこまでも行ける 10 3・4
作者:はたらきねこ(@hatarakineko_)
◎うぐいす、フロヤマ、タケウマ ○木曜星、天坂寝覚、mekeke、なかぎり
・なにもかも氷に閉ざされて陸と海の境目もわからなくなっている風景。遠く遠く彼方まで歩いていけそうな気がする。(うぐいす)
・凍てつく水平線は澄み渡る景色を暗示しているかに思えます。なるほど、どこまでも行ける。そんな気にさせてくれる句です。(フロヤマ)
・凍った水平線を歩いていくのでしょう。どこまでもどこまでも。(タケウマ)
・すごく寒い日は、逆に薄着でも寒くないんですよね。僕も薄い上着を羽織って夕方の近所の行ったことないところを徘徊してみたりします。どこまでも行けます。帰れるかは知りません。(木曜星)
・“水平線も凍てつく冬だ”というのはさすがに言い過ぎだろうと思いましたが、その言葉があるおかげで後の“どこまでも行ける”のどこまでも行ける感が強まって、水平線も凍てつく冬をファンタジーで終わらせない説得力が生まれたように思います。(天坂寝覚)
・寒さはあれど空気の澄んだ冬は日差し照りつける夏よりも前進できそうな気がします。夏よりも冬の方が背中を押して来る感じがあります。水平線の上を滑ってつるり一周!(mekeke)
・歩いていると、「オレはどこまでも歩いていける」と勘違い(?)する時がある。
朝日の中、顔をあげて歩いている風景が浮かびました。(なかぎり)

19. 水平線が星を吐き出している 10 2・6
作者:南天(@princekyo)
◎Umbert Dolby、千代 ○さはらこあめ、畦道、ロケッ子、もも、かもせり、タケウマ
雄大な景観が目に見えるようです。心が洗われるような清々しさを感じます。好きです。(Umbert Dolby
・時の流れを感じる綺麗な句だなぁ。冬空に瞬く星の生まれる時を思って。地球って丸いんだよね。(千代)
・星を純粋に綺麗だと思えない何かがあったのでしょうか?吐き出しているというのが発見のある表現ですがもうひとつ感動が欲しいです。(さはらこあめ)
・一読して、光景が目の前に拡がる。正統派。(畦道)
・水平線の下からぽんぽん出てくる星を想像。なんかおいしそう。でも、吐き出されたもの。(ロケッ子)
・星がきれいな季節にぴったりのロマンチックな句。きらきら光る星と海。そして、私は日本からは見えない星座を、ふと思い浮かべました。(もも)
・太平洋側にお住まいの方なのでしょう。日本海側に住む自分にとっては水平線は星が墜ちてゆく場所です。「吐き出す」が素敵です。(かもせり)
・美しい♪ 美しすぎて特選にならず。(タケウマ)

20. 平均律クラヴィーア曲集第一巻第一番ハ長調に朝から降り止まぬ雨の匂いして 3 0・3
作者:タケウマ(@take575)
○ほろほろ、フロヤマ、千代
・その曲がすこし聴こえました。(ほろほろ)
・巧い!こんな手があったのかと思わずニヤリです。(フロヤマ)
・しとしとと静かに降る雨に流れる音とと匂い。いつまでも終わらない感じが好きです。アヴェ・マリアを重ねたい。(千代)

21. キキララが作ってると思ってた金平糖 6 1・4
作者:みずいろばーど(@tear_dream)
◎木曜星 ○白熊左愉、南天、うぐいす、茂刈艾
・そう言われると、本当にキキララが作っていそうですよね。でも、キキララが作っているのはカレーです。(木曜星)
・そんな噂があったのかな?と微笑ましかったです。(白熊左愉)
・キキララの周囲に飛んでる星が金平糖に見えないこともない。キキララが魔法で作ってるなんて夢がありますよね。(南天
・文句なしにかわいい。あのかたち、淡い色、やさしい甘さ。キキララにしか作れない。(うぐいす)
・わたしも、あのやわらかいトゲトゲは人間の作ったものとはなかなか信じられませんでした。キキララ謹製金平糖の真実を知ったときにはどんな表情になるのか、気になります。(茂刈艾)

22. 平和でありたい十円を募金する 10 2・6
作者:ほろほろ
◎天坂寝覚、かもせり ○mekeke、うぐいす、みずいろばーど、玉虫、祥、元気な人
・“平和でありたい”は恐らくそのまま心情の発露なんでしょうけども、“平和でありたい十円”と一気に読むと、この十円もまたそうした気持ちを持っているように感じられました。
実に巧みな措辞だと思います。(天坂寝覚)
・「でありたい」がいいですね。他人事ではない感じが良いと思います。「を」はなくてもよかったかも。(かもせり)
・この「平和」は世界平和とか自分の周りの平和と言うより、自分の心の平穏を保つ意味での平和なのかなと感じました。遠くから視界に入る募金箱を持った列を気にしながら、募金しようかやめようかモヤーッとする心を、10円入れることでいくらか晴らそうとする姿を想いました。(mekeke)
・十円を募金できるなんて、なんて平和な世の中なんだろう。(うぐいす)
・身の程を知っている安心感。世界平和も我が家の平和から始まる…(みずいろばーど)
・今の日本にすごくマッチする句だと思いました。出来ること、小さなことから一歩踏み出したい。そこから永遠につながりますように。(玉虫)
・『平和でありたい』で取りました。自分自身も平和であるための募金という気がします。(祥)
・ありのままを端的に表してて好きな句です。矛盾は嘘じゃない(元気な人)

23. 日本平から見る富士山の悲しい青
作者:もも(@Maomonta)

24. 叩くならいっそ転がせ手の平の上 5 1・3
作者:mekeke(@mekekeke)
◎十月水名 ○さはらこあめ、木曜星、なかぎり
・何を叩こうとしたのでしょう。気になります。(十月水名)
・その叩く、というのは愛のムチではなかったのでしょうか?叩いてばかりの人だったのでしょうか?やりきれない気持ちが感じられます。(さはらこあめ)
・ぶったよりブッダ。すみませんふざけて。共感したので一票。決してふざけたかったからではありません。(木曜星)
・なんかよくわからない状況だが、受け身でいながら、ふてぶてしくって面白い。(なかぎり)

25. 平気って言った途端入る平気じゃないスイッチ 6 0・6
作者:祥(@NMM0704)
南天、畦道、木曜星、ほろほろ、もも、玉虫
・平気だと自分に言い聞かせようとして、余計にどんよりしちゃうことあります。(南天
・泣いてないと言えば涙が出てくるし、酔ってないよと自分で言うのは大抵、酔っぱらいである。平気、という言葉はそもそも、平気じゃない人のためにあるのだ。(畦道)
・平気、平気、ポロポロポロッ……。しゃべると気がゆるみますから。(木曜星)
・悲しさが漏れてくるようです。(ほろほろ)
・本当は心細いのに、「平気」と言ってしまう。自分で自分の「平気じゃないスイッチ」を押してしまうのが切ない。でも、私もそんなことよくあります。どうして、心配されると「平気」って答えてしまうのでしょうね。(もも)
・ですねですね!(´;ω;`)ウッ… 私もいつもそうです。共感。(玉虫)

26. 平日はイヤフォンの色数え透明になる私と満員電車 7 1・5
作者:ニレ(@SwayNiLe)
◎茂刈艾 ○畦道、天坂寝覚、もも、みずいろばーど、タケウマ
・居心地の良さとは縁遠い満員電車のなかで呼吸をするには透明になるしかないのかもしれません。様々にあるだろう「イヤフォンの色」を数えて、おそらく満員電車の中に(嫌々でも)なんとか留まり続けるために「透明になる」というおまじないのような発想がステキ。(茂刈艾)
・どこか未整理で語りすぎなような句だが、通勤電車の息苦しさをそうして表しているのだと思うと腑に落ちる。色数え透明になる、が秀逸。(畦道)
・“平日は”、“透明になる私” この流れがとても好きです。好きですが、句中の要素が多くて焦点が少し散漫になってしまったところが、ちょっともったいないなと思います。とは言え“イヤフォンの色数え”と“満員電車”は不可分な気がしますし、“透明になる私”の孤独感を補強している部分でもあると思うので、それらを活かしつつ、語順や律に気を配ればさらに印象深い一句になるんじゃないでしょうか。(天坂寝覚)
・たくさんの人がいるのに、だれもが無関心で、自分がちっぽけな存在に思えてくる。そんな平日の満員電車の様子がきれいに描かれていて好きです。「イヤフォンの色数え」という所から、カラフルなイメージが沸きました。(もも)
・作品の雰囲気が一番好きです。心もとなさそうでいて、強か。(みずいろばーど)
・そうか、スイッチはイヤフォンだったのか。(タケウマ)

句会2本目 結果発表

2本目の句会にご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました! 結果が出ましたので発表いたします。集計ミス等お気づきになりましたら、どうぞ遠慮なくご指摘ください。(その方が嬉しい!)

選評は例のごとく別記事にアップしておりますので、そちらもあわせてご覧くださいませ。

それから、数の関係で選評が書けなかったけどこの句にも感想を書きたいーという「選句外評」は、二次会場所「やんややんや」の方で存分にお書きください。そちらにも2本目にご投句いただきました全句をアップしております。ご活用ください。

★二次会場所はこちらから★ → やんややんや

それからそれから、今回は「逆選なし」を惜しむ声にお応えしまして(勝手に)、Twitter上でのプチ批評会を予定しております。自分の句を批評してほしいと思われます方は、募集を呼び掛けるツイートにご返信ください。流れは次のような感じです。

【プチ批評会の流れ】

1.句を批評してほしいという希望者を募る(受付は16日まで)
 ↓
2.勇者が名乗りを上げる。(3句のうち1句をひっさげて)
 ↓
3.勇者の句を、千本ノックのアカウントから提示(適宜)
 ↓
4.有志からの意見、助言、苦言が飛び交う
  (今回、天坂寝覚さんと畦道さんからはもれなくもらえる!)
 ↓
5.いただいた意見によりひとまわり大きくなって年を越す
 ↓
6.おせち、おいしい!


 二次会は主に、句に対する感想を言い合う場所で、プチ批評会は自分から句に対する批評を求める場所です。受け身かそうでないか、ぐらいの違いですかねぇ。

もちろん、寝覚さんと畦道さん以外の方からのご意見も心よりお待ちしておりますので、皆様どしどしお書き込みください! ひとのふり見て我がふり直せで、他の人の句について考えることが自分の何かにいい感じにどうにかなっちゃうかもしれません(説得力なし)!


では、今回の句会結果をどうぞ。


お題それぞれの最高得点は……

まずは、3つありましたお題ごとに最高得点を獲得した句と次点の句を発表します。皆様からいただきました選句をもとに、「特選=2点、正選=1点」で計算しております。

▼指定語「平」 最高得点句

  きみを失った今日も平日と呼ぶのか
  
  獲得点数:14点
  作者:ロケッ子


  ▽次点句

  水平線も凍てつく冬だどこまでも行ける
 
  獲得点数:10点
  作者:はたらきねこ

  水平線が星を吐き出している
 
  獲得点数:10点
  作者:南天

  平和でありたい十円を募金する

  獲得点数:10点
  作者:ほろほろ

▼「食べ物」しばり 最高得点句

  歯のない顔でまんじゅうくれた

  獲得点数:19点
  作者:畦道


  ▽次点句

  多分この人別れても猫背で食べてる

  獲得点数:18点
  作者:祥

▼雑詠 最高得点句

  月ばかり明るい小銭しかない夜道だ

  獲得点数:14点
  作者:玉虫

  闇で触れてもわかるこのツノがきみだ

  獲得点数:14点
  作者:ロケッ子


  ▽次点句

  寒い手に寒い手がぬくい

  獲得点数:12点
  作者:天坂寝覚


◎今回の句会における最高得点獲得句
  歯のない顔でまんじゅうくれた(19点)
  作者:畦道



終結

そんなわけで、今回の句会結果は次のようになりました。
(※MVP=総合獲得点数が最も高かった作者、ホームラン王=特選に選ばれた数が最も多い作者、ヒット王=正選に選ばれた数が最も多い作者)
 

 ▼MVP     → ロケッ子(42点)
  
 ▼ホームラン王  → ロケッ子(10個)

 ▼ヒット王    → 畦道(23個)

ちなみに、総合獲得点数上位5名(神5、でも同率なので神6)は、「ロケッ子(42)、畦道(35)、祥(26)、ほろほろ(25)、はたらきねこ(21)、元気な人(21)」でした。


選ばれました皆様、おめでとうございます。そして、ご参加いただきました皆様も、ありがとうございました&おつかれさまでございました! 作者の正体、それぞれの選評を味わった後は、どうぞ二次会&プチ批評会へお越しください。